ひと言で語ってしまえば、現代マンハッタンにおけるシンデレラ物語。
甘ったるいラブ・ストーリィと言われればその通りなのですが、好きなんです、私としてはこうしたストーリィが。
マンハッタンの名門ホテルでメイドとして働くマリサ・ベンチュラは、離婚し、息子タイをかかえて働く女性。その恋の相手となるのは、上院議員候補の二世議員クリス・マーシャル。
メイド仲間の悪戯心から、宿泊客の高価な洋服を着てみたところに、タイに連れられたクリスが来合わせ、クリスが誤解したまま2人の恋が始まるというストーリィ。
そういつまで嘘が続くわけもなく、正体がバレて失意、そして逆転、ハッピー・エンドに終わるという展開はありきたりのものかもしれませんが、筋運びの巧いところが魅力。
シンデレラ物語以外にも、「一日だけの淑女」、「ノッティングヒルの恋人」とか、かつての名作の良い場面を巧妙に取り込んでいます。そして、キューピッド役となる少年タイの存在が秀逸。
その他、メイド仲間、ホテルの監視員、支配人、議員の秘書と、脇役がいずれも光っています。良い映画とは、まず脇役が良くなくては!
その他、注目すべきは次の2点。
主人公マリサが、決して恋だけで地位向上を手に入れる女性ではないこと。メイドから支配人へと、ビジネス上の能力も充分に持ち合わせている女性であることが、はっきり描かれています。その点、「エバー・アフター」とも共通します。
もうひとつは、「馬子にも衣装」ではないけれど、化粧と衣裳、状況設定により、女性はいくらでも美しくなってしまうもんだなぁ、と思い至ったこと。マリッサがムード溢れる歌声をバックに、ダンス会場に姿を現すシーン、何度見ても魅せられます。
十二分に楽しめたラブ・ストーリィです。
2003.12.21
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