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十勝〜釧路の温泉 byやませみ




【第5回】 【足寄・阿寒の温泉-2】

 

■オンネトー湯の滝温泉「滝の下露天風呂」

  足寄町 TEL/なし 無料

<資料>
  湯の滝温泉 1988年分析
  Mg-SO4 43.8℃ pH=6.1 200 L/min
  ER=1950
  Na=165 K=46.2 Mg=140(44.5) Ca=120
  Cl=165 SO4=791(62.9) HCO3=308 mg/kg (mval%)

秘境の湖オンネトーも今やすっかり有名観光地となり、湖岸の細い道を大型観光バスやRV車がぞろぞろと連なり賑やかです。湯滝の入口にも駐車場が整備され、案内板も立てられてずいぶん分かりやすくなりました。ここの駐車場は車内ドロが多いそうなので要注意です。この日も道警のパトカーが巡回に来ていました、ごくろうさま。

湯の滝まではトラックも通れる広い林道をダラダラ歩いて40分ほどです。野鳥も少ない薄暗い森が単調に続き、いささか飽きてきたころに森がぱっと開け、高さ25mほどの滝がさわさわと流れ落ちています。マンガン沈殿のついた黒い岩肌と緑のコケの対比が目に鮮やかです。湯滝とはいうものの、水温は少しなまぬるいかな?という程度なので大半は沢水のようです。温泉の湧出地は滝の上にありますが、こちらは保護のため入浴は禁止です。

滝は左右に分かれており、その中腹あたりに無料の露天風呂が設置され、左滝の上部に見える貯湯升からパイプで引かれてきています。径3mほどの丸い石組み浴槽は無料露天にしてはなかなか立派なつくりで、清掃もよくされているようです。湯口から38℃のぬる湯が150 L/minほども大量に掛け流されていますが、貯湯升では湯気が立っていたので途中で加水調整されているようにも思えます。

無色澄明の湯は少しほろ苦味があるほかは特徴に乏しく、浴感もごくあっさりしています。日本では数少ない正苦味泉の珍しい泉質ですが、雌阿寒温泉のほうがそれっぽいというのが正直な感想。お湯はともかく森の中のロケーションはなかなかロマンチックなので、お風呂セット片手のカップルさんが次々とやってくるのはうなずけます。
(2004.06.13)


新緑が目にしみる湯滝

あっさりした湯でした



■雌阿寒温泉「オンネトー温泉・景福」

  足寄町茂足寄 TEL/01562-9-7015 無休 11-20 300円

<掲示> 玄関の休憩所に分析表
  雌阿寒温泉・景福源泉 S62.05 足寄町茂足寄162-1
  S−Mg・Ca・Na−SO4・Cl(H2S型) 41.1℃ pH=5.6 450 L/min・自然湧出
  ER=3.633 TSM=3.664 総計=4.256 g/kg
  Na=269.8(21.8) K=75.7 Mg=255.0(39.0) Ca=365.2(33.9) NH4=7.5 Mn=13.3
  Cl=602.4(31.6) SO4=1583(61.2) HCO3=231.6 F=0.3 HPO4=0.9 HS=1.2 S2O3=0.4
  H2SiO3=216.3 HBO2=41.6 CO2=556.7 H2S=34.9 mg/kg (mval%)

雌阿寒温泉に15年前くらいにできた新しめの民宿です。古い写真ではお寺みたいのが建っているので、むかしは寺湯だったのかもしれません。到着したときは登山帰りらしい浴客で混雑していましたが、夕暮れには皆帰ってしまいひっそりと寂しくも静かです。どこか森の奥でフクロウが鳴いているのが聞こえるばかり。部屋と食事は料金相応の簡素さで、名産のフキ料理と裏庭で採ったクレソンが美味でした。

山際に自然湧出する源泉の直上に内湯がつくられ、木造の小さい浴舎になっています。石組み2x2.5mの浴槽底には岩盤が露出し、39℃ほどのぬる湯が満ちています。おそらく斜めに走る断層に沿って湧出しているのでしょう。玉砂利が敷かれているので湧出口は判然としませんが、汲み湯パイプを射してある付近でお尻が暖かくなるので湧出の中心らしいです。男女は仕切の下でつながっていますが、女湯側は底がほとんどコンクリで固められているので、足下湧出の実感がなくてやや寂しいです。

足下湧出の新鮮湯はあくまでも澄みきって美しいながめです。朝日のなかでは全体に青く蛍光しているようにも見え、湯中のわが足があまりに青白いので不気味な感じさえします。見た目の淡白さとは裏腹に、ほろ苦い薬味に微炭酸を含んだハイボールふうの個性的なお味、焦げイオウ風味もたっぷりついて珍品。浴感は濡れたゴムをなでるようなキシキシした弾力感で、浴後はサラサラと爽やかです。ただし石けんは全然効かないので、登山後の汗流しには不向きかもしれません。

内湯と分かれて設けられた半混浴の露天風呂は、民宿の露天としては不釣り合いに広大。岩組コンクリ床の浴槽は20x8mの長円形で、女湯側のメイン湯口に42℃の源泉が50 L/minの投入。仕切のところからも木樋で少量投入。浴槽がでかすぎるので周縁部では36℃くらいのぬるま湯ですが、魅力的な青白い濁り湯になっています。源泉は内湯に接近した湧出口から引き入れているのでほぼ同じですが、対極的な湯使いの違いでかくも様相が変わるかと比較できて面白いでしょう。もっとも、澄んだ内湯を温泉だと思っていないお客さんも多いようで、そそくさと身体を洗って露天に急ぐ人が多いのはいささか残念に思います。
(2004.06.12宿泊)


左手が大露天風呂

足下湧出の内湯(男湯)

女性用には湧出がない

青白く濁っています



■雌阿寒温泉「野中温泉YH」

  足寄町茂足寄 TEL/01562-9-7454 無休 7-22 200円

<掲示> 浴室入口に古い分析表
  源泉名記なし S33.09
  含食塩石こう硫化水素泉 43℃ pH=6.4 湧出量記なし
  ER=3.97 総計=4.520 g/kg
  Na=304.9(24.4) K=29.0 Mg=59.9 Ca=728.1(62.8)
  Cl=685.1(33.4) SO4=1736(36.2) HCO3=146.4
  H2SiO3=- HBO2=- CO2=502.2 H2S=32.4 mg/kg (mval%)

野中温泉は別館のほうが有名ですが、隣りの本館もユースホステルとして利用されています。もっとも、今回はご年輩客ばかりで、ユースというよりは鄙びた湯治宿というほうがぴったりでしたが・・・

薄暗い廊下をず〜っと奥へ進むと総木造の湯小屋があり、これがまた実に鄙びた味わいを出しています。窓が大きくとってあり明るく、湯気抜きも高いのでからりと乾いて快適な浴室です。木製2x3mの深め浴槽に、木樋の湯口から41℃の源泉が120 L/minほど大量に掛け流しでぬるめ40℃。無色澄明な湯は青白く光っているように見えてとても美しく、軽快なイオウ臭もよく香って楽しい気分になります。ほろ苦味に微炭酸がついた辛口の湯は景福と同系ですが、少し柔らかみがあるようにも感じられます。
(2004.06.13)


鄙びた湯治場の雰囲気

大量に掛け流しています


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