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常磐の湯巡り [2] byうつぼ



■平潟港温泉「温泉の宿くろさわ」

(茨城県北茨城市、時間要問合せ、500円、0293-46-2971)
http://kanko.pref.ibaraki.jp/kenhoku/index.html

五浦をあとにしてすぐ北の平潟港温泉に向かいました。ここは売り出し中の新興温泉地で、温泉宿もたくさんありますが、熊谷温泉さんのレポでかけ流しが楽しめるということで気になっていた「くろさわ」にしました。すこし離れた所に広いPがありますが、空いている時間だと宿の前にも停められます。

港町らしい路地に面した和風2層の建物で、全体にこざっぱりとしていい感じです。TELしないで行ったのでお湯が入っていなかったのですが、すぐに溜まるとのことで快く入浴OKしてくれました。お湯を溜めながら入りたかったので、すぐに浴室へ・・・。

おーっ、檜造1.2人の小さな湯船に木の湯口からさわれないくらいに熱い源泉が40L/minほどもザンザコに投入されています。これはすごい。お湯が少ないうちは適温でしたが、次第に熱くなってきます。水を入れるのも癪なので湯もみで対抗しましたが、ついにオーバーフローを迎えることなく撤収 (^^; でも、浴感は充分味わえました。カラン1、シャワーあり、シャンプー・ドライヤーなし。土曜13時で独占。

熱めの湯は、薄く緑茶色がかって茶色の湯の花あり。強塩味+苦味は松之山に似ていますがやや弱いです。墨臭系のアブラ臭は、五浦「大観荘」露天には及びませんが、かなり強い塩化土類食塩泉のイメージは、成分表データの濃度がそのまま出ている感じ。


やたらとほてるのは熱湯のせいだけではないようで、ごく弱いツルすべ感に迫ってくるような濃い食塩泉の浴感があります。帰りに、「いや〜、熱かったですよ!」と云うと、「あら、源泉勢いよく入れ過ぎちゃったかな?ごめんなさい」とのやりとりがあったので、源泉投入量を適宜調整しているようです。

市場で高値がつく”常陸もの”の水揚げ港ですから、魚料理にも期待がもてそうで、これからは名物のあんこうも旬となります。女将も親切そうで、いいお湯に美味しい魚を満喫できそうな、なかなかいいお宿かと思います。

Na・Ca-塩化物温泉 63.4℃、pH=7.79、323L/min、成分総計=12.40g/kg、Na^+=3590mg/kg (73.40mval%)、Ca^2+=1100 (25.79)、Sr^2+=23.0、Fe^2+=0.4、F^-=2.1、Cl^-=7510 (99.53)、Br^-=18.2、I^-=6.0、陽イオン計=4744.2 (212.84mval)、陰イオン計=7573.5 (212.84mval)、メタほう酸=56.3 <S61.10.15分析>


「温泉の宿くろさわ」の外観

「温泉の宿くろさわ」の浴槽


■湯の網温泉「鹿の湯松屋」

(茨城県北茨城市、時間要問合せ、500円、0293-46-1086)
http://www.jsdi.or.jp/~yunoami/

北茨城の山あいにある一軒宿で、古くから“心の病”に効くお湯として名を馳せていたようです。最後は細い未舗装の道を少し走りますが、看板がしっかりしているのでわりと楽に到達できます。”日本の山里”といった感じのしっとり落ち着いた佇まいが好ましげで、館内も新しくはないですが手入れが行き届いています。

浴室は大小ふたつありますが、大は家族で入浴中だったので小に入りました。(お湯は同じ) 奥にある小浴室はステンレス製1.2人の小さな浴槽がひとつ。家庭の風呂のように狭いですが、1人でゆったりと入れるので逆に贅沢かも。

洗い場の壁にはタイル絵が填め込まれ、窓も広くていい感じの空間。源泉?カランと水カランがありますがどちらも出ておらず溜め湯状態。スイッチで追い炊きができるシステムです。源泉?カランをしばらく投入していると当然ながらオーバーフローが始まります。カラン1、シャワー・シャンプーあり、ドライヤーなし。土曜14時で独占。

ややぬるめのお湯は、透明度約40cmのこげ茶色のにごり湯で赤茶色の青のり状の細かな浮遊物が目立ちます。味不明(源泉?カランは無味)で漢方薬を思わせる苦っぽいような独特な薬臭。源泉?カランは明らかに真水ではないですが、桶に溜めてしばらく置いてみても濁りが全く入りませんでした。浴槽のお湯と違うのかな?

ややぬめりがあって肌に染み込むようなおだやかな浴感があるいいお湯です。しばらく浸かっていると汗がポタポタと出てきますがほてりはなく、いつまでも入っていたいようなやさしいお湯で浴後には爽快感が広がります。なんとも効きそうなお湯で、これはファンが多いのもうなづけます。

出てきたら大浴室があいていたので偵察しました。こちらはFRP浴槽2.3人のものですが、洗い場が広いです。側面注入がありましたがオーバーフローはなく、こちらの方がきもちにごりが薄いような感じ。ふたつあるカランはいずれも止まっていました。

派手な宿ではないですがこの日は満室とのことで、けっこう固定客を掴んでいそう。喧噪とは無縁の立地なので、ゆっくりと湯治をするにはいい宿かと思います。平潟港で揚がった魚料理も自慢のようで、詳しい紹介が載ったページもあります。

■分析表は2種類ありました。
<鹿の湯>
単純炭酸鉄泉((Fe2)-Mg・Ca-HCO3・SO4型) 15.0℃、pH=6.20、約1.2L/min揚湯、総計=357.6mg/kg、Na^+=18.50mg/kg (18.64mval%)、Ca^2+=24.73 (28.49)、Mg^2+=15.67 (29.82)、Fe^2+=26.70 (22.15)、Cl^-=13.95 (9.43)、SO_4^2-=59.00 (29.49)、HCO_3^-=155.0 (61.03)、陽イオン計=87.10 (4.316mval)、陰イオン計=228.0 (4.162mval) <S43.9.10決定>

<鹿の湯2号泉>
規定泉(重炭酸そうだ含有) 19.0℃、pH=8.0、湧出量不明、総計=548.2mg/kg、Na^+=50.00mg/kg (40.55mval%)、Ca^2+=70.96 (54.66)、Cl^-=14.18 (6.10)、SO_4^2-=42.80 (12.60)、HCO_3^-=320.70 (80.20)、陽イオン計=128.0 (6.478mval)、陰イオン計=377.70 (6.542mval) <S33.11.30分析>


「鹿の湯松屋」の外観

「鹿の湯松屋」の大浴室

「鹿の湯松屋」の小浴室

小浴室のタイル絵


■岩塙鉱泉「井筒屋」

(茨城県北茨城市、時間要問合せ、600円、0293-46-3270)

北茨城の山あいに潜むナゾの鉱泉。相当に鄙び入っているということで気合いを入れて突入しましたが、どうにも場所がわからずTELするとおばちゃんが出ました。岩塙山荘というのは発見していましたが、どうやらその手前にあるらしい。「でも、レジャーとかで入るところじゃなくて、湯治につかうような所だけど・・・」 前ふりが入りました。これは相当なもんみたいです (^^;

さっき通った道を再度進撃すると、庭先に廃材を積み上げた民家が・・・。ここかぁ。どうりで判らなかったハズです、入口はおろか玄関にも看板も何もありません。奥の浴場棟の裏からは青い煙りが立ち昇り、覗いてみると薪を焚いていました。出てきたおばちゃんに料金を払って浴場へ。

とにかく、なにもかにもが鄙びきっています。浴室はふたつありますが、ひとつは使っている気配がありません。奥の浴室はタイル貼扇型1.2人のこぢんまりとしたもの。全体に暗めで脱衣所よりさらに低くなっているので穴ぐらのような感じですが、かえって落ち着いて入れます。土曜15時で先客がひとりいました。カラン・シャワー・シャンプー・ドライヤーなし。

浴槽に溜められたお湯、これが熱い。おもわず先客に「熱いですねぇ」と言うと、「今日はぬるいほうだよ、さっききた●●さんなんか、ぬるくて入れね〜って帰ってったよ」・・・。共同浴場ではよくあるパターンですが・・・ ~~;)。 でも、先ほどの「くろさわ」ほどではないので、じっくりと入れました。

湯口はなく側面から熱いお湯が出て、もうひとつ穴(吸湯はしていない)があってオーバーフローはないので、薪焚きによる追い焚きの溜め湯式かと。源泉カランがあって、しぶ焦げイオウ臭にたまご味+金気臭の特徴のある冷たい水が出ます。よこにコップも置いてあります。溜め湯の冷鉱泉でも、源泉に触れられるのはありがたいですね。

薄コーヒー色のうす目の黒湯は味不明無臭でややツルすべがあり、薪焚きらしいやわらかなお湯はじわりじわりと染みてくるような深みのある浴感。分析表はありませんが、イオウと重曹が頑張っている感じのお湯でなかなか個性的。

料金600円は高い感じもしますが、薪焚きを考えるとやむを得ないでしょう。出ようとするともう一人入ってきたので、地元では意外と人気があるのかもしれません。ここはこれまで入ったなかでも屈指の秘湯かと思います。機会があったらまた訪れたいです。

泉質等の掲示はありませんでしたが、県観光物産課のHPによると、「硫黄泉(硫化水素型)」とのこと。


岩塙鉱泉の外観

岩塙鉱泉の浴舎

薪焚きです
 


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