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信州高山村の温泉 [6] byやませみ


■奥山田温泉「満山荘」

高山村奥山田3681-344 TEL/026-242-2527 10-15時 800円

<掲示> 浴室入口に簡易掲示のみ
 H08.03 奥山田字山田入3682-1
 単純硫黄泉 96.2℃ 使用位置61℃
 高山村HPによれば
 単純硫黄泉 72.9℃ 280 L/min

五月中旬の奥山田高原はやっと春を迎えたばかりで、牧草地にツクシがたくさん顔を出してしました。スキー場がクローズして笠ヶ岳峠が開通するまでのこの時季は、人影少なくひっそり静かです。白く輝く北アルプスを遠望する高原の風景はハイジの村みたいですね。

いつも満室状態の人気宿ですが、たまたま空いていた新館の角部屋「蓮華」に宿泊しました。宿料は旧館16000円と新館18000円ですが、旧館は山岳展望が新館の屋根で妨げられるので、2000円の差は展望料金とみて新館をチョイスするのがよいかと思います。

食事は夕朝とも食事処でみんな一緒にとります。いろいろな良質な食材を少しずつ、なかなか凝ったアレンジで出してきます。山菜天ぷらは揚げたてを女将さんが次々配り、これだけで満腹になってしまいそう。リンゴ天が意外に美味なのを発見しました。

ひととおり食事が終盤になると、女将の挨拶ならぬ名物の「堀江おっちゃん」の登場。「おっちゃんの温泉2億円、世界一の温泉」を連発しつつ、奥山田の魅力を熱く語ります。子供はちょっと恐がっていますが、話が進むにつれ「これは偉人だ!」と引き込まれてしまいます。とはいえ、おっちゃんのセンスだけでは個性が突出してB級宿になっていたかもしれません。人当たりのよい若旦那がしっかり堅実に支えているという印象をうけました。

浴場は木造に波トタン屋根の手作りふうで、粗野な感じが山の湯らしくてよいです。谷側(右)のほうは岩風呂風の内湯が2x4mほどで、湯滝状に55℃の湯が20 L/minの投入。1:2に仕切られて温度差がついていますが、暑い日だったのであまり変わらず43℃と42℃でした。

露天は1x4mほどの細長いもので、湯口から5 L/min弱の絞り投入でぬるめ41℃。横に6人ほど並んで入浴しながら山岳展望を存分に楽しめます。山側(左)のほうは岩風呂風の内湯が1.5x3mで10 L/minの投入、仕切で43℃と42℃。露天は3x4mの大きめコンクリ槽で10 L/min投入のぬるめ38℃。

やや青みがかった澄んだ湯で、底に沈殿した灰白色の湯花をかき回すと青白い半濁になります。弱い焦げイオウ臭、弱きしきしのある薄い石膏系の淡白でさっぱりした湯です。泉質だけではいたって平凡なので、やはり山岳展望あってこその温泉地でしょう。晴天をねらって訪問されることをお薦めします。
(2005.05.16泊)


立派な新館ができています

内湯は岩風呂ふう

細長い露天風呂
 




■奥山田温泉について

源泉地は松川渓谷にあり、五色温泉より少し上手の急カーブ直下に櫓と噴気が見えます。ここから標高差320mをポンプで引き上げて12軒の宿泊施設や企業保養所に供給。堀江さんの図面を見ると、300m掘削井の沸騰熱水に周辺から引いた沢水を注入しています。蒸気熱水混合の状態だとポンプ送湯できないので、注水で蒸気を冷却凝縮させるわけです。半造成温泉ともいえますが、地熱地域の温泉ではよくみられる方式です。

資料DATA(熱水の分析)
 S-Na-Cl 96.2℃ pH=8.3 - L/min
 ER=1624 TSM=1597
 Na=365(88.4) K=25.7 Mg=0.05 Ca=28.64
 Cl=468.1(71.4) SO4=162.2(18.3) HCO3=73.2
 OH=0.03 F=1.13 HSiO3=14.34 HS=15.05
 H2SiO3=438.1 HAsO2=4.9 H2S=1.48 mg/kg (mval%)


北アルプスの展望


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