“エバー・アフター” ★★ EVER AFTER (1998年アメリカ映画)
監督:アンディ・テナント 脚本:スザンナ・グラント、アンディ・テナント、リック・バークス 出演:ドリュー・バリモア、アンジェリカ・ヒューストン、ダグレイ・スコット、ジャンヌ・モロー
シンデレラ物語の洗い替えストーリィ。 グリム兄弟がある貴婦人に呼ばれてその邸を訪れます。その貴婦人曰く、彼らの「シンデレラ物語」は真実と異なる。真実は...と語り始めるのが冒頭の趣向。 この貴婦人を演じるのが、かつての大女優ジャンヌ・モロー。予め知っていなければ、到底判らなかったでしょう。懐かしいー。 継母、義理の姉2人に召使同様こき使われている、というのは原話と同じ。しかし、このシンデレラ=ダニエルは、タフで行動的、かつ気骨もあり、そのうえ父親の形見となったトマス・モアの「ユートピア」をしっかり理解しているというのですから、なかなかの娘。原作のような、いたいけなシンデレラ像とは、かなり違います。 そのためか、ダニエルは富農の娘という設定。したがって、王子との出会いと恋愛の発展は、お城の中などではなく、広々とした野外という風になります。 ところが、継母は男爵夫人。その為、農民の娘は貴族である母姉にかしづいて当然という認識。したがって、召使同様の扱いとなる訳です。なぜ男爵夫人が富農と結婚したのか、などという疑問はこの際、横において置きましょう。 この継母を演じている女優アンジェリカ・ヒューストンがお見事。単なる意地悪な継母というにとどまらず、巧妙な戦略家でもあり、かつまだ女であることを捨てていないという、登場する中では最も味のある人物であり、このヒューストンの演技あるから故にこの映画が面白い、と言えます。 ダニエルが最後に幸福を手に入れるのは、魔法使いのおばあさんの援助などによるのではなく、ダニエル自身の人格とその行動力によるものだった、というのがこのストーリィのミソ。ただし、魔法使いのおばあさんに代わりに、レオナルド・ダ・ヴィンチが登場し、ダニエルの応援役になっています。 シンデレラ物語の亜流ストーリィと、決して馬鹿にする事なかれ。ユーモラスなところもあって、かなり面白い作品なのです。主役のドリュー・バリモアもなかなかの熱演、彼女の持ち味が光っています。
2001.09.23
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