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4.きみのためのバラ 5.氷山の南 6.双頭の船 8.キトラ・ボックス |
●「ハワイイ紀行【完全版】」● ★★ JTB紀行文学大賞受賞 |
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2000年08月
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単行本刊行時の内容に2章を追加した
「完全版」。 1.淋しい島/2.オヒアの花/3.秘密の花園/4.タロ芋畑でつかまえて/5.アロハ・オエ/6.神々の前で踊る/7.生き返った言葉/8.波の島、風の島/9.星の羅針盤/10.エリックス5の航海/11.鳥たちの島/12.マウナケア山頂の大きな眼
※11.12.が文庫化に際しての追加章です。 |
●「イラクの小さな橋を渡って」(写真:本橋成一)● ★★ |
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2006年02月
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池澤さんの文章、本橋成一さんの写真による、イラク訪問記。 池澤さんがイラクに入ったのは、昨年の10月末。 池澤さんがイラクを訪れた動機は、「もしも戦争になった時、どういう人々の上に爆弾が降るのか、そこが知りたかった」からだと言います。 ごく薄い一冊です。是非読んでみてください。 |
●「風がページを・・・・−池澤夏樹の読書日記−」● ★☆ |
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まず、本書中に取り上げられる本には、小説が極めて少ない。あっても、海外SFや、海外小説が多。ノンフィクション、あれこれ知識や思索を深める本が読書の主体、という印象です。したがって、私の知らない本ばかり。 なお、本書中池澤さんが讃美していて、私も読んでことがあるという稀な本は、シュリンク「朗読者」位。改めて「朗読者」のことが思い出されます。 |
●「きみのためのバラ」● ★★ |
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2010年09月
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人生とは旅のようなものであると言った、松尾芭蕉の言葉を改めてかみ締めたくなるような作品集。 8篇の中では「都市生活」が旅に特有のこととして印象的。 なお、「レシタションのはじまり」は他の篇と異なる、ファンタジーのような篇。本当にそんな展開があったら世界はどんなに居心地の良いことか。 都市生活/レギャンの花嫁/連夜/レシタションのはじまり/ヘルシンキ/人生の広場/20マイル四方で唯一のコーヒー豆/きみのためのバラ |
●「氷山の南」● ★★☆ |
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2014年09月
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南極から氷山を曳いてきて溶かした水を農業等に利用しようという氷山曳航計画。 船に留まることを許されたジンは、午前中は厨房で働き午後は船内新聞の記者となり、船になくてはならない存在となります。 本作品の良い処は、ジンに余計な自己主張がなく、自然体であること。そのため作品世界に広がりが生まれ、本物語を読んでいること自体が楽しい。 |
「双頭の船」 ★★ |
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2015年12月
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3.11東日本大震災を契機にした、ファンタジーにしてユーモラスな、しかも“方舟”を思わせる航海記。 自転車修理が得意な主人公=海津知洋が中学時代の教師に指示されて乗り組んだのは、フェリー船「しまなみ8」。その目的は、放置自転車を多数積み込んで修理し、被災地へ届けること。 動物も乗り込み、さらに仮設住宅まで車両甲板上に設置されるとなると、もはやファンタジーに近い。まるで“ノアの方舟”のようです。 ベアマン/北への航海/千鶴さんとヴェット/金庫ピアニスト/さくら丸/オオカミが来た/フォルクローレ/さくら半島 |
7. | |
「砂浜に坐り込んだ船」 ★★☆ |
2018年06月
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静謐で透明感ある作品集、8篇収録。 ひんやりとした清涼感、寂しいとも感じる処がありますが、それでいて解放感に満ちているところが心地良い。 それは収録されている作品のいずれもが、時間を超え、現実と仮想の間を自在に行き来しているからでしょう。 それはもう、大人だからこそ楽しめる小説世界、贅沢な時間、と言うに相応しい。 味わいに富んだ短篇集がお好きな方に、是非お薦めです。 ・「砂浜に坐り込んだ船」:海岸に座礁した大きな貨物船と、主人公の傍らに現れた今は亡き友人。砂浜に坐り込んだかのようなその船と、あたかも気持ちが通じ合うような気分を味わうところが絶妙の味わい。 ・「苦麻の村」:東日本大震災を題材にした作品。誰が老人を責められようか。 ・「上と下に・・・」:舞台はアソコの筈ですが、久々に邂逅した主人公と姪の語らいが楽しい。 ・「大聖堂」:単に島でピザを焼いて食べるだけの話に、何故心惹かれるのでしょうか。(※この篇も多少震災絡み) ・「夢の中の夢の中の、」:民話ファンタジー的な夢、夢、また夢。それに対して何と現実世界の無粋なことか。(笑) ・「イスファハーンの魔神」:何で魔神が? 呆然とした後お互いに確認し合う義母と娘の様子がいみじくも現実的で、アラビアンナイト的世界との対比がミスマッチで笑えます。 ・「監獄のバラード」:大雪の中をわざわざ墓参りに向かう一人の男。その理由は・・・・何ともはや。 ・「マウント・ポラダイルへの飛翔」:どこまでも歩いていけたら・・・・夢、ですね。 砂浜に坐り込んだ船/苦麻の村/上と下に腕を伸ばして鉛直に連なった猿たち/大聖堂/夢の中の夢の中の、/イスファハーンの魔神/監獄のバラード/マウント・ポラダイルへの飛翔 |
8. | |
「キトラ・ボックス KITORA BOX」 ★☆ |
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一度見送ったのですが、新聞の書評を読んでだったか、読んでみようと思った次第。 奈良県天川村にある日月神社、そのご神体である禽獣葡萄鏡と剣の考古学的調査を依頼された讃岐大学理学部准教授の藤波三次郎は、トルファン出土のよく似た禽獣葡萄鏡についての論文を発表していた可敦(カトゥン)に協力を求めます。 可敦は新疆ウィグル自治区から来日して、現在は国立民族学博物館研究員の職にある若い女性。 藤波と共に鏡と剣の現物を見た可敦は、剣に刻まれた模様がキトラ古墳の天文図とそっくりであることに気づく。また、藤波はもうひとつそっくりの鏡が瀬戸内海の大三島にある大山祇神社にあることを思い出し、再び可敦と共にその現物を確かめに大山祇神社の宝物殿を訪ねます。するとその帰り、可敦が2人の中国人に襲われ、拉致されそうになるという事件が発生。 可敦曰く、兄が独立運動の活動者。北京政府が可敦を人質にして兄の行動を制約しようとしたに違いない、と。 藤波は同じ大学の研究者仲間である宮本美汐に連絡を取り、とりあえず凪島にある美汐の実家に可敦を匿う。 美汐は、凪島で今は郵便局員をしているが、かつては警視庁公安部捜査官だった行田安治に可敦の件で協力を依頼する・・・。 古代史に纏わる謎と、可敦を巡る現在の事件・・・2つの謎がどう絡み合うのかと興味津々でしたが、結局は別々のものと判り、いささか拍子抜けした気分。 それにしても最近、天智〜天武時代関連の本を何故か度々読んでいるなぁという気がします。 ※もうひとつ余談ですが、本ストーリィにもっと冒険活劇エンターテイメント要素を加えたら、クライブ・カッスラー“ダーク・ピット”シリーズのような作品になるなぁとふと思った次第。 |