線画を描いてみよう

「線」と「塗り」について

Flash 内で描いたオブジェクトには「線」と「塗り」という二つの概念があり、それぞれに全く違った特性を持っています。
まず、「塗り」の場合は一般的なベクター形式のデータであり、拡大・縮小させると画質が劣化する事なく、オブジェクトの大きさ自体が全体的に変化します。
「線」の場合も、拡大・縮小により画質が劣化することはなく、オブジェクト自体の大きさも変化するのですが、線の“太さ”だけは描く時に設定した「線幅」で常に表示されるようになっています。
例えば同じイラストでも、拡大表示させると線幅が細くなったように感じ、縮小表示させると線幅が太くなったように感じるといった現象が起こるわけです。

ちょっとわかりにくいかもしれませんから、実際に線でイラストを描いてみましょう。
自由な線画を描くためには、ツールパネルにある「ブラシツール」か「鉛筆ツール」を使います。
「ブラシツール」で描いたオブジェクトは「塗り」として認識されます。これに対し「鉛筆ツール」で描いたオブジェクトは「線」として認識されます。
「鉛筆ツール」を使用する際には、描く前に「プロパティインスペクタ」で線の太さや種類を設定しておきましょう。

下の swf ファイルのイラストで、二つのツールの違いを確認することが出来ます。
左側のイラストは「ブラシツール」で、右側のイラストは「鉛筆ツール」で描かれています。
画像の上で右クリックをして、「拡大」を何度か選んでみて下さい。
二つのイラストの「線幅」の変化に違いがある事がわかるでしょ?

ペンタブレットで線画を描くには

よりなめらかで思い通りの線を描くためには、「ペンタブレット」を使用するのが理想です。
ペンタブレットを使用すれば、紙にペンで絵を描くのに近い感覚で、パソコン上でイラストを描くことが出来ます。
タブレットの使用で「ブラシツール」を使う場合には、オプションの「筆圧」をONにする事で、筆圧感知にも対応します。
これはGペンなどで線を描く感覚に近く、力の入れ具合で線に強弱をつける事ができます。

マウスで線画を描くには

もちろん毎度お馴染み「マウス」でも、綺麗なイラストを描く事は十分可能です。
ただし「マウス」で描く場合には、どうしても線が震えてしまうので、オプションにある線の補正具合を「スムーズ」に設定しておきましょう。
多少プルプル震えた線でも、スムーズな線に補正されます。
パソコン上でイラストを描く場合は、インク代や紙代がかかるわけではないので、何度でも描き直す事が出来るというメリットがあります。
気に入らない線を引いてしまった時は、「Ctrl」キー+「Z」キーを押し、一つ前の状態に戻して、自分の気に入った線が描けるまで何度も何度も描き直しましょう。

直線の描き方

イラストの中で「直線」を描く場面もよくあるかと思います。直線を手描きで描くのには限界があるので、その場合は他のツールを使う事にします。
「ブラシツール」を使用の際には「矩形ツール」を使用し、線幅と同じぐらいの高さの細長い長方形を描き、直線として配置します。
「鉛筆ツール」を使用の際には「線ツール」を使用し、ステージ上でドラッグすることで直線を描く事が出来ます。
それぞれのツールに合わせて「線」や「塗り」の直線を描きましょう。

ベジェ曲線で線画を描こう

描くイラストの形がきっちりとしたもの・・・例えば工業製品やロゴマークの場合も、手描きで描くのには限界があります。
このような時は「ペンツール」を使い、ベジェ曲線で描きましょう。
ベジェ曲線は、クリックするとアンカーポイントを置くことができ、アンカーポイント同士の間は直線で結ばれます。
また、アンカーポイントを置いた直後にそのままドラッグすることで、なめらかできれいな曲線を描く事が出来ます。これは、Adobe の Illustrator と同じような感覚で扱えるツールと考えるとわかりやすいかもしれませんね。

上記で説明したツール以外にも、楕円や正円を描ける「楕円ツール」(サッカーボールやCDなどを描くのに便利)や均等な多角形を描ける「多角形ツール」もあります。
また、オブジェクトの一部を「消しゴムツール」で消すことにより、消しながら何かの形を描くことも出来ます。
線の描き方は人それぞれにいろいろな方法や好みがあるかと思いますので、まずは適当に遊んでみるのもいいのではないでしょうか?

まずは、オブジェクトを描画するためのツールを駆使し、アニメーションに必要なイラストを制作するための「線画」を楽しみながら描いてみましょう。