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栃木西部の湯巡り2奥鬼怒4湯 [4] byうつぼ


■八丁の湯

(栗山村、9:00〜15:30(時間確認必須)、500円、0288-96-0306)
http://www.8tyo-no-yu.co.jp/

奥鬼怒4湯のうち一番手前にあるお湯で、江戸時代にはすでに発見されていたと云われ、奥鬼怒でも最も歴史の古いお湯とされています。

鬼怒川の渓谷がこころもち開けた明るい一角に、木造の旧館と建て増ししたらしい瀟洒なログハウス風の数棟、予想より綺麗で規模も大きいものでした。みしゅらんあり。玄関右手に無料で利用できる足湯もあります。

山の湯の雰囲気のある渋い帳場で受付。右手奥が混浴露天ゾーン&女湯露天、左手奥が男女別の内湯。
別に家族風呂もあるようですがチェックしわすれました。混浴露天ゾーンは、正面の岩肌を滝が流れ落ちる秘湯らしいロケで絵になります。季節はずれの台風のあとだったので、滝の水量が多く見事でした。

手前に雪見の湯(石造?20人)、一段下がって滝見の湯(岩造30人位)、正面の滝のよこの高みには石楠花の湯(岩造3.4人)が岩肌に填め込むように造られています。女性も数人タオル巻入浴していましたが、石楠花の湯は見通しのよい階段を昇っていくのでさすがにきびしいか。

3槽とも竹樋の湯口から投入で槽内注排湯はみあたらず源泉かけ流しかと。アメニティ類なし。土曜11時で露天ゾーンで5〜10人くらい(同行者除く、以下同じ)。

お湯はほぼ適温で、ごく微かに白濁し白い湯の花がたくさんただよいます。たまご味にしぶ焦げイオウ臭。泉質は単純温泉ながらお湯のイメージはほとんど硫黄泉。際だった湯ざわりはないものの、はっきりとしたとろみが浴感に奥行きを加えています。

石楠花の湯は湯の花が少なく鮮度感抜群で、一番イオウ臭が強くて入り応えがあります。露天には1号と4号の源泉を使っていますが、浴感とスペックを照らし合わせると、石楠花の湯が1号、滝見の湯&雪見の湯は4号使用では?。(内湯は7号源泉使用) 源泉は8本あり、裏山から湧出しているようです。(パンフによると毎分300L湧出)

内湯は、石造?で2槽(4人&3人)に仕切られた渋いもの。竹樋の湯口からの投入で排湯不明。ここは入浴せず味見だけでしたが、イオウ気は露天より弱いような感じがしました。

奥鬼怒4湯のなかではおとなしい感じのお湯ですが、平地のお湯にはないパワーのようなものを感じました。
加仁湯からも近い(10分位)ので、加仁湯に宿泊した際にも立ち寄りをおすすめします。”チビ”という人なつこいリトリバーもいます。

<1号源泉>
単純温泉(Na-HCO3・Cl型) 49.8℃、pH=7.0、成分総計=0.598g/kg、Na^+=117.2mg/kg、Ca^2+=18.9、Cl^-=76.0、HS^-=0.6、SO_4^2-=30.0、HCO_3^-=187.0、チオ硫酸イオン=0.7、陽イオン計=140.4、陰イオン計=295.3、メタけい酸=125.0、メタほう酸=5.4、硫化水素=0.7 <H11.1.28分析>

<4号源泉>
単純温泉(Na-HCO3・Cl型) 52.4℃、pH=7.2、成分総計=0.591g/kg、Na^+=115.2mg/kg、Ca^2+=19.0、Cl^-=76.0、HS^-=0.2、SO_4^2-=34.0、HCO_3^-=186.4、チオ硫酸イオン=0.7、陽イオン計=138.3、陰イオン計=298.4、メタけい酸=127.6、メタほう酸=6.8、硫化水素=0.2 <H11.1.29分析>

<7号源泉>
単純硫黄温泉(Na-HCO3・Cl型) 52.3℃、pH=7.0、成分総計=586.1mg/kg、Na^+=111.9mg/kg、Ca^2+=18.2、Cl^-=79.5、HS^-=0.4、SO_4^2-=30.7、HCO_3^-=199.3、チオ硫酸イオン=1.0、陽イオン計=134.3、陰イオン計=311.2、メタけい酸=112.1、メタほう酸=6.6、硫化水素=0.4 <S61.12.27分析>


八丁の湯の外観


石楠花の湯

 


雪見の湯

 


内湯



■硫黄泉の泉質名について

八丁の湯の硫黄成分量と泉質名の関係がちょっと気になったので、調べてみました。
1号源泉では、総硫黄(単純合計)=2.0mg/kgで単純温泉。
7号源泉では、総硫黄(単純合計)=1.8mg/kgで単純硫黄温泉。

やませみさんの温泉の化学によると、「温泉法や鉱泉分析法指針の記述では、『総硫黄とはH2S+S2O32-+HS-に対応するもの』と書かれているだけで、3成分を単純に合計するのか、それとも上記のようにイオウの総量を求めるのかは具体的に書かれておらず、分析所によってまちまちなのが現状のようです。」とあります。

そこで、それぞれ単純合計と硫黄総量を比較してみると、

<1号源泉> (H11.1.29分析/単純温泉)
H_2S=0.7 HS^-=0.6 S_2O_3^2-=0.7  計(総硫黄/単純合計)=2.0mg/kg
硫黄総量 0.941 x 0.7 + 0.970 x 0.6 + 0.267 x 0.7 = 1.4276mg/kg

<7号源泉> (S61.12.27分析/単純硫黄温泉)
H_2S=0.4 HS^-=0.4 S_2O_3^2-=1.0  計(総硫黄/単純合計)=1.8mg/kg
硫黄総量 0.941 x 0.4 + 0.970 x 0.4 + 0.267 x 1.0 = 1.0314mg/kg

分析機関はともに(社)栃木県薬剤師会ですが、分析日に隔たりがあるので、1号源泉では硫黄総量方式、7号源泉では総硫黄単純合計方式を採用しているのかもしれません。(ただし、7号源泉は総硫黄単純合計方式でも1.8mg/kg(<2.0mg/kg/療養泉の規定)なので、硫黄泉の泉質がつくのは疑問ですが・・・)


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