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北海道後志地方の温泉めぐり byやませみ


【第6回】 
島牧と二股(1)

大都市や主要観光地から遠く離れているので、北海道人も最後の秘境と認める島牧村。人家もまばらな地に良い温泉が点在しています。海産物も豊富なので訪れて絶対後悔しないところです。

島牧村公式HP「しままき観光の達人」
http://www.vill.shimamaki.hokkaido.jp/contents/oide/


豪快に流れ落ちる賀老の滝

自然湧出の炭酸水「ドラゴン・ウォーター」


宮内(ぐうない)温泉「宮内温泉旅館」

  島牧村泊431 TEL/0136-75-6320 不定休あり いちおう10-20時 450円

<掲示> 脱衣所に分析表掲示
  宮内温泉3号井(S55.10分析) 島牧村泊427地先
  Na−HCO3・SO4 48.8℃ pH=7.2 3000L/min・自噴 蒸発残留物=0.970g/kg 総計=1335mg/kg
  Na=310(83.6 mval%) Fe(II)=0.2 HCO3=618.7(62.8) SO4=233.8(30.14)

島牧村の中心の泊地区から4kmほど入った山間にひっそり佇む鄙びた温泉宿。開湯は寛永とも安政ともいうから、かれこれ400年ちかい北海道でも有数の古湯。象の「花子」が湯治療養に来たことでも有名だが、どうやって漬かったのだろう? このあたり親父さんに尋ねてみたかったが、すでにお昼寝モードに入っていたらしく呼んでも応答なし(^.^;

浴舎は宿の裏手にある年季の入ったもの。古びてはいるが風通しがいいのでわりと清潔。扇形の大小タイル浴槽が並んでおり、小浴槽の湯口から48℃の源泉が20 L/minほど投入される掛け流し。熱めの湯は無色透明で微かな鉄風味がある。薄めの重曹にボウ硝も含んでおり、淡白ながらキシキシとスルスルが混在する変わった感触。浴槽の底には鉄質の沈殿がわざと大量に残してあるので、かきまぜると錆色の赤湯になる。漬かるほどに徐々にふっくらと温まってくるのがとても気持ちいい。

大浴槽のほうへは上澄みだけ流れるようになっているので、こちらは微かに緑がかった透明湯でぬるめの39℃。この時季はお客さんも少ないのか、しばらく掃除してないようでコケが生えまくっているけど不潔感はない。窓の外には手作りっぽい小型の露天も用意されている。

源泉の湧出量はいまだに相当なものがあり、内地ならとっくに大きな温泉地ができているところだ。ごく一部しか使われていないのはまことに勿体ないが、そのへんが北海道の奥行きというものだろう。
ここからさらに泊川を奥に入ると、泊川河鹿温泉、泊川黄金温泉という野湯があるそうな。ただしヒグマの出没も増えているそうなので充分に注意されたし。(2002.6.24)


ひっそりと静まりかえっている

あまり掃除してない感じだが湯は極上

いちおう露天風呂もある



島牧温泉「島牧漁り火温泉」

  島牧村江ノ島251 TEL/0136-75-6211   第2・4月休(夏季無休) 10-22時 400円

<掲示> 脱衣所に分析表掲示
  島牧温泉・千走河口源泉2号(H2.4分析)
  Na−HCO3・Cl *65.0℃ pH=7.2 湧出量記載なし(資料;300L/min・自噴)
  蒸発残留物=5.948g/kg 総計=7694mg/kg
  Na=2217(94.8 mval%) Fe(II)=1.5 HCO3=2928(46.9) CO3=3.5 Cl=1502(41.4) SO4=565.3(11.5)
  CO2=256.1
  *)現在は泉温が低下し、加熱しているという

村営の小さな日帰り温泉施設。国道沿いなのだが看板が出ていないのでちょっと迷う。てっきり道の駅に付属しているのかと思っていたら、川を挟んだ反対側にある大きなスポーツハウスの横ちょにちんまりと控えているのであった。おばちゃんが一人で管理しており、完璧に掃除が行き届いた清潔な館内は小上がりの休憩所もあってわりと広い。

内湯は1.8x4mの深めの浴槽から全面的に湯が溢れている。注入口が浴槽底にあるから量は定かではないが、ぶくぶくと気泡をともなって40 L/minは出しているようだ。弱い塩味をもつ濃い重曹のダシ味で、新鮮な鉄風味と炭酸刺激もじゅうぶんに感じられる。味の良い湯なので、飲泉できる湯口を設けてほしいところだ。肌触りがスルスルし、アルカリ性のつるすべ湯からヌメリを取り除いたようなちょっと不思議な浴感があって面白い。爽やかによく温まる佳品。

ここの醍醐味はやはり海際の露天にある。海岸露天はけっこうあるが、これほど遮る何物もなく視界が広大なのはちょっとないだろうと思う。夜にまた来て漁り火を眺めようと思ったが、疲れて寝てしまったので果たせず残念。(2002.6.25)


階上の望楼みたいのは湯気抜き

全面的に溢れ出している

視界を遮るものは何も無い




千走川(ちはせがわ)温泉「千走川温泉旅館」

  http://www.big-hokkaido.com/chihasekawaonsen/
  島牧村字千走 TEL/0136-74-5409
  冬季休あり いちおう8-22時 400円 宿泊7500円/10000円(料理の差)

<掲示> 浴室入口に分析表掲示
  千走川温泉1号井(S50.5分析)
  Na−HCO3・Cl 38.5℃ pH=6.5 57.2 L/min 10.5m・動力 蒸発残留物=3.061g/kg 総計=4383mg/kg 
   Na=814(66.2 mval%) Ca=190.0(17.7) Mg=76.6(11.8) 総Fe=3.66
   HCO3=2001(60.4) Cl=574.8(29.9) SO4=255.1 CO2=336.0

漁り火温泉のそばで海に注ぐのが千走川で、これを6kmほど遡上ったところに素朴な宿がぽつんとある。さらに奥へ進むと賀老高原に至るので、夏場はけっこう人出もあるそうだが、今時はひっそりとしたもの。宿の外見は写真の通り全然ぱっとせず、日帰り入浴の旗がなければ工事事務所かと思って通り過ぎてしまうだろう。

玄関を開けたらいきなり親父さんが目の前にいて驚いたが、今晩の泊まりはうちらだけなので待ちかまえていたようだ。温泉の開湯は明治4年らしいが、永らく未利用で打ち捨てられていたのを先代が山ごと買い取ってはじめたとのこと。温泉ファンの夢みたいな話ですねというと、これが案外しんどい家業でね〜と笑っておられた。

浴舎は天井の高い木造で堂々としている。1.6x3mの浅めの浴槽は赤褐色の濁り湯(30cm)で満たされている。溢れる湯の析出で洗い場まで全面に覆われ、もとはコンクリだかタイルだか判然としないようになっている。緑色になっているのは藻類のせいかと思う。湯口のパイプが湯中にあるので定かではないが、50℃ほどの加熱湯が10 L/minくらい注入されているようだ。ブクブクと気泡が分離して出てくるので炭酸の泡付きはないが、微弱塩味で濃い重曹味の錆っぽい湯には炭酸刺激もかなり残っている。土類重曹系のさらさらした肌触りで、刺激感がないから長く漬かっていられる。

森に面した露天は1.5m方形の小さなもので、こちらも湯中のパイプから38℃ほどの湯が5 L/minくらい掛け流され、源泉のまま非加熱かと思われる。やや緑がかったささ濁り(50cm)で、鉄風味が新鮮。ほぼ不感温度のぬる湯に長々と寝そべって月を眺めていると、ゆっくりほこほこと温まってきて身体が軽くなるのを覚える。
奮発して海の幸つくしの夕食をいただく。揚がったばかりでまだ元気に動いているウニやらアワビが幾つも出てきて食べきれないくらい。はるばるやってきて良かったな〜(^o^) (2002.6.24宿泊)



工事事務所みたいな素朴な外観

左端の浴槽内に注入される 析出でこてこて

露天は非加熱で色合いがだいぶ違う




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