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北海道後志地方の温泉めぐり byやませみ


【第4回】 
ニセコと周辺(1)

全国のスノースポーツファンが憧れるニセコ山系は、スキー場だけじゃなくて温泉もたくさんあります。距離的にもごく近いので一日でたくさん巡ることができますが、夏休みを控えたこの時季は臨時休業だったりメンテ工事中だったりで、施設の前まで行って「あ〜!休みだって〜」の連続でした。で、立ち寄れたのは結局古くからあるところばかりでしたが、ハズレを引かないぶん良かったのかもしれません。

ニセコ全般のご案内「北海道・ニセコへようこそ!」
http://www.niseko.info/


ニセコ大湯沼の全景
中央部で湯が沸き上がっているが流出が少なくて変?



ニセコ五色温泉「五色温泉旅館」

  http://www.u-p.co.jp/test/goshiki/
  ニセコ町字ニセコ510 TEL/0136-58-2707  無休 8-21時 500円

<掲示> 浴室前に分析表掲示 
  五色温泉(S50.10)
  S−Mg・Na−SO4・Cl(H2S) 79.4℃ pH=3.2 200L/min 自然湧出
  蒸発残留物=5.113g/kg 総計=5284mg/kg
  H=0.636 Mg=445.6(45.7 mval%) Na=572(31.0) Ca=235.9(14.7) SO4=2562(66.5) Cl=944.3(33.2)
  F=4.375 H2SiO3=240.6 H2S=10.54

ほぼ完全に改装されとてもハイカラな宿になった。太い木材を多用した広々とした建築はなかなか快適で悪くないが、なんとなく公営温泉と通じるコンセプトが感じられ、以前の様子を知っているファンには違和感が大きいだろうと思う。浴場は2カ所あり、センター系のようなぴかぴかのが手前にあるが、湯口で大量加水されているし露天も囲われてぱっとしないのでさっさと通過する。

一番奥に旧浴場をできるだけ再現したという「から松の湯」がある。古材だけで組み立てられており、まるで以前からそこにあったように落ち着いている。窓ガラスがひじょうに大きいのですごく明るい清潔な内湯。露天は山に面して開放してあり山風が心地よい(男女別)。浴槽はどちらも3.6x4mほどの貫禄のある総木製で、ごついバルブから50℃の源泉が15 L/minほどゆるゆると掛け流されている。

源泉地から400mほどホースで引湯する間にちょうど適温に冷めてくるらしい。宿泊客が大量加水して浴槽の湯はかなり薄くなっていたので、湯口にへばりつくようにして漬かる。バルブを開放すると60 L/minもレモン色の大量の湯ノ花とともにドバーと出てくるが、女湯のほうで「湯が止まったあ〜」と連れが怒っているので、これはいじらないほうがよいだろう。(^.^;

草津に似た感じの穏やかめの酸性泉。少し青みがかったささ濁り。浴室には焦げた硫黄臭がこもっているが、湯からはほとんど臭気を感じない。苦味のある中程度の酸味でミョウバン系の収斂味はなく、グレープフルーツ果汁みたいで飲みやすい。浴感もあまり刺激はなく、漬かるほどに肌がするすると滑っていくような感触でこれも草津に似ている。浴後はじつに爽快で、宿泊して何度も漬かりたくなる湯。(2002.6.26)


中央右が新浴舎、右端が「から松の湯」

「から松の湯」の下手にも湯が湧いている

どっしりした木製の浴槽

風通しがいい露天風呂



ニセコ湯本温泉「国民宿舎雪秩父」

  蘭越町字湯里680 TEL/0136-58-2328  無休 930-20時 500円

<掲示> 休憩所入口に分析表掲示
 (硫黄泉) 大湯沼(H7.8) 蘭越町258-5
  単純硫黄泉(H2S) 56.5℃ pH=4.9 湧出量計測不能
  蒸発残留物=0.131g/kg 溶存計=144 総計=313mg/kg HS=0.0 S2O3=5.1 H2S=18.1 CO2=151.1
 (鉄鉱泉) 雪秩父源泉(S59.2) 蘭越町湯里680-2
  単純硫黄泉(H2S) 52.2℃ pH=5.8 150 L/min 30m・動力
  蒸発残留物=0.458g/kg 溶存計=702 総計=1216mg/kg
  Mg=24.8(30.6 mval%) Na=46.4(30.3) Ca=38.5(28.8) Fe(II)=7.0 HCO3=377.8(91.3) HS=0.3
  S2O3=0.2 H2SiO3=161.1 CO2=507.9 H2S=6.3

大湯沼の直近に建つ旧い国民宿舎。露天風呂をたくさん新設したのでニセコで最も有名な施設になった。平日の午前中なのにけっこう混んでいる。午後にはツアーの団体も大挙して押し寄せるそうだ。

内湯は以前のままで、鉄鉱泉と硫黄泉の浴槽がそれぞれある。硫黄泉は灰色っぽい微白濁で、見た目はいかにもよさそうだが成分はきわめて薄く、家の風呂に湯ノ花入浴剤を入れたくらいの浴感しかない。鉄鉱泉のほうは緑褐色に濁った薄めの土類重曹泉型で、さび臭と少ししぶいキシキシ感があってまだしも温泉らしい浴感がある。ちょろちょろの投入でぬるくよどみ、炭酸も抜けきり新鮮さがなくなっているのが少々残念。

されば人気の露天はというと、いろんなネーミングのついた中小の浴槽が5つほどあるが、基本的にみな似たようなもので、浴感に乏しいからすぐに飽きる。でかい露天をどーんと作ったほうがまだよかったかもしれない。女湯には泥風呂もあったそうだが、泥がちょっぴりしか溜まっておらず、これも期待はずれだと大いに不満げであった。大湯沼の湯に漬かれるという点では一浴の価値はあると思うが特に感慨はない。(2002.6.26)


大湯沼のすぐそばに建つ 右端が露天
 



昆布鯉川温泉「鯉川温泉旅館」

  http://www.d1.dion.ne.jp/%7Ekoikawa/index2.html
  みしゅらんレポート(2001.1)はこちら
  蘭越町湯の里592 TEL/0136-58-2111 9-21時 500円

<掲示> 簡易掲示のみ
  Na・Ca(・Mg)−Cl・HCO3 ?℃ pH=6.8
  緑褐色濁 熱め掛け流し

昆布温泉街から少しはずれた奥まった位置にあるので静か。池の辺に佇む白壁赤屋根の建物が新緑との対照で美しい。老舗宿らしい落ち着いた雰囲気があり、熟年世代に人気が出てきているのがうなずける。

内湯は予想外に広く、正面にタイル絵なんぞあってレトロな情感に満ちている。使い込まれた5x5mほどの巨大なタイル浴槽が中央大半を占めていて、どーだ参ったかといわんばかりの圧倒的な存在感。洗い場は両側に2箇所あるだけだから、洗う風呂ではなくてあくまでも漬かる風呂である。2槽に分かれた湯口側の小浴槽には、80 L/minほどの44℃の源泉がどばどばと大量投入され、80cmもある深い大浴槽のほうへ流れ込み全面的に溢れ出している。この時期は小浴槽42℃、大浴槽41〜40℃で絶妙の適温になっている。

源泉はほぼ透明だが、小浴槽には大量の赤褐色の鉄質沈殿が溜まっているので、かきまわすと錆っぽい赤い濁り湯になる。大浴槽は上澄みだけ入る格好だから、こちらは緑がかった笹濁りで新鮮な鉄風味。総計3000ほどかなという弱塩味と重曹ダシ味で、薄いお茶漬けくらいで美味しく飲める。浴感はキシキシが少しあって刺激的ではないので、出入りしながらまったりと長く漬かれる。濃い湯ではないのだがけっこうな温もり感があって、浴後はかなりの汗が出てしばらく止まらない。

露天に出る途中には打たせ湯も設けられているが、これはなぜか出ていない。露天風呂は3x3mくらいの浅めで、40℃ほどの温めの湯が木樋から30 L/min掛け流されている。新緑に覆われた小さな滝を見ながらぬる湯に浸るのは清々しく、内湯でほてった身体をクールダウンするのに最適。(2002.6.26)



素朴で落ち着いた雰囲気

大きな浴槽に掛け流し 床の飾りタイルが粋

滝見露天 ぬるめなのもまた良い




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