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1.鳶がクルリと 2.ベリィ・タルト |
●「鳶がクルリと」● ★★ |
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2005年9月 2002/03/05 |
一流会社の総合職OLだった貴奈子が主人公。上司のふと洩らした一言で会社生活に嫌気がさし、あっさり退職。そして再就職した先は、それまでの会社生活とまるで畑違いの、叔父・勇介が経営する鳶職の会社「日本晴れ」。 粋と見栄を大事にする鳶職の世界に入り込んだ貴奈子の体験録、というのが本書ストーリィです。 そう聞くと、異文化体験をベースにしたユーモア小説のように受け留められそうですが、(そうした面白さはあるにしろ)本作品の本質はまるで違うのです。さしづめ、現代社会への鋭い風刺、痛切な批判を内に詰め込んだ作品。 鳶のメンバーはそれぞれ個性豊かですが、それ以上に彼らの会話が突き抜けてユニーク。 究極は、仕事とは、会社とはどうあるべきか、というのがヒキタさんの追求するところ。 |
※映画化 → 「鳶がクルリと」
●「ベリィ・タルト」● ★★ |
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2005年6月 |
元ヤクザの芸能プロ・関永と、彼にスカウトされてアイドルを目指す美少女リンの物語。 本書題名は、アイドルはカスタードクリームの海に身を沈みかけたベリィ、その周囲の硬く焼き上げられたパイ生地をヤクザに見立てた故のものだそうです。
新たなアイドルが誕生するストーリィとなれば、そこに周囲との葛藤・摩擦が生じるのは当然のことでしょうけれど、本作品の場合はもっと凄い! そこはヒキタ作品らしく、芸能界の争いというより、その背後に控える暴力団の抗争というに近い。 |