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栃木西部の湯めぐり [4] byうつぼ



■足尾温泉庚申の湯「かじか荘」

(足尾町、時間要問合せ、600円、0288-93-3420)
http://www.kokumin-shukusha.or.jp/annai/ken/totigi/209041.html

紅葉の盛りに渡良瀬川上流の足尾のお湯を攻めました。まずは、廃墟と化した鉱山の横を通り、鉱毒で不毛の地となった松木渓谷入口にある銅親水公園へ。このあたりは茶色のハゲ山に囲まれた特異な風景です。時間がなく名勝松木渓谷はパス。足尾赤倉地区から銀山平へぬける林道(全面舗装)は展望も良く紅葉がきれいでした。

講で有名な庚申山や日本百名山の皇海山の登山口、銀山平にある国民宿舎。町資料によると、足尾町には、従来より旧小滝坑内を源泉とする足尾温泉「直利の湯」と向原地区内を源泉とする「白樺の湯」があって、あらたに銀山平公園内に開発された「庚申の湯」が加わり足尾温泉の観光資源として注目されているとのこと。ここではその「庚申の湯」を使用しています。

内湯と1997年に新設された露天があり、脱衣所は共用でハダカ移動可です。なんとなく湯量が少ないイメージがあったのですが、湧出量190L/minにびっくり。+タイル造8.9人の内湯は、石の湯口から大量投入でオーバーフロー。槽内排湯は見あたらず、ひょっとしてかけ流し?カラン7(水カランは源泉?)、シャワー・シャンプー・ドライヤー(男湯のみ)あり。

脱衣所から階段を降りていくと展望絶佳の露天(岩造9.10人)があります。谷を隔てた正面に岩山があり、まわりは広葉樹の一面の紅葉でなかなかのロケーション。岩組からの少量投入(たぶん源泉)+側面注入数ヶ所でオーバーフローあり。土曜16時で、宿泊客と登山客と地元客が入り込み大盛況。女湯は空いていたようです。

お湯は、無色微濁で露天湯口のみ微たまご味、微イオウ臭。成分は薄いながらアルカリ泉らしい明瞭なヌルすべ感があり、浴後はお肌すべすべになる美人の湯系のいいお湯です。湯船では「南郷温泉『しゃくなげの湯』に似ている」との声がありましたが、たしかに南郷を薄くした感じのお湯です。

温泉の少ない地域なのであまり期待せず行ったのですが、けっこう気に入りました。穴場的なエリアながら、足尾銅山観光や松木渓谷ハイクなどと組み合わせるとけっこう面白い日帰りレジャーが楽しめるのではないでしょうか?紅葉が素晴らしいエリアなのでとくに秋がおすすめです。

アルカリ性単純温泉 36.0℃、pH=9.5、190L/min(1,500m掘削)、成分総計=215mg/kg、Na^+=57.6mg/kg、Fe^2+=0.6、Cl^-=24.7、HCO_3^-=29.6、HS^-=1.4、CO_3^2-=38.9、陽イオン計=61.3、陰イオン計=113.6、鉛=0.25、銅=0.01 <H7.11.8分析>

〔2002年11月レポ〕


「かじか荘」の外観

「かじか荘」の男湯内湯

「かじか荘」の男湯露天
 



■日光小倉山温泉「春暁庭ゆりん」

(日光市、6:00〜翌2:00、800円/1日、0288-54-2487)
http://www.syungyotei.com/

霧降高原のふもと、小倉山公園や日光霧降アイススケ―トアリ―ナの上にある2002年秋オープンの民営日帰り施設。めがねさんのレポあり。手前数十mは細い未舗装のアプローチとなり、「あれっ?」と思いますがすぐに特徴のある建物が見えてきます。すべてにこだわりが感じられるつくりで、オーナーはかなり芸術家肌の方では?

フロントの左が浴室、正面がアロマグッズなどの売場、右がお洒落なカフェ。パスタなども食べられ、めがねさんによると味もなかなかのよう。浴室はやや狭苦しい内湯(石貼?5.6人)と露天(石枠石敷10人)。

沢沿いの疎林に面した露天のロケ−ションは素晴らしく、鄙びとも野趣とも違う独特の雰囲気はまさにヒーリング系露天。カラン5、シャワー・シャンプー・ドライヤーあり。とくにシャンプーは多彩なアイテムが用意されています。日曜17時で5〜10人となかなかの盛況。

内湯は石の湯口から20L/min位の投入で窓側の側溝への排湯。露天は岩の湯口から20L/min位の投入で、オーバーフローがありますが、投入量ほどではないのでどこかで排湯があるかと思います。

適温の内湯、ぬるめの露天ともに、無色透明で無味で微貝汁臭。HS^-=0.4ですがイオウ臭は感じられませんでした。成分の薄いお湯なので浴感は淡泊ですが、当たりは柔らかいもの。(露天ではかすかなとろみ感?)
浴中の温まり感は弱いながら浴後はけっこうほかほか&爽快感が持続します。内湯より露天の方が鮮度がいい感じで、露天はかけ流しかも?

正直、800円はちょっと高い気もしますが、時間制限もないので、自然のなかでゆったりとした時間を過ごすにはなかなかいい施設かと思います。

アルカリ性単純温泉(Na-HCO3型) 48.2℃、pH=8.8、105.3L/min掘削揚湯、成分総計=0.232g/kg、Na^+=53.2mg/kg (86.75mval%)、Fe^2+=0.1、F^-=9.0、Cl^-=2.9 (3.10)、HS^-=0.4、HCO_3^-=96.4 (59.83)、CO_3^2-=11.6、陽イオン計=62.0 (2.67mval)、陰イオン計=125.1 (2.64mval)、メタけい酸=44.8 
<H13.1.31分析>

〔2004年2月レポ〕


「春暁庭ゆりん」の外観

「春暁庭ゆりん」の男湯露天

 

<日光湯元温泉>

発作的にイオウ臭に浸りたくなり、雪の奥日光まで繰り出しました。当日は冬型で清滝のあたりから雪が舞い、中禅寺湖畔からところどころ凍結路面。竜頭の滝の全面結氷はまだでしたが、湯の湖は半分ほど凍結していました。マイナス10℃近い厳寒のなか、光徳牧場で思わずアイスクリームを買ってしまった馬鹿ものです(笑)

凛とした透明感のある風景がつづく雪の奥日光は、けっこう好きなところです。まずは、温泉寺横の源泉地を偵察に行きました。激寒&降雪なのに周辺にはあまり雪がありません。湯小屋からもうもうと湯けむりがあがり、イオウ臭が立ちこめています。

最初は「自遊人」の無料パスポートで「小西ホテル」に突入する予定でしたが、TELすると本日は団体が入って日帰り入浴不可とのこと。日光湯元は日帰りできる宿も多いので迷いましたが、老舗の「釜屋旅館」にしました。


源泉地の「釜屋旅館」の湯小屋
 

 

■日光湯元温泉「釜屋旅館」

(日光市、時間要問合せ、800円、0288-62-2141)
http://www.kamayaryokan.com/

ここは日光湯元温泉を代表する老舗で、源泉地にも湯小屋がふたつほどありました。浴場は3つあり、欲張って全部の浴場に入りました。

<愛山荘「薬師の湯」>
男女別の浴室は、もうもうと湯気がこもりイオウ臭がたちこめるなか、石枠タイル貼10人以上の浴槽がひとつ。カラン7、シャワー・シャンプー・ドライヤーあり。黄白色のイオウの析出が出た金属パイプから、30L/minほどを投入でたぶん槽内注排湯なし、オーバーフローの源泉かけ流しかと。お湯は翠がかった白濁で微塩味苦味微たまご味に、芳醇なしぶ焦げイオウ臭の典型的な硫化水素泉。肌になじむいいお湯です。

<露天「滝の湯」>
愛山荘と本館のあいだに別棟であります。別棟といってもほとんど東屋なので、脱衣所はえらく寒いです。ここは混浴ですが、岩+木枠石敷4.5人のこぢんまりとした浴槽なので、女性はきびしいかも。(泊まりだと女性専用時間があるらしい)湯口はなく槽内注入?で岩の隙間からの流し出し。乳白濁したお湯はかなりぬるくてなかなか温まらないので早々に退散しました。

<本館「るり風呂」>
ここが一番大きくメインの浴場。広い窓の明るい浴室に、適温槽(石枠タイル貼6.7人)とぬる湯槽(同3人)のふたつの浴槽。カラン9位、シャワー・シャンプー・ドライヤーあり。適温槽は石の湯口から投入で槽内注排湯は不明ですがオーバーフローあり。ぬる湯槽は槽内注入?で槽内注排湯は不明ですがこちらもオーバーフローあり。

適温槽は翠がかった白濁で微塩味苦味にしぶ焦げイオウ臭。中性なので硫化水素泉にしてはやわらかな湯ざわりがあって、肌に染み入るような入り心地のいいお湯。あとから考えるとここのお湯がいちばん濃厚だったような気がしました。ぬる湯槽は加水があるのか、やや薄めの色味でカルピス色。

3つの浴室と2つの良質な源泉(混合泉)を楽しめるなかなかお得なお宿かと思います。日帰りは〜15時なので早めに入ってじっくり楽しむのがベターかと。

源泉は2つあるようですが、いずれも混合泉のようです。
<釜屋1号・2号混合泉>(愛山荘「薬師の湯」/露天「滝の湯」)
含硫黄-Ca・Na-硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物温泉(硫化水素型) 64.1℃、pH=6.8、湧出量不明、成分総計=1.687g/kg、Na^+=223.1mg/kg、Mg^2+=4.4、Ca^2+=180.1、Cl^-=169.1、HS^-=11.0、チオ硫酸イオン=1.4、SO_4^2-=475.9、HCO_3^-=330.2、陽イオン計=438.9、陰イオン計=988.9、メタけい酸=120.3、メタほう酸=30.8、CO_2=87.8、硫化水素=19.8 <H12.7.19分析>

<奥日光開発(株)3号・4号混合泉>(本館「るり風呂」)
含硫黄-Ca・Na-硫酸塩・炭酸水素塩温泉(硫化水素型) 77.0℃、pH=6.4、湧出量不明、成分総計=1.503g/kg、Na^+=134.6mg/kg、Mg^2+=6.1、Ca^2+=184.7、Cl^-=80.3、HS^-=9.0、チオ硫酸イオン=1.4、SO_4^2-=468.2、HCO_3^-=262.1、陽イオン計=348.5、陰イオン計=822.0、メタけい酸=98.6、メタほう酸=17.7、CO_2=175.0、硫化水素=40.6 <H12.7.19分析>

〔2004年1月レポ〕


栃木西部、とくに西南部のお湯は注目度が低く、関東を代表する温泉エリアだった藤原町の温泉地も往年の勢いはないですが、じっくり選べば地味ながらなかなかいいお湯が楽しめます。東京方面からも近いので、日帰りでもゆったりと楽しめる貴重なエリアだと思います。


「釜屋旅館」の外観

「るり風呂」の適温槽

愛山荘「薬師の湯」

露天「滝の湯」

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