ジョンストン・マッカレー作品のページ


1883年カナダのオタワ生、アメリカの作家。高校卒業後新聞記者、海外特派員を経て作家。本名のほかにハリントン・ストロング、ジョージ・ドレイン、レイリー・ブライアンなどの筆名を用いてアクション小説や映画シナリオなどを数多く執筆。1908年「失われた希望の土地」が処女作。ヒット作「怪傑ゾロ」は長編第3作で、初版の題名は「カピストラノの疫病神」だったといわれる。他の作品に短篇“地下鉄サム”シリーズあり。

  


 

●「怪傑ゾロ」● ★★★
 原題:"
THE MARK OF ZORRO
"      訳:井上一夫


1924年発表

1969年12月
創元推理文庫
  
2005年12月
新版
(660円+税)

 

1971/08/03
2006/07/27

本書を初めて読んだのは、今を去ること35年前、高校時代の夏休みのこと。
創元推理文庫の<冒険もの>に行き当たり、その面白さに熱中しました。オルツィ「紅はこべ」、デュマ「黒いチューリップ」等々。その中で特に熱中したのが、本書とサバチニ「スカラムーシュです。今振り返っても、そのおかげで楽しい夏休みだったと思う。
それ以前の「ゾロ」との関わりは、TVドラマの「怪傑ゾロ」ぐらい。
映画化も何度かされ、その度にゾロの怪傑振りは派手になっていきますけれど、私にとっては単純でクラシックな原作のゾロが魅力的です。

原作の面白さのポイントは2つ。ひとつは、ヒロインであるセニョリタ・ロリタの口説き落し方。
女性の口説き方が見事な小説というと、私にとって忘れ難いのは本書とシィエクスピア「リチャード三世。後者は悪人による騙しですから、良い方では本書が筆頭。
もうひとつは(それが本作品の最大の魅力なのですが)、気が好い面倒臭がり屋のドン・ディエゴ・ベガと颯爽たる恰好良さのあるゾロとの組み合わせの妙です。「ジキル博士とハイド氏」と同じ趣向なのですが、ドン・ディエゴ・ベガが居てこそのゾロの魅力なのです。
ドン・ディエゴとゾロ、どちらが良いかと問われても、そこはそれ、セニョリタ・ロリタの意見同様、どちらも捨て難いのです。

古典的な冒険小説。「スカラムーシュ」と合わせお薦めです。

※映画化 → マスク・オブ・ゾロ

 


  

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