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1956年高知県生、津田塾大学卒。東京都内の私立女子高校で7年間教鞭を取った後テレビ番組構成作家、87年「週刊文春」の記者となり20年間務める。99年初の小説「青々と」にて第10回日本海文学大賞奨励賞を受賞、2006年フリーライター。09年松山善三・高峰秀子夫婦の養女となる。 |
1.高峰秀子の流儀 2.高峰秀子との仕事1−初めての原稿依頼− 3.高峰秀子の言葉 4.高峰秀子解体新書 |
1. | |
「高峰秀子の流儀」 ★★☆ |
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僅か5歳で子役デビュー、その後人気少女スター、大女優と50年にわたって女優として輝き続けてきた高峰秀子さんの人となりを見事に描き出した一冊。 凄い人だなぁと心から思います。女優として、ではなく、人間として。 本書には多数の写真も挿入されています。 高峰秀子さんの人となりを見事に描き出したエッセイ本として高く評価すべき一冊だと思いますが、真には高峰秀子という女性の見事さに尽きる、と言って間違いないでしょう。 高峰秀子という知性/動じない/求めない/期待しない/振り返らない/迷わない/甘えない/変わらない/結婚/怠らない/二十七歳のパリ その足跡を訪ねて/媚びない/驕らない/こだわらない/ひとこと 高峰秀子 |
2. | |
「高峰秀子との仕事1−初めての原稿依頼−」 ★★☆ |
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改めて、高峰秀子さんという元女優は稀有な人だなぁと思う。そして同時に、知り合った人を魅了して止まなかった人だなぁ、とも。 本書は、後に松山=高峰夫妻の養女となった著者の、出会いから始まり高峰さんと親しく関わるようになった経緯をあまねく語った一冊。初めての原稿依頼、初めての取材、次第に足繁く通う関係になるまで、冒頭は初め尽くしです。 良くも悪くも、本書に描かれているのは高峰秀子という生な人間の姿である。有名人によくある着飾った部分、取り繕った部分がまるで感じられない。素の高峰秀子自身、素の人間で勝負しようという高峰さんの気概があるからこそと思います。 母・高峰秀子の死〜まえがきに代えて/ |
3. | |
「高峰秀子の言葉」 ★★ |
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新潮社のPR誌「波」に連載されていたエッセイ。連載中から読んでいましたが、単行本にまとまった段階で改めてまた読みたいと思った次第。 著者の斎藤さんが折に触れて聞き取った高峰秀子さんの言葉を、当時の状況等を踏まえ、その言葉の持つ深い意味を示しながら紹介した一冊。 |
「高峰秀子 解体新書」 ★☆ | |
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先日小豆島&しまなみ海道ツアーに行った時、小豆島で映画「二十四の瞳」の舞台となった岬分教場の横にある土産物ショップで本書を見つけ、購入しました。 これまで高峰秀子さんご本人のエッセイや、高峰秀子さんに関する斉藤明美さんの他の著書もいろいろ読んできましたので、新しく知る事実はそんなにありませんが、高峰秀子さんのエッセンスを知るには格好の一冊でしょう。 私として本書で新鮮だったのは、斉藤さんによる「肉体の部位で解き明かす高峰秀子」、高峰さんの随筆「オッパイ讃歌」。 後者は、オッパイの下にしこりが見つかり、医者に見て貰ったら乳癌だからと手術を急かされ、石井ふく子さんからは他の医者にも診て貰って欲しいと頼まれ診て貰ったら、大したものではないと言われたというバタバタの顛末を語ったものなのですが、悲惨な覚悟もユーモラスもありで、とても面白い。流石ですね。 本書で貴重なのは、それが本書を購入した動機なのですが、高峰秀子さんが5歳の時に子役デビューした映画「母」のDVDが添付されていること。 1929(昭和 4)年公開の映画ですから、もちろん無声映画。 無声映画を観たのは「オペラ座の怪人」(1925年)以来ですが、日本の無声映画はこうした作りだったのか、と思うのがまず。 そして高峰さんについては、主役である未亡人の幼い娘の方という役で、演技も何もないという感じ(何度も観直すとまた違ってくるのかもしれませんが)。 ただ、こんな幼い時からずっと子役・娘役・女優として働き続けてきたのだなと思うと、胸がいっぱいになる気がします。 高峰秀子さんに関心があれば、お薦めしたい一冊であると共に、是非見ていただきたいデビュー映画作品です。 はじめに/履歴書/キーワードで読み解く高みへ高峰秀子86年の人生/高峰秀子と広告/肉体の部位で解き明かす高峰秀子/随筆:オッパイ讃歌/人物交友図/高峰秀子の家の履歴書/高峰秀子を知るための目的別書籍ガイド全34作/映画出演作一覧:169/300余本/生涯年表/終わりに *高峰秀子初出演映画「母」(1929年公開、監督:野村芳亭) DVD付 |