■雌阿寒温泉「オンネトー温泉・景福」
足寄町茂足寄 TEL/01562-9-7015 無休 11-20 300円
<掲示> 玄関の休憩所に分析表
雌阿寒温泉・景福源泉 S62.05 足寄町茂足寄162-1
S−Mg・Ca・Na−SO4・Cl(H2S型) 41.1℃ pH=5.6 450 L/min・自然湧出
ER=3.633 TSM=3.664 総計=4.256 g/kg
Na=269.8(21.8) K=75.7 Mg=255.0(39.0) Ca=365.2(33.9) NH4=7.5 Mn=13.3
Cl=602.4(31.6) SO4=1583(61.2) HCO3=231.6 F=0.3 HPO4=0.9 HS=1.2 S2O3=0.4
H2SiO3=216.3 HBO2=41.6 CO2=556.7 H2S=34.9 mg/kg (mval%)
雌阿寒温泉に15年前くらいにできた新しめの民宿です。古い写真ではお寺みたいのが建っているので、むかしは寺湯だったのかもしれません。到着したときは登山帰りらしい浴客で混雑していましたが、夕暮れには皆帰ってしまいひっそりと寂しくも静かです。どこか森の奥でフクロウが鳴いているのが聞こえるばかり。部屋と食事は料金相応の簡素さで、名産のフキ料理と裏庭で採ったクレソンが美味でした。
山際に自然湧出する源泉の直上に内湯がつくられ、木造の小さい浴舎になっています。石組み2x2.5mの浴槽底には岩盤が露出し、39℃ほどのぬる湯が満ちています。おそらく斜めに走る断層に沿って湧出しているのでしょう。玉砂利が敷かれているので湧出口は判然としませんが、汲み湯パイプを射してある付近でお尻が暖かくなるので湧出の中心らしいです。男女は仕切の下でつながっていますが、女湯側は底がほとんどコンクリで固められているので、足下湧出の実感がなくてやや寂しいです。
足下湧出の新鮮湯はあくまでも澄みきって美しいながめです。朝日のなかでは全体に青く蛍光しているようにも見え、湯中のわが足があまりに青白いので不気味な感じさえします。見た目の淡白さとは裏腹に、ほろ苦い薬味に微炭酸を含んだハイボールふうの個性的なお味、焦げイオウ風味もたっぷりついて珍品。浴感は濡れたゴムをなでるようなキシキシした弾力感で、浴後はサラサラと爽やかです。ただし石けんは全然効かないので、登山後の汗流しには不向きかもしれません。
内湯と分かれて設けられた半混浴の露天風呂は、民宿の露天としては不釣り合いに広大。岩組コンクリ床の浴槽は20x8mの長円形で、女湯側のメイン湯口に42℃の源泉が50
L/minの投入。仕切のところからも木樋で少量投入。浴槽がでかすぎるので周縁部では36℃くらいのぬるま湯ですが、魅力的な青白い濁り湯になっています。源泉は内湯に接近した湧出口から引き入れているのでほぼ同じですが、対極的な湯使いの違いでかくも様相が変わるかと比較できて面白いでしょう。もっとも、澄んだ内湯を温泉だと思っていないお客さんも多いようで、そそくさと身体を洗って露天に急ぐ人が多いのはいささか残念に思います。
(2004.06.12宿泊)
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