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白馬・小谷と妙高の温泉 byやませみ


【第1回】 白馬・小谷の温泉


白馬八方温泉「小日向(おびなた)の湯」

  白馬村北城9342-8 TEL/0261-72-3745 無休 10-18時 400円 冬季閉鎖あり

<掲示> 脱衣所に「掲示内容決定通知書」を貼り付けるのみで本末転倒
  白馬八方温泉(S58.10分析) 白馬村北城5137 アルカリ性単純温泉 51.4℃

<資料> 「信州の温泉利用法」より
  源泉は白馬槍温泉の下流500mほどの地点に掘削され、ここまで6kmほど引湯
  ここからさらに八方の旅館と共同湯、駅前の「みみずくの湯」まで引湯されている
  アルカリ性単純温泉 52.4℃ pH=11.3 800 L/min(掘削500m・自噴)
  無色透明、微弱硫黄味 蒸発残留物=165mg/kg
  Na=59.2 K=6.3 Ca=15.2 Cl=15.8 OH=46.1 CO3=8.4 SiO3=6.7g 総計=160.5mg/k

八方の旅館街から松倉渓谷へ3kmほど入ったところにある、このエリアでは最も古い温泉施設 。高温泉では日本最強のアルカリ性の「美人の湯」として有名で、シーズンオフの平日でも入 浴客が絶えることはない。旅館のマイクロでやってくる団体さんもいる。

仮設的な男女別露天 、浴場の隅っこに小さな洗い場が設けられているのみで、いたって簡素。谷底にあるのでアル プスの眺望は少なく、唐松岳らしい山のてっぺんがちょこっと拝めるだけだが、野鳥のさえず りを聞きながらの入浴は楽しい。日陰がないので夏場は露天焼けしそうだ。

浴槽は径6mほどの半円形で浅め。男女仕切に置かれたでっかい岩のてっぺんから、熱い(50℃) の源泉が湯滝で注がれる掛け流し。投入量は15 L/minほどで少ないが、浴槽容量が小さめだか ら湯は43℃くらいでかなり熱い。

溶存成分はほとんど無いに等しいので、無色透明の湯はとても軽い感触。硬質な薬臭が明瞭で、 口に含むと無機的なえぐみの強い石灰水みたいな味。CO3=8.4 相当らしい弱いつるすべ(2) を除くと浴感はまったく希薄。たとえ高アルカリ性でも、成分が薄いとつるすべしないという見本のようなもの。pH=11くらいでは皮膚が溶けるといったような感触はぜんぜんしない。浴後は粉をはたいたようにサッパリさらさらなので、登山帰りに汗を流すには好適な湯といえるだろう。(2002.5.23)


二つの沢の合流点にある 遠景は白馬乗鞍

大岩の上から熱い源泉が湯滝で注がれる



白馬塩の道温泉「倉下の湯」

  白馬村北城倉下 TEL/0261-72-7989 無休 10-22時 500円

<掲示> 脱衣所に分析表を掲示
  白馬塩の道源泉(H6.2分析) 白馬村北城9549
  Na-Cl・HCO3 48.1℃ pH=7.14 1500 L/min(掘削1050m・自噴)
  微黄白濁、強塩味、微鉄味 蒸発残留物=13970mg/kg
  Na=4317 K=217.9 Mg=441.8 Ca=152.6 Ba=175.7 Fe(II)=3.6 Cl=5564 HCO3=5317 Br=13.2 I=4.8
  H2SiO3=85.9 HBO2=868.3 *CO2=348.3 総計=17594mg/kg
  *)源泉水をガス抜き処理した検水につき検査

八方の旅館街から松川を岩岳スキー場方面に渡る橋のちょい先にある。県道沿いに案内はなく 、レンタカーの安いカーナビにも出ていないので、事前に地図で確認して行かれるのがよいだろう。八方尾根の全景をバックに、黒々とした総木造の施設外観はとても堂々としている。別 棟は巨大な源泉貯留施設とローリースタンドになっており、ここから「ガーデンの湯」「岩岳 の湯」ほか旅館街へ運ばれているそうだ。

大きな外観とは裏腹に、浴場は男女別半露天のみでとてもシンプル。上がり湯(真湯)つきの 洗い場と明瞭に区切られているので、これは湯と景観を楽しむのに良い配慮だと思う。浴槽 は6x2mの木枠の厚いどっしりしたもので深め。赤茶の析出で薄くコーティングされているので 迫力がいっそう増している。湯口からはほぼ透明な源泉が45 L/minほども大量に投入され掛け 流し。透明度15cmほどのオレンジ赤の濁り湯が、39℃の温めにたっぷり満たされじっくり浸か れる。浴槽の中ほどには何やら正体不明の木箱がくっついているが、これは中に熱交換パイプ が通っていて冬季の加温用。

湯口41℃くらいしかないので、投入前に熱交換冷却されているもよう。真湯の上がり湯はこれ で加温されているのではないかと推測。NaCl=9.2gなのでみそ汁くらいのほど良い塩味、複雑 な土類成分や鉄分による苦味金気、臭素などによる海水臭がある。これに明瞭な炭酸刺激も加 わって、こぶ茶+鉄観音のソーダ水割といった感じのなんとも奥深い味になっている。何度も湯口からすくって飲んでいたら、修学旅行で京都から来ていた中学生たちが目を丸 くしていた(^.^; 

浴感はわりとあっさりとしており、塩化物泉というより濃い重曹泉の柔らかい特徴が前面に出てたいへん心地よい。浴槽内では微つるすべ(1)だが浴後の肌はてかてかになり、指が滑ってペンが握れないので困った。ぬる湯の短時間入浴でも炭酸効果でほっこり温まる良い湯。(2002.5.23)


八方尾根の全景が一望 右が巨大な源泉貯留施設

大きな木製浴槽がでんと置かれている

赤い濁り湯がたっぷり




若栗温泉「元湯・乗鞍荘」

  小谷村若栗5506-1 TEL/0261-82-3073 10-21時 500円

<掲示> 脱衣所に分析表を掲示
  若栗温泉(H6.8分析) 小谷村千国字貉宕乙5506-1
  Na-HCO3 57.5℃ pH=7.45
  微黄色殆ど澄明、微塩味無臭 蒸発残留物=882mg/kg
  Na=282.4(86.9) Fe(II)=3.0 HCO3=799.3(92.1) CO3=0.9 H2SiO3=78.9 CO2=110.0 総計=1364mg/kg

白馬乗鞍スキー場からちょっと下がったところに、H7に開業した眺望の良い一軒宿。施設の半 分を大型の浴舎が占め、休憩ロビーも広くとられており日帰り入浴に積極的。温泉スタンドも ある。館内はこざっぱり清潔で、宿泊しても快適そう。大浴場は大きな内湯があるだけでシンプル。シャワー・カランも多数並んでいて洗い場も広いので、シーズンでも窮屈さはないであ ろう。

石板作りのL字型大浴槽(6x5m)に、湯口と打たせ湯で合わせて80 L/minもの熱い源泉が大量 投入される掛け流し。浴槽全面から溢れ出して排水口で渦を巻いている様子が壮観。ただしとても熱く、端っこでようやく42℃なので長湯はできない。湯は透明度60cmのささ濁り。くすん だ黄緑(萌葱色)の着色はたぶん鉄(II)イオンによるもので、湯の新鮮さをよく示している。

この状態だとあまり金気は感じないものだ。まろやかな重曹のダシ味とあいまって、上品なア サリのお澄ましのようで美味しい。弱いつるすべ(1.5)のほか明瞭な浴感はないが、浴後は薄 めの純重曹泉らしくサラサラしっとりして爽快。(2002.5.23)


眺望抜群の高台に建つ 泉源はすぐ左にある

肉眼ではもう少し緑が鮮やかに見える



島温泉「島之湯旅館」

  小谷村北小谷1889 TEL/0261-85-1013 10-19時(要確認) 500円

<掲示> 食堂前廊下に分析表掲示
  島温泉(湯口)(H2.9分析) 小谷村北小谷1925
  Na・Ca-HCO3・Cl 37.4℃ pH=6.3 20 L/min(横穴・自然湧出)
  ほとんど無色澄明、炭酸味、微鉄味 蒸発残留物=1279mg/kg
  Na=342(68.7) Ca=116.6(26.9) Fe(II)=0.4
  Cl=195.9(25.6) HCO3=974(73.9) H2SiO3=95.7 CO2=748.5 総計=2529mg/kg

学生時代(はるか昔)に泊まって印象的だった鄙びた一軒宿。H7の災害にも生き残って往時 のまま立派に営業しているのが嬉しかった。ただし行楽客はいまだに回復せず、経営はかなり 苦しい状況にあるという女将さんの話。以前は街道沿いに佇んでいてかなり目立ったが、 国道148が改修され盛土の快速道路になったので、うっかり通り過ぎてしまった。白馬側から は一度過ぎるとトンネル区間に入ってなかなか折り返せないので注意が必要。

浴場は男女別の小さな内湯があるだけで極めて簡素、平日なので女湯のみ湯を入れていた。家 の風呂よりまだ小さい浴槽に源泉と加熱湯のカランが付いており(男湯は一回り大きく源泉カラ ンが2つ)、好きな温度に調整する掛け流し。ふだんはやや熱めに調整しているそうだが、源泉が 最大20 L/minほど出るので解放にしてしばらく待つ。超ぬる湯になるが、このほうが炭酸の清涼 感が出て断然良くなる。源泉はわずかな塩味と金気がついた重曹ダシ味に、炭酸のシュワシュワが ともなって至極美味。ぐいぐいとコップ3杯一気飲みしてでっかいゲップをする (^.^;

弱酸性なのでつるすべはなく、少しきしむような肌触りがあるのみで際だった浴感はない。し かし、短時間の入浴でも身体の芯までよく温まり、ほかほか感が長く持続する。炭酸泉として も一流のぬる湯の名湯であると再認識した。白馬にスキーに来たらちょっと足を伸ばされて寄 ってみても絶対に損はない推薦の1湯です。(2002.5.24)


こちらは女湯 小さいですが湯量に合ったサイズ


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