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やませみ 道東湯巡り byやませみ  2001年6月

【第2回】 屈斜路湖の温泉群



雲海の屈斜路湖
 中央は硫黄山をはじめとする中央溶岩ドーム群

早朝の摩周湖 鏡のような湖面
摩周ブルーになるにはもう少し待たなくてはならない


川湯公衆浴場

 AA/ 新鮮な酸性泉の素朴共同湯
 8-20時 200円 毎月1・15休

ホテル街の道路から少し引っ込んだところにあるが、道路沿いに「ゆ」の看板が立っているので、すぐ目に付く。道向かいは観光用の源泉地になっており、大量の湯ノ花と、硫黄泉特有のエメラルド色の緑藻(イデユコゴメ)のバイオマットが観察できて面白い。

浴場の外装は白いペンキ塗りに新装されているが、内部はかなり年季がはいっている。ただし、非常に良く清掃され、管理も行き届いているので程良い古び具合に保たれている。天井が高く2面が窓の明るく通風が良い浴室に、シンプルな小振りの浴槽が2つ区切られ、大きい方に源泉が注がれ、小さい方には地下水の真湯が満たされている。虚飾を一切排除した浴室の構成が、湯の効能への自信を無言で語りかけてくる。

ここは熱い源泉を地下水で熱交換する巧みな冷却法だ。窓のすぐ外に木枠の交換槽がある。これで源泉は42℃、真湯は36℃くらいに調整されている。温冷交互浴もできて一石二鳥。真湯とは言っても、淡い鉄味と明礬味のするもので、これもまた結構な実力が感じられる。ほぼ不感温度なので、長い時間漬かりながら世間話をするのにもってこいだ。誰か常連さんが入ってこないかとしばし待ったが、結局誰もやって来なかった。

朝8時の開業一番の入浴だったので、源泉浴槽には曇りガラスからの朝日が柔らかく入射し、湯の中を漂う微細な硫黄結晶をダイヤモンド・ダストのようにキラキラ輝かせている。まるで浴槽の湯全体が青白く発光しているようにも見え、夢のような美しさだ。

たいへんに新鮮な湯で、無色透明。口に含むと強い酸味と重厚な渋みと苦味がある。分析表では御園ホテルよりも成分量が多いようだが、味はやや薄いように感じる。とくに苦味が少なくてすっきりとしており、レモンジュースのように飲めてしまう。ただし、酸性度は随分と高いようで、強い酸味と皮膚が溶けるようなつるすべ感(2)は、こちらのほうが断然優っている。浴後のさっぱり感も非常に優れている。眠気が吹っ飛ぶ湯。近くに来たらここに寄らなければ絶対に損だと思う。(2001.5.30)

<DATA>掲示は別表のみ。印刷した簡易分析表が新聞切り抜きに混じって休憩所に貼ってある。
 源泉名不明
 55.0℃ pH=1.6 湧出量不明(投入量は男湯で15L/minくらい)
 酸性−含Fe(II)・S−Na・Ca・Al−SO
4・Cl
 Na=362.8 Ca=249.4 Mg=7.81 Al=107.8 Fe(II)=108.7
 Cl=1575.3 HSO
4=2333.1 SO4=309.6  (S33.4分析)


川湯公衆浴場の外観
わりと大きい ありゃ、2階もあったの?

川湯公衆浴場の内湯
 窓の向こうに熱交換槽が見える


川湯温泉「御園ホテル」

 A/ 内湯は広すぎ、露天が良い(宿泊) http://www.sip.or.jp/~misono/
 日帰り12-15時 600円 無休

浴室は、内湯と露天のみで、わりとシンプル。飲泉所も設置されている。

(内湯)
広さは川湯で一番らしいが、投入量(100L/min)に比べてデカすぎるので、湯は微緑色笹濁りと少し劣化しているように思う。浅いのと換気が悪いのもやや不満。上がり湯用の真湯浴槽も設置されており、やや鉄味を感じるのは公衆浴場と同じ地下水か。

(露天)
樹脂コートした石板で作られており、2x5mくらいで投入量(80L/min)に対して適当な広さは湯が新鮮。夕方はかすかに白濁していたが、朝は完全に無色透明であった。露天のほうが軽快な硫黄臭を多く感じるのは、外気で鼻が慣れないせいかもしれない。

公衆浴場と同じ熱交換冷却かと思うが、湯の新鮮さでは劣るように感じる。それでもピリピリする刺激感と、酸で皮膚が溶ける感触が素晴らしく、元気が出る湯だ。飲泉では強い酸味と渋苦味を兼ね備え、蔵王ほどの強力さはないが、飲みごたえは充分。(2001.5.29-30)

<DATA>脱衣所に新分析表のコピーが貼り付けてある(後ろはプラ板の旧分析表)
 川湯温泉御園ホテル源泉
 55.0℃ pH=1.98 240L/min 自噴
 酸性ー含S・Fe(II)ーNa・AlーSO4・Cl(H2S型)
 Na=366.8 Ca=164.0 Mg=60.0 Al=136.7 Fe2=61.6 Fe3=18.2
 Cl=619.4 HSO4=608.1 SO4=1724.0 H2S=2.0  総計4.193g/kg (H2.10分析)
 *掲示表の陰イオン計に計算ミスがあったので、訂正をお願いした。


御園ホテルの露天風呂
内壁が白いのは樹脂コートのせいで湯ノ花ではない
 


砂湯温泉

 C/ 埋まっていた、飲泉は美味しい
 無料 ほとんど観光化しているので、日中入るのはとても勇気がいる

土産物屋の並ぶ湖畔の砂浜に、木枠の小さな浴槽が3個と、土管の浴槽(?)が1つある。ほとんど砂で埋まっており、かなり掘らないと温泉は出てこないようだ。(温度はある)おそらく、砂の下に岩盤があり、割れ目から湧出する温泉に湖水が混合していると思われる。砂浜全体を掘り込んだら、超デカイ露天風呂ができそうだ。団体バスが続々とやってくるので、入浴はあきらめ、土産物屋の飲泉所で味見だけする。55℃の源泉だそうだが、意外にしっかりした弱塩味と柔らかい重曹味が感じられ、美味しい。(2001.5.30)

<DATA>詳細不明
 Na-HCO
3 77.2℃ pH=6.7 (GSJ) 


砂湯温泉の一角にある土管風呂
 遠景は藻琴山
 


池の湯温泉露天風呂

 C/ 全く掃除されていない
 無料 簡易脱衣所あるが、ほとんど崩壊している

ほんとに池のような丸い大きな露天風呂。底が岩盤になっており、割れ目から湧出している。見た目はそう湧出量は多くないようだが、流出溝はちょっとした小川くらい流量があるので、150L/minは優に越しているだろう。少し緑がかった笹濁りの湯で、わりと澄んでいる。ただし、最近誰も入っていないようで、全体に緑藻が繁茂し、何やら煙突状のコロニーまで成長しているのが気味悪い。覚悟を決めて漬かってみるが、体感38℃の湯はどうにもピンとこない。ぬるぬる感がかなりあるものの、これは湯によるものか藻によるものか判然としない。病気になりそうな感じだったので、早々に退散した。近くに新装なった「まつや旅館」があり、こちらも同じ源泉らしいが時間外なので入れず。(2001.5.30)

<DATA>
 単純温泉(Na-HCO3) 44.3℃ pH=8.0 (GSJ)


池の湯露天風呂の全景
何度見ても池そのものだ
 


コタン温泉露天風呂

 A/ よく管理された湖畔湯
 無料 脱衣所あり いちおう男女別だが、浴槽に行くまでが丸見え。水着可。

ほんとうに湖畔間近の露天風呂で、一番人気なのも納得。HPなどで見る写真よりも実際はかなり狭いけど、毎日掃除されていてとても清潔。旅館の露天をそのまま持ってきたような感じ。ただしとても浅い。微かに褐色の笹濁りで、まろやかな薄い重曹味のお湯。弱いつるすべ度(1)もある。意外なことに、枯葉のような柔らかいモール臭とともに、灯油のような油臭もちょっとする。浴槽では体感39℃の微温湯だが、水中の細い塩ビ管から出る湯は、42℃はありそう。(2001.5.30)

<DATA> いろいろ注意書きはあるものの、分析表掲示はなし
 単純温泉(Na-HCO3) 54.4℃ pH7.7 128L/min(自然湧出)


コタン温泉露天風呂の男湯側
大岩が男女の仕切になっている
 


コタン温泉共同湯

 -/(定休日で入れず)
 12-22時 150円 水曜休

露天風呂のすぐそばの白い建物、ちょっと引っ込んでいるので気付かないかもしれない。


ヌプリオンド温泉

屈斜路湖の南端、屈斜路原野ユースゲストハウス奥の山林が温泉付き分譲地になっており、新しいペンション村ができつつある。中央部に銀色に輝く大型の貯湯タンクが佇立し、温泉の看板が付けられている。ポンプは停止しているようで、垂れ流しもなし。この周辺では珍しい硫酸塩泉なので触ってみたかったが、どのペンションもシーズン前で休業中。ユースゲストハウスも覗いてみたが、呼べど叫べど誰も出てこない。ここまではかなり距離があり、引き湯されているかどうかは不明。(2001.5.30)

<DATA>
 50.0℃ Na・Ca-SO4 580L/min  動力


和琴温泉露天風呂

 C/ 湖畔湯でロケーション抜群だが藻が多い
 無料 ときどき掃除されているが、藻の繁殖に追いつかないらしい。水着可

和琴半島の一番狭い砂州に位置する。ここも写真で見るよりは狭い感じ。湾曲した細長い浴槽で、底の岩盤から自然湧出している。周囲の湖底からも、あちこちで湧出しているのが観察できる。排出溝のところに土嚢が数個積んであり、湯面を湖水よりも若干高くして、水圧で湧出量を押さえ込む方式をとっている。したがって、興味本位に土嚢をどけてダアーと流してしまうと、熱いのがどっと湧き出して、入浴できない高温になってしまうので注意。

このときも明け方誰かこれをやってしまったらしく、管理のおじさん達が必死に復旧していたが、気温が高いせいで、なかなか漬かれる温度まで下がらなかった。やむなく手足のみ掛け湯。無色透明ながら、わりとしっかりとした重曹味がある。灯油のような油臭も明瞭に感じる。なかなかさっぱりした感触の湯で、どっぷり漬かってみたかった。(2001.5.30)

<DATA> 何やら掲示してあったが読み忘れた
 単純温泉(Na-HCO3) 98.2℃ pH8.8 (GSJ) 湧出量は150L/minくらいか?


和琴温泉露天風呂の全景
奥に排出溝がある
 


和琴共同浴場

 C/ 隠れ湯情緒高いがそれだけのこと?
 無料 無人管理

半島周遊路をちょっとはずれた湖岸にひっそりと建つ木製の浴舎がなんとも愛くるしい。外装は最近修築されているが、内部は古いまんまだ。脱衣所とコンクリ浴槽が1つきり。浴槽の底が湖底のままで泥や枯葉が積もっている。木製簀の子が沈めてあるので、気持ち悪くはない。こちらも露天風呂と同じく、湯面の水位を上げて湧出量を制御する方式。壁にそのやりかたが丁寧に表示してある。でっかいしゃもじのような湯もみ板も備え付け。ただし、調整がかなり難しそうなので、むやみに触らないほうが無難かと思う。しばらく湧出を止めてあったようで、この朝は39℃でぬるめ。床に古い柱材のようなのが転がしてあったが、これは何の用途だろう?

かすかに緑がかった透明湯だが、黒っぽく見えるのは浴槽が暗灰色のせいか?ごくごく薄い重曹味で、柔らかい感触の湯。粘土のような匂いがあるのは泥のせいか?生の源泉に触ることができない構造なので、何とも判別しがたく、もどかしい感じ。土嚢をどけて大量湧出にすればもっとはっきりするだろうが、それでは後の人に申し訳ない。何となく名残惜しいが、先を急ぐので立ち去ることにした。(2001.5.30)

<DATA> 掲示はない、詳細不明


和琴共同浴場の外観
湖畔にひっそりと湯小屋が建つ

和琴共同浴場の内湯
黒っぽく見えるが湯は透明


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