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東信の湯めぐり [1] byうつぼ



■霊泉寺温泉「共同浴場」

(長野県丸子町、7:00〜21:30、100円、0268-42-3100 )
http://www.journal.co.jp/nagano-onsen/higaeri/gat001.reisenji.html

平惟茂が独鈷山で鬼女紅葉を討ち取り、その疲れを癒したという古湯。曹洞宗の古刹金剛山霊泉禅寺の寺湯として数百年の歴史をもち、その後は湯治場として発展したようですが、明治38年の大火で集落が全焼し、現在のようなこぢんまりとした佇まいとなったようです。8軒の宿と共同浴場からなる温泉集落はしっとりと落ち着いた風情。どの宿も歴史を刻んでいい感じです。

集落の中心にある共同浴場はコンクリ造の無骨な建物ですが、赤い郵便ポストがいいアクセント。番台方式で狭い脱衣所。ごんたさん、温泉三昧さん、めがねさんのレポあり。窓の広い明るい浴室には、タイル貼8.9人の浴槽ひとつをゆったりと配置。青いタイル浴槽がいい味を出しています。カラン3位、シャワー・シャンプー・ドライヤーなし。土曜12時で独占(同行者は除く、以後同じ)。

岩の湯口から30L/minほどを投入で槽内排湯はなく全量オーバーフローはたぶん源泉かけ流し。以前はパスカル方式の排湯を使っていたようですが、今は廃止され穴は埋められています。一時期レジ菌騒動があったので湯づかいを変更したのかも。

適温のお湯はきもち白濁し白い浮遊物がただよっています。微たまご味+微石膏味にかすかな甘いイオウ臭+微石膏臭。総硫黄=----なのに香るイオウ臭は鮮度の高さの証明でしょうか。とろみ感と弱いキシキシ感があってとてもあたたまるいいお湯です。泉質はアル単ですが、溶存物質=996.3mg/kgなのでほとんど石膏泉で、浴感も石膏泉のそれ。

おだやかで滋味あふれるお湯を落ち着いた雰囲気で味わえるすぐれものの浴場で、固定ファンが多いというのもなるほど肯けます。

分析表は番台のよこに大きくて読みやすいものが掲示されていました。なお、ものの本によると霊泉寺には源泉が2本あるらしく、昔からある36℃の源泉は旅館に配湯、45℃の新源泉は共同浴場で使用されているそうです。

アルカリ性単純温泉(Ca・Na-SO4型) 43.8℃、pH=8.9、湧出量不明、成分総計=996.3mg/kg、Na^+=80.6mg/kg (24.66mval%)、Ca^2+=213.8 (74.96)、Cl^-=36.0 (7.16)、SO_4^2-=620.8 (90.70)、陽イオン計=295.8 (14.24mval)、陰イオン計=670.7 (14.26mval)、 <H14.12.26分析>

この近くの鹿教湯、大塩など名湯の呼び声が高いですが今回は時間の都合でパスとなりました。


「共同浴場」の外観

「共同浴場」の男湯



■岳の湯温泉「雲渓荘」

(長野県武石村、8:00〜20:00、400円、0268-85-2263)
http://www.vill.takeshi.nagano.jp/unkei/unkei_001.html

美ヶ原高原の東麓、小沢根川の上流にあって元禄時代からの歴史をもつ山中の秘湯。胃腸病に効き、脳の働きをよくするお湯と云われ、それなりに賑わったようです。昭和36年には天災の余波を受けて営業が廃止されましたが、昭和52年に村が新たに全20室の宿泊施設を開業しました。佐久平、塩田平にはほとんど雪はありませんでしたが、ここまで登ってくるとけっこうあります。冬期は雪道対策必須かと。

外観は公共施設系のつくりで風情はありませんが、館内はきれいに清掃されていてなかなか居心地がよさそう。ここは日帰り入浴の受け入れにも積極的です。ロビー横にある浴室は男女別で広い窓から林が望める明るいもの。黒みかげ石枠タイル貼8.9人の浴槽がひとつ。カラン7、シャワー・シャンプー・ドライヤーあり。土曜14時で独占。

石の湯口からの投入と底面吸湯+側面注入がありますがオーバーフロー量は潤沢で、加熱の半かけ流し方式とみました。

適温のお湯は無色透明で無味。残念ながら浴場に充満するくらいの強烈なカルキ臭がありました。同行した人によると、この前来たときはカルキ臭なしとのことだったので、行政の指導でも入ったのでしょうか。(なんか、塩素投入に慣れていなくて大量に入れてしまったような感じ ^^;)湯口にはカルキ臭はなかったので循環過程でカルキ注入しているかと思います。

もともと、デリケートな薄めのお湯の大量かけ流しが真骨頂のようなお湯らしいので、カルキ攻めにあってはひとたまりもありません。一浴しただけで早々に撤収となりました。湯口のお湯はやわらかで素性がよさそうだったので、たしかにカルキ臭がなければかなり楽しめるお湯かとは思います。

引用の分析表も掲示されていましたが(内容は浴用と同じ)、湯口にコップはありませんでした。

アルカリ性単純温泉(Na-SO4型) 32.7℃、pH=8.66、湧出量不明、蒸発残留物=217mg/kg、Na^+=52.3、Ca^2+=20.0、F^-=2.28、Cl^-=27.5、HS^-=0.070、SO_4^2-=93.2 <S61.8.5分析>


「雲渓荘」の外観

「雲渓荘」の男湯

 

■別所温泉「大師湯」

(長野県上田市、6:00〜22:00、150円)
http://www.ued.janis.or.jp/%7Ezaisanku/index.htm

お初の別所温泉です。まずは温泉ファンから評価の高い「愛染閣」を攻める予定でしたが、ボイラー交換のため臨時休業中。で、「大師湯」へ行きました。みしゅらん、温泉三昧さん、めがねさん、すなっちさんのレポあり。
平安年間、天長二年に比叡山延暦寺座主円仁慈覚大師が北向観音建立のため当地に逗留された折、好んで入浴されたため「大師湯」と名付けられたもの。かつては、北向山に参詣した籠の者が夜通し利用したので「籠(こもり)の湯」といわれたとも。

川そばに建つ共同浴場は佇まいも素晴らしく、まえの川床に白い湯の花が流れている様もみるからによさげ。番台に券売機の入浴券を渡して入場。余計なものの一切ないシンブルな脱衣場に浴室。

半円形タイル貼4.5人の湯船には、球形の石の湯口から30L/minほど投入され、湯船のふちからざあざあと溢れ出ていきます。湯口にはコップがおかれ、当然槽内注排湯などない見事な源泉かけ流し。カラン3、土曜15時で独占〜2人。

かすかに白濁したお湯には灰白色の湯の花がただよい、明瞭なたまご味に芳醇な(甘+しぶ焦げ)イオウ臭。弱いヌルすべにはっきりとしたとろみが加わった入り心地のいいお湯は、さすが名湯別所の共同湯です。


大師湯

大師湯の男湯

<別所温泉街>
別所温泉のある塩田平には、温泉街そばに北向観音、安楽寺、常楽寺、すこし離れて前山寺、中禅寺などの古刹が点在し、多くの文化財が残されています。「信州の鎌倉」とも呼ばれ史跡を訪ねる観光客も多いところです。別所温泉は平安期の和歌にも詠み込まれている古湯で、古くは"七久里(苦離)の湯"と呼ばれていました。

北向観音を中心に約20軒の宿が集まり、「大湯」「石湯」「大師湯」「愛染閣」の4つの共同浴場があります。すべてチェックしましたが、「愛染閣」を除きどれも入母屋造唐破風屋根の堂々たる湯屋建築で、温泉街の風景に溶け込んでいます。

北向観音の参道の橋のたもとに飲泉所があって、ここのお湯は今回の湯巡りのなかでももっともたまご味とイオウ臭(甘+しぶ焦げ)が強いような感じがしました。北向観音の手水舎にも源泉が注がれ、イオウ臭が香ります。槽のなかにゆらゆらと白い湯の花が出ていたのにはびっくり。

派手さはないですが、ゆったりと過ごせそうな趣のある温泉地で、今度は史跡巡りや松茸料理(このあたりは松茸の名産地です)とからめて泊まりでじっくりと楽しみたいです。

<大師湯脱衣所掲示>
滝口温度50〜51℃、単純硫黄泉、分析表掲示見あたらず(めがねさんレポによると下のデータと同じもののよう)

<大湯前、石湯前、飲泉所前掲示>
単純硫黄温泉(Na-SO4・Cl型) 51.3℃、pH=8.63、湧出量不明、蒸発残留物=284mg/kg、Na^+=74.6mg/kg、Ca^2+=13.7、Cl^-=37.7、HS^-=6.9、SO_4^2-=91.2、HCO_3^-=27.5、CO_3^2-=10.8 <H6.8.11分析>

<北向観音手水舎前掲示>
単純硫黄温泉(Na-SO4・Cl型) 51.3℃、pH=8.8、湧出量不明、成分総計=330.3mg/kg、Na^+=74.2mg/kg (81.97mval%)、Ca^2+=13.8 (17.49)、Fe^2+=0.069、Cl^-=40.1 (26.11)、SO_4^2-=101.5 (48.75)、HCO_3^-=34.1 (12.91)、HS^-=8.02、CO_3^2-=7.3、陽イオン計=88.8 (3.94mval)、陰イオン計=191.9 (4.33mval)、メタけい酸=47.2、硫化水素=0.146 <S60.10.4分析>

(別所温泉財産区のHPより)
「昭和20年から30年頃別所温泉の状態は、自然湧出の泉温・湧出量とも、年ごとに低下の傾向が顕著となり、当時の日本温泉開発研究会に調査を依頼し、ボーリングによる開発が有望との結論に達し従来使用していた大湯旧源泉などに加え、新しい源泉を確保するために掘削がおこなわれました。」 
第1号源泉 S30/6  220.0m 41.0℃   67L/min  S54年に停止
第2号源泉 S30/11 148.0m 45.7℃  360L/min  S54年に停止
第3号源泉 S41/12 180.0m 52.0℃  380L/min
第4号源泉 S51/6  350.4m 52.5℃ 1,300L/min

*現在は3号源泉、4号源泉と大湯旧源泉?が利用されているようです。


石湯

大湯

北向観音

北向観音参道の飲泉所

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