“ジョン・カーター” ★☆ 監督:アンドリュー・スタントン |
ジョン・カーター、即ちE・R・バローズの古典的スペース・オペラ“火星シリーズ”の主人公。
中学〜高校時代、E・R・バローズ作品をどれだけ愛読したことか。 火星シリーズの第1作が「火星のプリンセス」で、表題の“プリンセス”とは即ち火星の赤色人国家“ヘリウム”の王女デジャー・ソリスのことに他なりません。 この火星シリーズが映画になるなんて、これまで思ったこともありませんでした。どんなに原作の面白さを再現できなくても、原作のイメージを損なわれる恐れがあったとしても、往年のファンとしては見に行かずにはいられません。 さて原作のストーリィ。 南北戦争後、騎兵大尉だったヴァージニアのジョン・カーターは、ある夜天空にある火星の輝きに惹きつけられるようにして、一瞬にして地球から火星へと移動してしまいます。 ジョン・カーターが目覚めると、そこは滅びゆく惑星=バルスーム。 まず4本の腕をもつ獰猛な緑色人に捕われたジョン・カーターは、そこで火星の言葉を身に付けます。その後緑色人の捕虜となった赤色人の美女デジャー・ソリスと運命的な出会いをしたジョン・カーターは、恋するデジャー・ソリスのため、ひいてはバルスームのため、剣を持って獅子奮迅の活躍をすることになります。言ってみれば、ダルタニャン(三銃士)が火星に行ったようなもの。 ジョン・カーターの武器は、火星が地球より重力が弱いことから得た、超人的な跳躍力等々(よく考えるとその分空気が薄い訳で活躍どころではない筈なのですが)。 実はこのシリーズ、惹きつけられたのは主人公のジョン・カーターよりも、ヒロイン=デジャー・ソリスの存在にあります。 創元推理文庫「火星のプリンセス」の表紙を飾った武部本一郎氏の、デジャー・ソリス像の何と妖艶だったことか。文章とこの絵のおかげで、私にとって永遠のプリンセス像と言えば、もうデジャー・ソリス以外には在り得ません。 本映画でこのデジャー・ソリスを演じたのはリン・コリンズ。原作とは異なり剣をとって自ら闘うこともするデジャー・ソリスです。原作のおかげでデジャー・ソリスと言えば類稀れな美女というイメージがすっかり出来上がっている私にとっては類稀れというにはもう一つという印象ですが、リン・コリンズ、本作ではエキゾチックな美人であることは間違いありません。 名前をどこかで聞いた覚えがあると思ったら、「ウルヴァリン」「ヴェニスの商人」でお目にかかっていました(その2作、もう一度見直してみよう)。 巨漢というイメージの緑色人が余りに痩せて貧相なことにがっくり等々、映画としてはそれ程のことはありませんが、あの火星シリーズを、そしてデジャー・ソリスを映画で観れたことはやはり嬉しい。 ※エドガー・ライス・バローズ作品には多くのシリーズがありますが、殆ど読んでいるなぁ、私。 “火星シリーズ”“金星シリーズ”“地底帝国ペルシダーシリーズ”“ターザンシリーズ”“太古世界シリーズ”“月シリーズ”他に単作と。 2012.04.14 |
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