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東信の湯めぐり [2] byうつぼ |
■沓掛温泉「小倉乃湯」 ここも平安時代開湯の古湯です。国司の滋野親王が目を患い入湯したところ快癒したので薬師堂を建て温泉の守護神とされて開湯。裏山の山容が京都の小倉山に似ているところから京都を偲ばれて「小倉乃湯」と名付けられたとの伝承。地名から「浦野の湯」といわれた時代もあるといいます。かつての沓掛温泉は湯治客で大変賑わったらしいですが、現在は3軒の旅館と共同浴場の「小倉乃湯」があるだけです。 平成10年に建て替えられた「小倉乃湯」は、コンクリ造の建物に入口部分だけが木造唐破風構えの面白いつくり。発券機で入浴券を購入します。温泉三昧さん、めがねさん、ONKEN21さん、ナイジェルさんのレポあり。 さほど広くない浴室に大浴槽(赤みかげ石枠タイル貼7.8人、かなりぬるめたぶん非加熱)と加温槽(同4.5人、適温)。カラン5、シャワーあり、シャンプー・ドライヤーなし。夕方で常連さんでかなり混んでおり、みな冷温交互浴をしていました。 ともに石の湯口から投入(加温槽はプラス加熱湯の注入)で、槽内排湯はなく全量オーバーフローのかけ流し。かすかに濁りのあるお湯にはうす茶色の湯の花。ほぼ無味(加温槽でかすかにたまご味)でほのかに貝汁臭。加温槽の湯口ではかすかなイオウ臭が感じられました。 大浴槽は入ったときはほとんど不感温度ですが、入るほどにほこほこと温まってきます。とろみ感があってぬくぬくとしたやさしい浴感は長湯向き。うすいながら熟成された味わいのあるお湯は、阿武隈の湯岐を思い起こさせるもの。 ぬる湯ですが、浴後もほこほことした温まり感と爽快感が同居する絶妙な浴後感。これでカルキ投入されたらひとたまりもないと思うので、何とかこのままの湯づかいをつづけていってほしいものです。 建物のよこには温泉利用の洗濯場があって、ここの湯口にはコップが置いてありました。ぬるめのお湯は、ほぼ無味でかすかに貝汁臭を帯びたおだやかな温泉臭がありました。 アルカリ性単純温泉(Na-SO4型) 39.5℃、pH=9.53、湧出量不明、蒸発残留物=305mg/kg、Na^+=63.4mg/kg、Ca^2+=25.8、Cl^-=38.5、SO_4^2-=115.0、HS^-=1.5、CO_3^2-=11.4、硫化水素=痕跡 |
![]() 「小倉乃湯」の外観 |
![]() 「小倉乃湯」の洗濯場 |
■田沢温泉「ますや旅館」 酒天童子退治の坂田公時(金時)を産んだ山姥が浸かったお湯といわれ、古くから”子宝の湯”として名を馳せ、「子持ちの湯」「はらみ湯」「有乳湯」などとも呼ばれていました。乳の少ない婦人は27日、子のない婦人は37日で効果があらわれるとも。近くには子安地蔵尊が祀られた薬師堂があります。 海鼠壁の土蔵、石畳に木塀、しっとりと落ち着いた細い坂道の両側に、湯宿や共同湯が軒を並べます。「有乳湯」の裏手にPがありますが車は手前の共同Pに停めた方がベターかと。5軒の宿はいずれも歴史を感じさせる重厚なつくりで、とくに「ますや旅館」は明治期築の高楼(櫓)造りが連なって奥行きのあるフォルムを描き出しています。島崎藤村が「千曲川のスケッチ」のなかで月夜の晩を描写した宿でもあります。 建物は古いですが手入れが行き届き、黒光りする廊下、ぎしぎしと音をたてる階段など風趣あふれるもの。縁側の床が傾いたりしていますがそれも風情のうち
(^^; 帳場のよこにある「鐵道省御指定旅舘」という金文字の看板が古い歴史を物語っています。すなっちさんのレポあり。 露天は、岩から突き出た竹の湯口から10L/min強、もうひとつの竹の湯口からぬるめの非加熱源泉と思われるお湯を8L/minほど投入。槽内注排湯なく全量オーバーフローのかけ流し。 かすかに白濁したお湯は、たまご味で甘いイオウ臭にアニスか桜餅のような甘い香をプラスしたような感じで、「有乳湯」より甘い系統かと。適度なヌルすべとつつみ込まれるようなやわらかな湯ざわりのあるいいお湯です。このお湯はやはり長湯でじっくりと味わうたぐいのもので、過加熱気味の内湯よりはぬるめの露天の方が気に入りました。 土曜日で1泊2食8,000円也(税・サ別)で泊まりましたが、食事もそこそこで佐久名物の鯉の洗いも出ました。予想に反して若いカップルの泊まり客が多いのには驚きました。 建物は相当に年季が入っているので風とおしが良く、この日は暖かだったからよかったものの、寒波のときなど猛烈に寒そう。でも、古きゆかしき日本の宿といった風情をもち、一度は泊まってみる価値のあるお宿かと思います。 <田沢温泉2号と3号の混合泉> |
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![]() 「ますや旅館」の男湯内湯 |
![]() 「ますや旅館」の男湯露天 |
■田沢温泉「有乳湯(うちゆ)」 (長野県青木村、6:00〜21:30、200円、0268-49-0052) http://www.vill.aoki.nagano.jp/sightseeing/onsen.html 翌朝は今回のクライマックス、「有乳湯」を攻めました。唐破風門重層の見事な寺社建築は平成12年にリニューアルされたもので、館内には田沢温泉の資料室もあります。やませみさん、めがねさん、温泉三昧さん、イッサキさん、ONKEN21さん、MASさん、ナイジェルさんのレポあり。(さすがに多いですね ^^) 共同浴場ですが、受付は脱衣所の外にあって番台方式ではありません。男女別の浴室は、かけ湯槽にみかげ石枠タイル貼8.9人の内湯といたってシンプル。カラン(セパレート型、たぶん温泉)5、シャワーあり。シャンプー・ドライヤーなし。 日曜の7時頃いきましたがさすがに人気の浴場で朝から地元の人が詰めかけています。客数が多いうえに、みな長湯モード全開なのでとくに浴槽は混み合っています。 岩の湯口から50L/min以上を投入で槽内注排湯はなく全量をざんざんオーバーフローしている様はなんとも贅沢。投入しているお湯はぬるめなので非加熱源泉のかけ流しかと思います。やませみさんによると浴槽は2号泉、かけ湯と建物外の軒下にある洗濯場は1号泉とのことですが、きれいな萌黄色をしたかけ湯の味臭はチェックしわすれました (^^; きもち翠がかって微濁したお湯はぬるめで、たまご味に甘いイオウ臭。かなりのアワつきがあり、アワつきのヌルにアルカリ性のヌルが合わさった相当なヌルすべ湯。アワつきは湯口そばでとくに多く、湯口まわりは大人気。浴室入口にでかでかと”湯口独占禁止”のハリ紙が・・・ (^^; それにしても何という絶妙なお湯でしょうか。甘いイオウ臭とアワつきという贅沢な組み合わせに、いつまでも入っていたくなるようなあくまでもやわらかな湯ざわり。今回の湯巡りのベスト賞で、やはり東信を代表する共同湯かと思います。 田沢温泉からR143〜県道12麻績方面に道をとると、修那羅峠の石仏群があります。安宮神社を中心に800体ともいわれる石仏が祀られていて、以前、よく寺社巡りをしていた頃に行ったことがあります。木立のもと、路傍にひっそりと佇む誰が刻んだかもわからない石仏たちにはさまざまな表情があって、一種独特な雰囲気を漂わせています。 しずかな田沢温泉に泊まり、国宝の大宝寺三重塔や修那羅の石仏をじっくりと散策すれば、なかなか味わい深い旅となりそうです。 <田沢温泉2号 有乳湯> |
![]() 「有乳湯」の外観 |
![]() 田沢温泉街 |