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栃木西部の湯巡り2奥鬼怒4湯 [5] byうつぼ


■加仁湯

(栗山村、9:00〜15:00(時間確認必須)、500円、0288-96-0311)
http://www.naf.co.jp/kaniyu/

八丁の湯から鬼怒川沿いに10分ほど遡ると加仁湯です。奥鬼怒4湯のなかでは52室ともっとも規模が大きく、立地的にもエリアの中心にあたるお湯です。

建物に近づくとイオウ臭がただよい、硫黄泉の存在を鮮烈にアピールしています。ここは10年以上前に泊まったことがありますが佇まいはあまり変わっていない感じ。ただ、玄関前に足湯と温泉たまごの茹で場ができていました。

玄関前の石碑によると、文政年間の頃より沢蟹が無数に棲息しているところから温泉が湧出し、村人は「蟹湯」と名付け湯治の場としていた。その後土石流で埋没していた泉源を昭和に入り発掘して湯宿を建築。初代小松長久氏が陸軍軍人として奉職していた戦時中は無人となり、山岳愛好家により守られていた。これに感激した長久氏は、彼らに「仁」を加えられたとして「加仁湯」に改名し、今に至るといいます。

浴場は多彩で、第一露天(女性専用)、第二露天(混浴)、第三露天(混浴)、ロマンの湯(露天、混浴)、貸切り露天と内湯(男女別)があってハダカ移動不可。このうち、第二露天、第三露天、ロマンの湯に入りました。

第二露天には、男女別の脱衣所に岩風呂(岩枠石敷15人以上)、舟形風呂(木造5人)、ハラハラ風呂(切り株利用1人)と離れて温泉プール(夏場のみ?空でした)があります。当日は日帰り客が相当入り込んでいましたが、みな第三露天に集結していてここはガラ空き。

岩風呂は、岩の湯口からの投入+底面注入で槽内排湯は見当たらず。お湯張り中につきオーバーフロー不明。舟形風呂は、パイプからの投入で槽内注排湯はたぶんなくかけ流し。ハラハラ風呂は、竹樋の湯口からの投入で全量オーバーフローのかけ流し。

一番人気の第三露天は、岩枠石敷30人以上でふたつに仕切られ一部屋根付。川をはさんで正面は紅葉に彩られた岸壁で景色はここが一番でしょう。前に泊まったときはこの岸壁を夜間ライトアップしていましたが、いまはどうなのかな? 湯口はなく底面数ヶ所からかなりの熱湯を注入で、湯面からパイプを通じて川に向かっての放流はかけ流しかと。

第二露天のよこにあるロマンの湯は、石造1人の浴槽4つが木塀で仕切られています。熱湯の槽内注入にオーバーフローで、ここのお湯は45℃くらいもあり一番熱かったです。

各浴場脱衣所にはそれぞれ同じ分析書(下記)が掲示されていますが、お湯の感じは違います。第三露天は、透明度20cmくらいの乳白濁で硫化水素泉らしいしぶ焦げイオウ臭が豊潤に香ります。鮮度は一番劣っている感じなのになぜかアワつきがありました。

第二露天の岩風呂と舟形風呂は比較的似たイメージのお湯で、うす白濁(舟形のほうが濁り強い)でたまご味+焦げ味にしぶ焦げイオウ臭。ハラハラ風呂のお湯は明らかに別源泉で、ややぬるめ無色透明、僅微渋味に金気臭でイオウ気はほとんど感じられず。鮮度感抜群でかなりの量のアワつきもあり、浴感おだやかないいお湯です。

ロマンのお湯は、うす白濁でややイオウ気が弱いような感じもしましたが、かなりの熱湯だったので、迫ってくる温熱感が印象に残りました。(鮮度はいい)

内湯は偵察しただけでしたが、こぢんまりとした湯船に対して投入量が多くかなり鮮度が高そう。こういう山の湯は内湯が極上だったりするので、八丁の湯、加仁湯ともロストしたのは不覚でした (^^;;

パンフによると泉質の異なる源泉が5本あり、さらに温泉の濁りかたは気温や気圧で変わるとのこと。それで浴槽ごとにバリエーションのあるお湯が出現しているのかと。分析表の泉温は53.8℃でしたがHPには泉温48〜70℃とあり、たまご茹で場や露天の注入湯はやけどするくらいの熱湯だったので、主力源泉は高温泉かと思われます。総湧出量は350L/minほどあるようです。 

すばらしいロケーションで浴場も多彩なので、やはり泊まりでじっくりと味わうのがよろしいかと思います。

含硫黄-Na-塩化物・炭酸水素塩温泉(硫化水素型) 53.8℃、pH=6.3、成分総計=1.561g/kg、Na^+=362.4mg/kg (87.19mval%)、Cl^-=461.0 (70.90)、HS^-=1.5、HCO_3^-=243.9 (21.79)、陽イオン計=417.7 (18.08mval)、陰イオン計=768.1 (18.34mval)、メタけい酸=114.9、メタほう酸=46.6、硫化水素=8.4 
<H12.7.25分析>


加仁湯の外観


第三露天

 


第二露天のハラハラ風呂

 


第二露天の舟形風呂


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