色を塗ってみよう

塗りの表現方法につて

ブラシツールまたは鉛筆ツールで描いた線画に色を塗ってみましょう。
色を塗る事で、イラストが華やかに生まれ変わったり、色調を変えるだけでイラストのイメージを変化させる事も出来ます。また、塗り分けで陰影を付けたり、グラデーションを使用する事で、線画だけでは表現しきれなかった立体感などを出す事も出来ます。
色の塗り方には、主に以下の3つの方法があります。

それぞれの塗り方について、さっそく見ていきたいと思います。

単色で塗ってみよう

まず、色を塗るために使用するツールは、「バケツツール」もしくは線画を描く時にもお馴染みの「ブラシツール」です。
「バケツツール」は、線や塗りのオブジェクトで囲われている部分を、クリック一つで塗りつぶしたり、「塗り」でできているオブジェクトにクリック一つで上塗りする事が出来ます。
ただし、直接「背景」に色を塗ったり、線や塗りのオブジェクトが途中で途切れていて、背景と融合している部分に色を塗る事は通常は出来ません。
また、「ペンツール」や「鉛筆ツール」で描いた「線」のオブジェクトに色を上塗りする事は、どうあがいても出来ません(この場合は「インクボトルツール」を使用します)。
「バケツツール」の使い方は、「ツールパネル」の「塗りのカラー」をクリックし、表示される「カラーパレット」から任意の色を選択し、塗りたい色の準備をします。
そして「ツールパネル」から「バケツツール」を選択し(マウスポインタの形がバケツになります)、色を塗りたい所や塗り替えたい所をクリックするだけです。
線画での表現上、オブジェクトの隙間が多少開いている部分を塗りつぶしたい場合には、オプションの「隙間の大きさ」をクリックして、どれぐらい隙間が開いていても塗りつぶす事ができるかを設定することが出来ます。

「ブラシツール」は、もともと「塗り」でできているので、ブラシの太さを太目に調節することで、好きな範囲を豪快に塗っていく事が出来ます。また、背景部分に直接色を塗っていく事も出来ます。
もちろんブラシツールで描いた線画の「線部分」を、「バケツツール」を使用して一気に上塗りする事も出来ます。
「ブラシツール」の使い方は、線画を描く時のように直接ドラッグして色を塗っていく訳ですが、「オプション」を使用すると、オブジェクトの選択範囲内だけを塗り分けたり、オブジェクトの背面だけを塗ったりする事が出来ます。
例えば、FLASHで描いたイラスト(ベクターデータ)の特徴の項目にあるイラストの場合、肌の部分や服の部分はもともとバケツツールを使用して単色で塗ってあります。そこで「ブラシツール」を選択し、オプションの「ブラシモード」で「内側をペイント」を選択します。この状態で肌や服の陰の部分を塗ると、もともとの塗りのオブジェクトからはみ出してしまった部分は自動的に削除され、オブジェクトの内側だけを好きなように塗り分ける事が出来るのです。

グラデーションで塗ってみよう

次にもう一歩踏み込んで、塗りのオブジェクトにグラデーションを設定し、ちょっとした立体感を表現してみましょう。
下のswfファイルは、グラデーションを複雑に組み合わせて描いています。グラデーションもベクターデータとして保持する事が出来るのです。
試しに画像の上で右クリックをして、「拡大」を何度か選んでみて下さい。どれだけ拡大してもグラデーションが乱れたりすることはありません。
ちなみにこのイラストは「FireFox」を意識している訳ではありません。決してそんな事はありませんので念のため。

塗りの部分にグラデーションを設定するには、メニューバーの「ウィンドウ」から「カラーミキサー」を選択して、別ウィンドウやパネルの状態で、カラーミキサーを表示させておきます。
次にグラデーションにしたい部分の「塗り」のオブジェクトを選択して(まだ塗られていない場合は、適当な色を塗っておきます)、カラーミキサーの「タイプ」から「線状」か「放射状」を選びます。
Flash で使用できるグラデーションのタイプには「線状」と「放射状」の2種類があり、「線状」は平行移動するグラデーションで、「放射状」は円形に広がっていくグラデーションです。
どちらかを選択すると、初期設定か、前回使用したグラデーションの色がオブジェクトに適用されます。
色を変更するには「カラーミキサー」のグラデーション部分の両端にある小さな【□】マークをクリックで選択し、それぞれに好きな色を指定します。
例えば、左側の【□】マークに赤を、右側の【□】マークに青を指定すると、ステージ上のオブジェクトに、赤から青に変化していくグラデーションが適用されるというわけです。
カラーミキサーのグラデーション部分の適当な位置をクリックすると、いくつでも【□】マークを追加する事ができ、赤→黄→緑→青など、複雑に変化するグラデーションを作成する事ができます。
上の swf ファイルのイラストでは、尻尾の部分の、白→黄→赤→オレンジと変化している部分に顕著に現れています。

オブジェクトにグラデーションを適用した後、そのままの状態でOK!という事はほとんどありません。なぜなら、線状の場合はグラデーションの向きを斜め方向にしたいとか、放射状の場合はグラデーションの中心位置を変えたいとか、もう少し潰れた楕円形のグラデーションにしたいとか、なにかしらの微調整が必要になってくると思います。
そんな時はツールパネルに「塗りの変形ツール」という便利なものがあるので使ってみましょう。
「塗りの変形ツール」を選択して、ステージ上のグラデーションで塗りつぶしたオブジェクトを選択すると、「線状」と「放射状」のそれぞれに調節用のマークが現れます。
マークの中心部分の【○】印をドラッグして動かすとグラデーションの中心位置が移動し、【□&→】印を動かすとグラデーションの幅の調整、【○&▲】印を動かすとグラデーションの回転を調整する事が出来ます。
「放射状」のグラデーションの場合は、これに【○&→】印が加わり、グラデーション自体の大きさを調整する事が出来ます。
一見ややこしそうですが、慣れてしまうとこんなにシンプルで使いやすい調整方法はないと思います。とりあえず色々触ってみて、この独特のルールに慣れましょう。

複雑なグラデーションで塗ってみよう

さてさて、それではさらに複雑なグラデーションを作成してみましょう。
例えば線状のグラデーションで塗りつぶされたオブジェクトがあるとします。そこのある一部分だけに放射状の別の色のグラデーションを組み合わせたいと思う事はありませんか?
このように、一つのオブジェクトの中に、いくつかのグラデーションを複雑に組み合わせたい場合には、「なげなわツール」を活用してみましょう。
あらかじめ、ステージ上に線状のグラデーションで塗りつぶされたオブジェクトがあるとします。
次に、ツールパネルから「なげなわツール」を選択し、マウスポインタをなげなわマークに変え、オブジェクトの上で他のグラデーションを適用したいと思う部分を直接ドラッグして、囲んでみましょう。囲んだ部分が網状になり、選択状態となりました。
この状態のままで、カラーミキサーの「タイプ:」から「放射状」を選ぶと、その部分だけが放射状のグラデーションになります。
最後にカラーミキサーのグラデーション部分の【□】マークでそれぞれの色味を変更し、「塗りの変形ツール」でグラデーションの度合いを調節すれば、一つのオブジェクトの中にいくつものグラデーションが存在しているように見えるという訳です。

さらにおもしろいグラデーションを作成するために、アルファ(透明度)を活用します。
上の swf ファイルのイラストの地球部分を見てみましょう。陸と海とで色が分かれているにもかかわらず、球体をイメージさせる陰が付いています。つまり、物体の柄に影響されること無く、陰影を付ける事も出来るのです。
やり方としては、放射状のグラデーションを適用した円形のオブジェクトを作成し、「塗りの変形ツール」で中心位置を調整して球体に見えるようにします。
次に、カラーミキサーのグラデーション部分で、中心位置の色を担当している【□】マークを選択して、「アルファ」の数値を「0%」にしてみましょう。背景が透き通って見える球体が出来ました。
この球体を平面的な地球のイラストの上に重ねると、オブジェクトの柄に影響されること無く、別のグラデーションを適用する事が出来ました。
通常のオブジェクトの初期値は、アルファ100%(不透明)です。アルファを0%にすると、完全な透明になります。必要に応じて、100%から0%までの間で微調整しましょう。

Flash はベクターデータを採用しているので、ビットマップデータのような、微妙なぼかしやグラデーション、絵画風のタッチなどを表現するのは難しいです。でも、限られた機能の中で、自分のイメージするイラストに近づけていくということは、とても楽しい作業です。
また、明度のみ(モノクロ)ならまだしも、彩度(色の鮮やかさ)が入ってくると色の選択肢は無限に広がり、最適な色の組み合わせ方には答えはありません。
ぜひ、自分だけのカラーを見つけ出して、魅力的なイラストレーションを作り出してください。
でも、あまりがんばりすぎると疲れてしまうので、コーヒーとか紅茶とかミロとかバナナジュースとかで、ゆっくりブレイクタイムを取りながら描きましょう!(レモンケーキもあると最高!)