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栃木西部の湯めぐり [3] byうつぼ



■新高徳温泉「民宿まつや」

(藤原町、時間要問合せ、550円、0288-76-3718)
http://www.journal.co.jp/tochigi-onsen/yadojyouhou/cc.kawaji-yunishi-kinugawa/ca.kinugawa048.html

鬼怒川温泉の手前、東武日光線「新高徳」駅のそばにある5室のこじんまりとした温泉民宿。自家源泉をもち、新高徳温泉と名付けられています。R121で「新高徳」駅手前の栗原交差点を斜め右旧道に入り、橋を渡ってすぐ(公園の案内看板あり)を左折して踏切を渡り、道なりに公園を縦断して、坂を上ってしばらくいくと線路に沿って走るようになり、すぐ左手に見えてきます。

開放的な建物なので割合に入りやすく、玄関よこの大広間では地元の人が和んでいます。奥にある浴室は男女別。木枠タイル貼3.4人の浴槽がひとつだけのこぢんまりとしたもの。別に男女別の露天があったようですが、今は使っていないようです。

白い湯の花を散らした石の湯口から熱めの湯を投入。かなり潤沢なオーバーフローがあるものの側面注入&側面吸湯もあるので半循環とも思えますが、鮮度感はとても高いです。女湯には湯口にコップが置いてあったそうです。カラン3、シャワー・シャンプー・ドライヤーあり。週末11時で2人〜独占。

微白濁した熱めのお湯には白と灰色の湯の花がただよい、微塩味+たまご味で甘いイオウ臭は湯口だけでなく湯面でも明瞭。総硫黄=0.5mg/kgでこのイオウ臭は立派です。ヌルすべ感のあるやわらかなお湯で、塩類泉らしいしっかりとした浴感。熱湯のせいもありますがとても温まりました。

宿の人の話だと泉温は日によって変化するとのことで、晴れの日は熱く雨の日は温度が落ちるそう。この日は晴れていてかなり熱いとのことでした。

あまり話題にのぼらないお宿ですが、なかなかの名湯かと思いました。立ち寄り受入れ時間も長いようなので、奥鬼怒や奥会津の行き帰りなど、イオウ臭を嗅ぎたくなったときに寄ってみるのもいいのでは。自家製のお米も美味しそうなので泊まってみるのもいいかも。

Na-塩化物・硫酸塩泉 57.0℃、pH=8.7、湧出量不明、成分総計=1160mg/kg、Na^+=344.2mg/kg、Ca^2=46.7、総鉄=0.073、F^-=8.3、Cl^-=327.8、HS^-=0.5、SO_4^2-=348.0、HCO_3^-=12.6、CO_3^2-=9.3、陽イオン計=394.0、陰イオン計=706.5、メタほう酸=12.8 <H3.2.25分析>

その後、日光猿軍団の高百オートキャンプ場にある神山温泉に行きましたが、あいにく”本日休業”でロスト。そばにある手打蕎麦「原宿小町」はなかなかいけました。今市は県内2位のそば収穫量を誇る蕎麦どころで、今市手打ちそばめぐりというキャンペーンも実施中です。

〔2004年7月レポ〕


「民宿まつや」の外観

「民宿まつや」の男湯



■鬼怒川温泉「鬼怒川仁王尊プラザ」

(藤原町、8:00〜23:00、500円、0288-76-2721)
http://niouson.hp.infoseek.co.jp/

鬼怒川温泉の南側にある宿泊施設が積極的に日帰り開放するもの。鬼怒川温泉に含まれることもありますが良質な自家源泉をもっています。めがねさんのレポあり。

鬼怒川温泉側から行くと判りにくいので、R121(旧道)で「小佐越」駅を過ぎてすぐの信号を左に入り、踏切を渡って突き当たりを右折ししばらく走ると左手に見えてきます。マンション風の建物の1階、餃子店やら接骨院やらが並ぶ一角に入口があり、早くもB級ワールド炸裂。館内は複雑なつくりで受付で館内地図をもらえます。

エレベータでB1階へおりて、廊下を進むとケバケバしい健康食品販売コーナーがあり、外に出て左手に行くと内湯と岩露天、直進して釣り堀と仁王尊像のある中庭を抜けた鬼怒川沿いには屋形露天があって3つの浴場すべて男女別。もちろんすべて入りました。

内湯は、みかげ石枠側面タイル石敷4.5人の浴槽がひとつとこぢんまり。2本のパイプからの注投入で槽内排湯は見あたらず、たぶん全量オーバーフローのかけ流し。岩露天は、岩枠石敷12人以上で半分くらい屋根付。傍らを流れる小川につがいのカモが泳いでいました。湯口からは投入なしでパイプからの注入。槽内排湯は確認できずここもたぶん全量オーバーフローのかけ流し。

名物の屋形露天は、10人は入れる大きな屋形船に満々とお湯が湛えられています。パイプ2本からの投入で、槽内注排湯はなく、オーバーフローのかけ流し。はるか眼下にエメラルドグリーンの鬼怒川の流れを見下ろしライン下りの船も眺められるそうです。赤ちょうちんが吊下げられ、ここもB級ワールド炸裂。シャワー・カランは内湯と岩露天にあり、シャンプーなし、ドライヤーは内湯にあり。週末16時で、各浴場とも独占の時間がありました。

お湯はすぐれものです。どの浴槽もややぬるめのかすかに濁りのあるお湯で、たまご味に甘いイオウ臭。ツル(ヌル)すべにアワつきによるヌルヌルが加わったヌルツル湯はすこぶる入り心地がよく、浴後はお肌つるつるになります。屋形露天のお湯がいちばん鮮度感があり、アワつきも多くてイオウ臭も強いです。

イオウ臭のアワつき湯というと、信州の田沢温泉が思い浮かびますが、イオウ臭の強さは及ばないものの、アワつきの量は一歩も引きません。雰囲気はB級ながら、お湯は一級品なので、温泉ファンは見逃せない施設かと思います。

<仁王尊の湯> 含硫黄-Na・Ca-硫酸塩・塩化物泉 43.0℃、pH=9.7、湧出量不明、成分総計=1.153g/kg、Na^+=297.0mg/kg、Ca^2+=77.6、F^-=5.1、Cl^-=256.0、チオ硫酸イオン=2.2、SO_4^2-=440.6、HS^-=2.2、CO_3^2-=19.0、陽イオン計=376.0、陰イオン計=744.1 <S62.7.31分析>

〔2004年7月レポ〕


「鬼怒川仁王尊プラザ」の外観

「鬼怒川仁王尊プラザ」の男湯内湯

「鬼怒川仁王尊プラザ」の屋形露天男湯

「鬼怒川仁王尊プラザ」の岩露天男湯

 

■鬼怒川温泉「元湯 星のや」

(藤原町、時間要問合せ、500円、0288-77-1013)
http://www.kinugawa-kawaji.com/shisetsu/pages/shukuhaku/kinugawa/k0040/

鬼怒川温泉は、元禄四年、村人によって発見され、日光神領内であったために、村人と日光奉行との所有権争いののち奉行側の所有となり、江戸時代には日光詣での大名や日光山の僧侶など、位の高い人しか入湯は許されていませんでした。

かつては”滝の湯”と呼ばれたこのお湯は、明治に入って庶民にも開放されるようになり、昭和二年、東武線の開通に合わせて鬼怒川温泉と名を改めました。以降、立地やアクセスの良さから、関東有数の大温泉地として急速な発展を遂げたのは周知のとおりですが、団体向け温泉や歓楽温泉としてのイメージがあまりに強くなりすぎ、グループ客や個人客が主流となった近年の風潮にアジャストできず、バブル期の過剰投資のツケにメーンバンクの足利銀行の破綻も重なって、構造的な課題が表面化している温泉地ともいわれます。

大正十四年創業の老舗「元湯星のや」は、温泉教授松田忠徳氏が著書「日本百名湯」のなかで絶讃された宿で、はっきりいって外観はかなりくたびれています。でも、水上の「天野屋」や伊香保の「青山旅館」などもそうですが、有名温泉地ではあまり設備投資をしていないかな?的な佇まいのお宿(失礼 ^^;)にいいお湯が潜んでいることが多いので、期待できそう・・・。

ご主人は誠実そうな感じの方で、わざわざ浴室まで案内して下さいました。男女別の内湯と混浴?の露天岩風呂があり(ハダカ移動不可)、両方入りました。露天岩風呂は、目の前に緑と鬼怒川の渓谷をのぞむ気持ちのなごむロケーション。

屋根付きの岩づくりで、6.7人の熱湯ゾーンと3.4人の適温ゾーンが岩で仕切られていてお湯の行き来があります。熱湯ゾーンに石膏らしき析出の出た2本の塩ビパイプ(熱いのとぬるいの)から投入で、主に適温ゾーンからザンザコにオーバーフローしている様は壮観です。カラン5でお湯カランは温泉かと思います。
 
鬼怒川の渓谷を見下ろす二面採光の味わいのある内湯。みかげ石枠タイル貼10人以上の大きめの浴槽は湯抜き栓だけのシンプルなもの。こちらも石膏らしい白い析出の出た湯口ふたつからそれぞれ30L/minほどを投入で全量を贅沢にオーバーフローの見事なかけ流し。

自家源泉のかけ流しということで、湯量は相当にありそうで、湯口そばにはコップもおいてありました。カラン4、シャワー・シャンプー・ドライヤーあり。週末14時でいずれも独占!。

かなり熱めで無色透明の清澄なお湯には、白とうす緑(露天岩風呂は茶色)の湯の花が綺麗に舞っています。ほぼ無味でかすかに石膏臭?。弱いながらヌルすべとキシキシの入りまじる湯ざわりで、熱湯ということもありますがとても温まり、浴後は爽快感が出てきます。露天、内湯とも鮮度感は文句のつけようがありません。ビシっとくる清澄な熱湯は、湯檜曽や奥利根鎌田、会津湯野上などに似たイメージかと・・。

温泉好きのあいだでは、なにかと揶揄されがちな鬼怒川温泉ですが、こんな贅沢な湯づかいをしている宿が残っているとは正直おどろきました。納得の一湯です。状況はきびしいものがあるとは思いますが、接客も良さそうだし、このすばらしいお湯とともに固定客をしっかりとつかんで続けていってほしいと思います。

<宝の湯> 単純温泉* 50.2℃、pH=9.0、湧出量不明、成分総計=589mg/kg、Na^+=114.0mg/kg、Ca^2+=73.4、総鉄=0.014、F^-=2.9、Cl^-=91.7、SO_4^2-=235.1、CO_3^2-=9.6、陽イオン計=190.5、陰イオン計=344.2、メタほう酸=49.7、メタけい酸=4.6 <S62.2.24分析> *) アル単では?

●館内の掲示より「当館では、浴場の温泉の循環を一切しておりません」「温泉の湯量に合わせて収容力を増さず、薬効力を弱める事なき様、日夜努力いたして居ります」

〔2004年7月レポ〕


「元湯 星のや」の外観

「元湯 星のや」の男湯

「元湯 星のや」の女湯

「元湯 星のや」の露天



■川治温泉「岩風呂 薬師の湯」

(藤原町、7:00〜21:00(5/30〜11/30)/9:00〜21:00(12/1〜4/30)、300円、0288-78-0229)
http://www.kinugawa.org/facilities/iwaburo/index.html

天和三年(1683年)、この地方を襲った大地震による山崩れでできた五十里湖は、享保八年(1723年)の大雨により決壊し大洪水を引き起こしましたが、その洪水が引いたあとに発見されたお湯といわれます。会津西街道の脇道である川沿いの道(川路)にあったため「川路」が転じて川治温泉になったと伝えられています。

五十里湖からの男鹿川と奥鬼怒からの鬼怒川が合流するところ、鬼怒川温泉より一段と山深い立地にあって、昔から“傷(けが)の川治、やけどの滝(鬼怒川)”といわれ、多くの湯治客を集めてきました。比較的大型の旅館が多いですが、鬼怒川よりはしっとりと落ち着いた感じの温泉地です。

川治温泉の象徴、岩風呂は男鹿川の川べりにあって、旅館街からは橋を渡りすぐにアプローチできますが、車でのアプローチはちょっとやっかいです。R121会津西街道から「川治湯元」駅方向に左折し少し入った路地(看板あり)を左折してしばらく細い道を下ります。発電所?の横を通り、公園のPを抜けたどんづまりにPがあります。みしゅらんあり。

もとは混浴のみでしたが、現在は混浴浴場と囲いに覆われた女湯があります。混浴浴場は橋や対岸の旅館から丸見えなので、女性の姿はありませんでした。対岸の旅館がいささかうっとおしいですが、男鹿川のエメラルドグリーンの流れに臨むなかなかのナイスロケ。木造の湯小屋のなかに脱衣所と適温槽(岩造15人位)。べつにぬる湯槽(岩造8.9人)があります。カラン、アメニティ類一切なし。週末15時で10〜5人。

適温槽は、奥にある配湯槽?(鍵のかかった扉あり詳細不明)からの流し込み+細いパイプからのぬる湯少量投入+熱湯の側面注入で槽内配湯は不明ですがオーバーフローなし。ぬる湯槽は、湯口なく、側面注入で川側の排湯槽への流し出し。他に側面吸湯もあって湯づかい不明。成分のせいか湯底がえらく滑るので要注意。

やや微濁し青味がかったお湯にはうす茶色の大きな湯の花がひらひらと舞っています。ほぼ無味で薄い石膏臭、弱いヌルすべに明瞭なとろみが加わった渋いお湯で、鬼怒川より濃度感が高い感じ。湯づかいは不明ですがやさしい感じのなかなかにいいお湯です。

客層はリュックを背負った中高年グループが目立ちました。野岩鉄道「川治湯元」駅にもほど近いので登山の帰りにでも一風呂浴びるのにいいのかも。女湯の隣には休憩所「薬師苑」(500円)もあります。

(アルカリ性?)単純温泉 分析表なし詳細不明

〔2004年7月レポ〕


「岩風呂 薬師の湯」の外観

「岩風呂 薬師の湯」のぬる湯槽

「岩風呂 薬師の湯」の適温槽

「岩風呂 薬師の湯」からの男鹿川

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