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北海道後志地方の温泉めぐり byやませみ


【第7回】 
島牧と二股(2)

月腰高原(道道523)からみた島牧村の全景



茂津多海岸温泉「モッタ海岸温泉旅館」

  島牧村栄浜362 TEL/0136-74-5336 無休 9-21時 500円

<掲示> 浴室前廊下に分析表掲示
  モッタ海岸温泉(S47.4分析) 島牧村栄浜362-1地先
  S−Na−Cl 47.0℃ pH=6.8 湧出量記載なし(資料:200 L/min・動力)
  蒸発残留物=6.896g/kg 総計=7834mg/kg
  Na=1860(66.8 mval%) Ca=354.1(14.6) Mg=193.7(13.15) Fe(II)=3.6
  Cl=3403(79.3) SO4=609.4(10.5) HCO3=756.4(10.2) CO2=259.6 H2S=4.42
  ラドン・ラジウムの計量はなし

ここより先は集落もほとんどなくなり、いよいよ最果てに来たなという旅情を感じさせる風景。強い潮風にさらされて人家もみな灰色に風化しつつある中、高台に新造された旅館が妙に目立つ。わりと新しい温泉で秘湯ファンにはかなり知られた存在だったが、平成10年の調査で道内有数のガンマ線量をもつ源泉と判明してから、思い切って全面改装して再開した。脇には思いきり鄙びた旧館もまだ残っており何かに使用されている気配。日帰り入浴は旅館部と別棟の入口になっており、受付で上品なお婆ちゃんが静かにお客さんを待ち受けている。

内湯は小さく、2x4mのコンクリ製の浴槽と洗い場が2つあるだけ。換気があまりよくなく、湯気がこもっているのがちょっと具合悪い。パイプ湯口から46℃の源泉が小枡を経て5 L/minほど投入される少量掛け流しで、かなり熱い(43℃)。

わずかに緑がかったほぼ透明で、白い湯花が細かく大量に浮遊しているからかきまわすと白濁になる。やや強めの苦塩味に明瞭な硫黄風味と新鮮な鉄味がついてとても美味しい。重い浴感の湯で、SO4やHCO3もたくさん含むので肌触りがとても柔らかく滑らか。漬かってすぐに大量の汗が噴き出してくる良質の温もり湯で、療養効果は高そうだ。

露天は2.4x1.8mでこちらもコンクリ製。投入量がごく少なく絞られているから39℃とぬるめ。浴槽底に泥状の湯花が薄く溜まっているので、ひじょうに滑りやすくなっていてコケそうになった。鉢植えが並べてあるので湯に漬かりながら海を見渡すことはできないが、床が木製なのでごろりと横になって風に吹かれるのが心地良い。(2002.6.24)

ガンマ線測定についての詳細は
輪島ほか(1997);ポータブル型ガンマ線スペクトロサーベイメータを用いた北海道の環境ガンマ線量の調査
 Radioisotopes, vol.45, no.5


こぎれいに新築されて清潔

熱いので少量注入がちょっと残念

海風が心地よい




二股温泉「二股らぢうむ温泉旅館」

  三和ファイナンスの二股らぢうむ温泉のページ
  長万部町大峯32 TEL/01377-2-4383  無休 7-21時 1000円

<掲示> 効能書きのみ掲示 以下は資料より
  二股温泉(1A,B,2,3,4,5,6,7号の混合)
  Na・Ca−Cl 46.1℃ pH=6.6 総計=11.16g/kg Rn=0.47M.E.
  二股温泉(8号泉、通称炭酸泉)
  含弱放射能−Na・Ca−Cl 20.8℃ pH=6.2 総計=6.012g/kg Rn=13.94M.E.(50.7Ci)

国道から6kmほどの舗装道路ですぐに来られるし、全面的にリニューアルしたから秘湯という感じはあまりない。かつての異次元空間のような偉容は微塵もなく、誰でも気軽に来られる普通の温泉宿になった。玄関前にやせこけたキタキツネがうろついているのだけは以前と同じ。受付奥の事務室では盛んに予約の電話が鳴って対応に追われている。さすがに島牧あたりとは有名度が違うな、と感心したり呆れたり。

長い階段を下りるアプローチで、新浴場は以前の場所を一段削って作られているようだ。脱衣所などリニューアルできれいになったのは良いとしても、何となく造作が安普請で通風が悪く、妙な臭気が漂っていてやや不快。木版に大書された由来や効能書きがあちこちに掛けてあるのに、正式な掲示がどこにもないのも評価を下げてしまう。ラジウム泉とはいいながら、規定に達しているのは通称「炭酸泉」の冷泉だけで、これはどれくらい配合されているか不明。(玄関脇に炭酸泉だけが出る水汲み場がある。無料かどうかは未確認)

混浴の大浴場は以前の様式をほぼ継承しているが、湯面には炭酸カルシウムの析出が膜を張っているし、なぜか排水処理場を連想させるような構造で、情緒がまるでないせいかこちらに入浴している客はだれもいない。著しく深い(120cm)浴槽と浅い浴槽が2個づつ。それぞれ42℃・41℃、39℃・37℃と表示されているが、この時季は全体に2℃は低い感じ。排出口は浴槽内にあるので、前のように析出でコテコテに覆われることは将来もなさそうだ。壁際にかけ湯兼飲泉所が設けてあり、新鮮な源泉を味わえる工夫は良い。

小振りの露天風呂では石灰華ドームを眺めながらの入浴となる。が、もはやてっぺんからの湧出は止まっているようで、何だか全体に白くひからびて無惨な感じ。一段下がったところに歩行浴用の温泉プールがあり、ここは結構な人気である。一通り見回ってからじっくり湯を堪能しようと思ったが、翌朝の生中継に備えてTVクルーがケーブルを引っ張ってドヤドヤ行き交うものだから、うるさくてそこそこに出てきてしまった。で、浴感がどうのというのはあまり記憶に残らなかった。御免なさい。

ここは経営者がたびたび変わった不幸な温泉でもあり、過去の資料もほとんど残っていない。新しい経営者を迎えて名湯の歴史が今後も続くことを願っている。(2002.6.25)

昔の様子はみしゅらんレポート(1999.8)でどうぞ
イッサキさんレポ写真に見える青色の湯治棟も全改装されています。



玄関横で炭酸泉を汲める

深いほうの内湯 右は掛湯&飲泉所

浅いほう 湯が析出の膜で覆われている

屋上から露天を見下ろす



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