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東伊豆の湯巡り [18] byうつぼ


■熱海温泉(上宿)「上宿新宿共同浴場」


(静岡県熱海市、14:30〜20:20、400円、0557-81-5773)
http://www.atami-amic.com/onsen/cgi-bin/index.pl?no=13&bnk=shoukai

ここも市内にある共同浴場です。やませみさんから「明治期の大湯の分析にひじょうに近い」という情報をいただき、たまらず突入しました (^^; 場所は市役所の山側、上宿地区。大湯間欠泉から糸川を一本隔てた位置にあります。市役所となりの中央町公共Pが近いですが混んでいて入れにくく有料なので、スーパー「マックスバリュ」のPにとめて(なにか買い物をすれば2hまで無料)歩いて行ったほうがいいかも。徒歩4.5分です。

市役所の前を通り「ニューフジヤホテル」手前(糸川を渡る橋の手前)の路地を山側に入り、温泉寺を左にみてそのすぐ先にある誓欣院参道の橋のたもと。「山田湯」や「渚浴場」にくらべるとぜんぜんわかりやすいです。朱塗りの橋と共同浴場の白壁、その上に誓欣院の鐘楼が重なり見ごたえがあります。

総木造の館内に男女別の浴場。小さな番台と壁に祀られた神棚、木格子の脱衣棚に年季入った台秤など、共同浴場ならではの風情をただよわせています。なお、番台は無人のことがあるようなので、小銭で400円用意していったほうがいいかと。

扉をあけると浴室。なかは思いのほか広くて左右の壁面にカラン(計8位)、中央に椅子と桶が山がたに積まれています。奥に水色タイル貼3.4人のふたつの浴槽があり、右が熱湯槽、左が適温槽。ともに石膏の析出と緑青におおわれたカランからゲキ熱の源泉を投入。よこに水カランもあります。アメニティ類はなし。

熱湯槽はゲキ熱でしたが、適温槽に入れるので水でうめるのを遠慮していたら、あとから入ってきた常連さんが水を入れてくれました。この方によるとお湯は湯前神社あたりから引いていて、ここにくると70℃くらい、熱交換で冷ましているがそれでも熱いとのこと。

熱交換でつくられる真湯のお湯がカランから出るのがありがたいとも・・・。そういえば夏に行った蔵王でも、真湯の浴槽やカランがあるのが宿のウリになるという話をききました。温泉好きはカランも温泉だと嬉しいものですが、強くて熱いお湯の温泉地では、そんなものなのでしょう。

やや懸濁したお湯には弱い苦味と強いながらもまろみを感じる塩味。おだやかな磯の香が香り立ち、等張泉らしい適度な重みに明瞭なとろみと土類系の肌に食い込んでくるような力強さが加わるすばらしいもの。このとろみはたぶんメタけい酸=271.0によるものと思います。

熱海がお湯のよさで語られることは意外と少ないですが、熱海本来のお湯は、力感と深みをあわせ持つこのようなすぐれモノのお湯だったのでしょうか。

やませみさん情報では、「近ごろ空洞化による組合員の減少で存続がきびしい状況」とのことですが、たしかに16時台で2人とゲキ空きで、やはり運営がたいへんなのかも・・・。雰囲気もお湯もすばらしい共同浴場なので、ここはおすすめです。(ただし、あくまでも共同浴場なので入浴にあたってはマナー厳守が必要かと)

Na・Ca-塩化物温泉 87.5℃、pH=8.0、湧出量不明、成分総計=8.873g/kg、Na^+=2035.0mg/kg、Ca^2+=1057.0、Fe^2+=1.4、Cl^-=4983.0、SO_4^2-=180.7、I^-=5.4、メタけい酸=271.0、メタほう酸=8.3
<H9.1.14分析> (源泉名:熱海19号泉・野村湯)


※前ふりで「(熱海の)共同浴場は一部をのぞいて思いっきり敷居高そうだし」と書きましたが、今回入った2湯は番台の方も常連さんも親切で、いろいろお話もうかがえて楽しく入れました。


「上宿新宿共同浴場」の外観

「上宿新宿共同浴場」の館内

「上宿新宿共同浴場」の男湯

石膏の析出ごてごてのカラン


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