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北海道後志地方の温泉めぐり byやませみ


【第3回】 積丹半島(2)

積丹半島の石狩湾側が表とすると、その賑やかさに比べて裏側の神恵内村や泊村は対照的にひっそりし、小さな漁港が散在するだけで最果ての旅情が味わえます。海がとても澄んでいて美しいので、ダイビングの名所でもあります。


「珊内ぬくもり温泉」

  神恵内村大字珊内村57-29 TEL/0135-77-6131 金休 13-20時 500円

<掲示> 脱衣所に分析表掲示
  神恵内村5号井(H6.9)
  Fe(II)−Na−SO4・Cl・HCO3 34.4℃ pH=6.58 湧出量記載なし
  蒸発残留物=5.393g/kg 総計=6435mg/kg
  Na=1567(78.4 mval%) Ca=202.8(11.7) Mg=60.5 Fe(II)=42.5 Zn=0.6
  SO4=1696(40.3) Cl=1130(36.37) HCO3=1243(23.3) CO3=0.5 HS=0.1 CO2=370.6

珊内漁港の集落の裏手、ちょっとした高台にできた神恵内村3番目の温泉施設。レモン色の真四角なかわいい建物。館内は意外に広くて小上がりの休憩所もちゃんとあり、管理のおばちゃんがまめに掃除をしているので全体にとても清潔。浴室には共同湯サイズのタイル内湯があるきりでシンプル。湯気抜き天井がとても高いので熱気がこもらず清々しい。気分良く入浴するには重要なポイントである。

始業直後に入ったのでちょうど湯が溜まりきったところに漬かる。2x3mの小振りの浴槽に湯口から38℃くらいの微加温湯が50 L/minほども大量に投入され、溢れ出しも10 L/minほどある。浴槽の反対側に落ち口があるので半循環仕様なのであろう。湯はほぼ透明で薄く黄色を帯びている程度だから、除鉄濾過もされているようだ。浴槽底に赤褐色の沈殿を大量に残してあり、かき回すと赤く濁って鉄サビ臭が強く香る。

SO4・Cl・HCO3がほぼ同量に含まれる湯で、それぞれの特徴が微妙に混じりあって奥行きのあるふくよかな浴感になっている。浴後は適度な温もりと爽快感が長く持続する。鉄と炭酸がほとんど抜けているのがなんとも残念なので、源泉の飲泉所を設置するとよいと思う。(2002.6.27)


とんがり屋根は湯気抜きになっている

透明な湯の底に沈澱がいっぱい



神恵内村温泉「リフレッシュプラザ・温泉998」

  神恵内村字大川116-1 TEL/0135-76-5100 月休 11-21時 500円
  皮膚疾患と身障者用の温泉療養浴室もある(料金内で予約制・当日でも可)
  みしゅらんレポート(2000.8)はこちら

<掲示> 脱衣所に別表 休憩所に分析表掲示
  神恵内村4号井(H3.3) 神恵内村字大川38-1
  Na−Cl強塩泉 59.4℃ pH=6.8 230L/min 998m・自噴 蒸発残留物=- 総計=50.75g/kg
  Na=17202(92.5 mval%) K=486.8 Ca=492.3 Mg=286.4 Fe(II)=1.0
  Cl=26098(88.5) HCO3=4146(8.2) CO3=2.0 SO4=1294
  Br=86.7 I=2.2 HBO2=347.2 HAsO2=10.3 CO2=291.3   

日本有数の成分量で温泉ファンの間ではつとに高名な温泉。やっと訪問できてとてもうれしい。
大きなホテルみたいのがドド〜ンと建っていてびっくりするが、温泉はこの隣の村の公民館か図書館みたいなコンクリの建物で、外観にこだわらないあたりが北海道らしいなと変に納得。内湯浴室はとても広いが、大半は真湯の気泡湯と寝湯などが占めるセンター系仕様。廊下を進んだ先に中サイズの露天風呂もある。

内湯は5x2mほどの貯水槽みたいな格好で深め。大きな湯口から沈殿槽を経て30 L/minの源泉が注がれる掛け流し。露天は3x4mでかなり浅い。岩組みから20 L/minの掛け流し。いずれも湯口温度は44℃くらいしかないが、どうやって調整しているのかは聞き忘れた。

やや緑がかった赤褐色の濁り湯(10cm)。パンフの写真では濃縮レモン果汁みたいな鮮やかな緑黄色になっているが、最近変わってきたようだ。源泉の変化か湯使いによるものかは不明。また、過去には沈殿も多くあったそうだが、きれいに浚われている。濃い外観で予想するような匂いはほとんどなく、新鮮な鉄臭と臭素臭らしいのをわずかに感じるだけであっさりとしている。口に含むとさすがに海水を煮詰めたような強烈な鹹味で、ちびっと舐める程度がやっとであるが、慣れてくると濃い重曹のダシ味や石膏系の甘味なども充分にあり、炭酸の刺激もちょっぴり残っていて意外と旨味のある湯だなと思うようになってくる。

食塩=41.3g/kg、重曹=5.6g/kgという計算になり、美味しい漬け物ができそうな感じである。浴感はさぞや重厚なものと思いきや、これも意外なことに、濃い重曹泉のような明瞭なつるすべ(3)をともなうサラサラしたもの。浴後のべたつきもほとんどなくサッパリ爽快。漬かるほどにいろんな成分の特性が次第に現れてきて楽しい湯であった。

建物の外には湯ノ花採取用の大きい湯畑がある。炭酸カルシウムらしいベージュ色の析出が堆積しているが、湯の色はとても濃い青緑色をしている。沈殿を除くとあのような色になるのだろうか。藻類の繁殖にようるものかもしれない。また、駐車場の一画には「湯の華の館」と書かれた建物があって、展示場かと思って入るがこれはトイレなのであった。(2002.6.27)


変な形の深めの内湯

湯色が変わってきているらしい



盃温泉「ホテル潮香荘(ちょうかそう)」

  泊村興志内村220 TEL/0135-75-2111 無休 7-20時 500円

<掲示> 脱衣所に分析表掲示
  盃温泉2号泉(S38.9) 泊村興志内村220-11
  Ca・Na−SO4 44℃ pH=7.2 245 L/min 233m・自噴 蒸発残留物=1.594g/kg 総計=1619.4mg/kg
  Ca=265(59.5 mval%) Na=198(38.5) Fe(II)=0.67 SO4=896.8(83.6) Cl=92.3(11.7) H2S=1.0
  清潔な内湯と露天 半循環・微カルキ臭 微緑色透明 

もいわ荘などがある茂岩地区ではなくて、岩内側に少し離れた盃漁港の真上の高台に建つ静かな宿。眺望が素晴らしく、海のむこうにニセコ山系が一望。ホテルというより地味な保養旅館という体裁で、浴場だけなぜか立派に改装されている。

中サイズの内湯と展望の良い露天風呂というシンプルな構成で、タイルがぴかぴかに磨かれていて清潔感がいっぱい。露天はスモークガラスに囲まれているので浴槽からの眺望も遮られないで良い工夫。ビーチチェアなんぞも置いてあって、高級リゾートのプールサイドという気分もちょっとだけ味わえる。

どちらの浴槽も微カルキ臭の循環仕様だが、溢れ出しも30 L/minほどある。完全に澄み切った透明湯ながらごく薄く緑がついて見える。ほぼ無臭にちかいが、ほんのりと甘い石こうと硫黄の風味もあるので、湯はかなり新鮮な感じがする。よく肌に馴染む柔らかい浴感で、刺激的なところはひとつもない優しい湯という印象。このあたり個性の強い温泉が続くので、こういう控えめな湯もけっこう嬉しい。(2002.6.27)



地味だけど静かな宿

清潔な浴槽に澄んだ湯



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