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11.シュガーレス・ラヴ 12.紙婚式 13.恋愛中毒 14.落花流水 15.チェリーブラッサム 16.ココナッツ 17.結婚願望 18.プラナリア 20.日々是作文 |
【作家歴】、パイナップルの彼方、ブルーもしくはブルー、きっと君は泣く、 あなたには帰る家がある、眠れるラプンツェル、ブラック・ティー、絶対泣かない、群青の夜の羽毛布、 みんないってしまう、そして私はひとりになった |
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●「シュガーレス・ラヴ」● ★★ |
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2000年06月
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計10篇のショート・ストーリィ。それぞれの題名に病気名が付されていて、目次だけ見てもちょっと興味を惹かれます。 でも、各篇の主人公たちにしてみれば笑い事どころではなく、それぞれ生活上の大きな悩みの種なのです。 彼女の冷蔵庫(骨粗鬆症)/ご清潔な不倫(アドピー性皮膚炎)/鑑賞用美人(便秘)/いるか療法(突発性難聴)/ねむらぬテレフォン(睡眠障害)/月も見ていない(生理痛)/夏の空色(アルコール依存症)/秤の上の小さな子供(肥満)/過剰愛情失調症(自律神経失調症)/シュガーレス・ラヴ(味覚異常) |
●「紙婚式」● ★ |
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1998年10月 2001年02月 1999/07/25 |
結婚生活を題材にした8つの短編集。 山本さんの作品としては、「恋愛中毒」同様、大人の小説に変貌しつつあることを感じさせられます。 土下座/子宝/おしどり/貞淑/ますお/バツイチ/秋茄子/紙婚式 |
●「恋愛中毒」● ★★ 吉川英治文学新人賞 |
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2002年06月
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今まで読んだ山本文緒作品に比較すると、一皮剥けて大人の世界に入り込んだ、という印象を受けます。 ※本書を読みながら、なんとなくヘミングウェイ「エデンの園」を思い出していました。 |
●「落花流水」● ★★ |
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2002年10月 2015年01月
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「落花流水」とは、「散り落ちた花に情けがあれば、流れる水にも情けがあって、これをのせて去る」という意味だそうです。 ストーリィの始まりは、1967年。マーティルは12才、隣家のわがままで甘ったれのマリは7才。そんな2人が、それぞれ家庭の事情で別れ別れになるという出だしは、ごくありふれたものです。 |
●「チェリーブラッサム」● ★★ |
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2000年04月
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コバルト文庫刊「ラブリーをつかまえろ」を改題・加筆訂正した作品だそうです。カバー裏の紹介文には「少女の成長を明るくドラマチックに描いた、山本文緒のルーツともいえる傑作長編」とあります。 主人公・桜井実乃は中学2年生。母親が早く亡くなり、今は父親と1歳上の姉・花乃と3人暮らし。突如、父親が会社を辞職し、便利屋を開業したことから、実乃も渦中に巻き込まれます。早速持ち込まれた依頼が、盲導犬ラブリーがいなくなったので探して欲しいとの事件。 |
●「ココナッツ」● ★ |
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2000年07月 |
コバルト文庫刊「アイドルをねらえ!」を改題・加筆訂正した作品、「チェリーブラッサム」の続編となります。 今回のストーリィは、中学2年の夏休み、町出身の人気歌手・黒木洋介の身辺警護を、便利屋・豹平が引き受けたことから始まります。 |
●「結婚願望」● ★☆ |
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2003年11月
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「かなえられない恋のために」にも“結婚願望”について語られていましたので、冒頭は重なる部分があります。しかし、前著が現状を語るに終わっていたのに対し、本書では年数を経た分、結婚願望とは一体何だったのかについて、徹底して考えてみた文緒さんの姿があります。 振り返ると、何故あんなにも結婚したいと思ったのか? その理由はと言えば、文緒さんが言う通り、深い考えもなく、ただ皆が結婚しているから、と言う他ありません。 二十代の結婚願望/三十代の結婚願望/みんな結婚する/もう半分の人生 ※小手鞠るい「それでも元気な私」にも同じような結婚への衝動が書かれています。 本書の直後に読んだため、奇遇と思いました。 |
●「プラナリア」● ★★☆ 直木賞 |
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2005年09月
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読んでいる途中から、すごく良い本だな、と思いました。これまでになく質がいいなァ、と。 この5篇に共通するのは、これまでの人生・生活をそれぞれにドロップアウトした主人公たち、という点です。 プラナリア/ネイキッド/どこかではないここ/囚われ人のジレンマ/あいあるあした |
●「ファースト・プライオリティー」● ★★ |
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2005年06月
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“priority”とは「優先事項」の意。 それを端的に感じるのは、冒頭の「偏屈」でしょう。これこそ私のことと感じる読者がきっと多い筈ですし、だからこそすっと本書に読者を引き込んでしまう一篇です。 偏屈/車/夫婦/処女/嗜好品/社畜/うさぎ男/ゲーム/息子/薬/旅/バンド/庭/冒険/初恋/燗/ジンクス/禁欲/空/ボランティア/チャンネル権/手紙/安心/更年期/カラオケ/お城/当事者/ホスト/銭湯/三十一歳/小説 |
●「日々是作文」● ★☆ |
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2007年04月
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「離婚して仕事もお金もなかった31歳から、直木賞受賞&再婚してしまった41歳まで」という、10年間に書かれたエッセイ集。 本書を読んだのは、何と言っても、表紙イラストの山本文緒像に惹かれたから。ねじを巻かれ、頭にはカップ、咥えタバコでパソコンに向かうその姿をみれば、その凄絶さに打たれ、読まない訳にはいかないというものです(笑)。 「日々是作文」という題名は、作家・山本文緒を語るにふさわしい題名。毎日書くことが仕事の作家であれば、当然の題名と最初は軽く受け止めていたのですが、この題名にはもっと深い意味があることに気づいたのは、本書を読んでから。日記をずっとつけている文緒さんにとって、小説を書くとはその延長上にあることだったということ。しかし、職業作家になってしまえば、日々の全てを小説の材料にしていかなくてはならない、そんな実際を伝える題名でもあります。 生身の作家・山本文緒に触れ合えるのは、後半「こまかい仕事」から。それも、駆け出し時代を語る「ワープロ時代」より、辿り着いた観のある「パソコン導入後」こそ読む価値あり。とくに、直木賞候補に選ばれた時の心情を書き表した「愛憎のイナズマ」は、文緒さんの熱い思いが伝わってくる一篇で、ファンとしては見逃せません。 花には水を。私に恋を。/今宵の枕友だち/こまかいお仕事(ワープロ時代)1993〜1997/こまかいお仕事(パソコン導入後)1998〜2003 |
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