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南会津・新潟の湯巡り [1] byうつぼ


南会津・新潟の湯巡りの1発目です。当初は下越のアブラ臭強食塩泉群をピンポイント攻撃の予定でしたが、なかなか行けないエリアゆえ、ついつい欲が出て3泊となりました。往復関越では面白味がないので、白河〜会津〜阿賀野川と入り、下越から南下、寺泊で魚を食べて長岡に抜けるコースとしました。


■岩瀬湯本温泉「分家」

(福島県天栄村、時間要問合せ、500円、0248-84-2314)
http://www.hatoriko.jp/09/yumoto/ymt3.htm

東北自動車道を白河ICで下りて県道37〜羽鳥湖〜R118で岩瀬湯本へ。羽鳥湖あたりはまだ一面の雪景色、湖面の南半分は結氷で真っ白でした。近くの二岐温泉と引き比べてあまりにも地味なお湯ですが、約1200年前の弘仁年間開湯とされる歴史ある湯治場です。

温泉街というよりは集落のなかに湯宿が点在している感じで、奥まったところに共同浴場がありますが、ジモ専で入浴不可(宿泊者は入浴可のよう)。まずは、敷地内に源泉をもつという「湯口屋」を目指しましたが、玄関は鍵がかかり人の気配なし。で...隣の「分家」に目標変更です。みしゅらんあり。

入母屋曲屋造りかやぶき屋根の重厚な外観で、館内も総木造りの暖かみのあるもの。磨き込まれた床が黒光りしています。男女別の浴室は内湯のみとシンプルで天井はさほど高くないですが換気がきいてなかなか快適。

湯船は総檜造で3〜4人程度。窓の外には坪庭があり、狭いながらも趣ふかいもの。コップが置いてある檜の湯口から12L/minほどを静かに投入し、槽内排湯なしでオーバーフローの源泉かけ流し。カラン3、シャワー・シャンプードライヤーあり。平日11時で男女湯とも独占。

適温のお湯は、ほぼ無色でかすかに濁りがあり茶色と灰色の浮遊物。金気味弱石膏味で金気臭+おだやかな温泉臭があります。キシキシ感があり、からだの芯からあたたまり浴後しっとりとくる浴感は、食塩泉というよりはむしろ硫酸塩泉系のもの。鮮度感の高いおだやかないいお湯です。

浴後、気さくな女将にお茶やお菓子をご馳走になりました。共同浴場は集落管理で、自宅に風呂をもっていない家も多い。ジモ専化は酒を持ち込み騒ぐ輩がいるのでやむを得ない対応とのことでした。お湯は隣の湯口屋の敷地から村有の源泉を引湯で、傷に特効があるそうです。

ここ数年宿の廃業が相次ぎさびしくなったとのこと。秘湯ブームの影でこのような味わい深い温泉地が寂れていくのはなんともやりきれない感じがします。

館内簡易掲示ではNa・Ca-塩化物温泉、源泉48.0℃。細かな分析表はなしとのこと。(でも、SO_4^2-も相当あるような感じがしますが...)


「分家」の外観.

.「分家」の男湯

「分家」の男湯の湯口

「共同浴場」と湯口屋



■湯野上温泉「清水屋」

(福島県下郷町、時間要問合せ、500円、0241-68-2211)
http://www.akina.ne.jp/~s-aizu/shimogou/yunokami/ryokan.html

R118を東進しR121会津西街道に突き当って1qほど南下すると湯野上温泉です。かやぶきの駅舎が有名な湯野上温泉駅で目指す共同露天の場所をきくと、冬期閉鎖中で5月からとのこと。で...かけ流しとの事前情報があった「清水屋」へ。

阿賀川(大川)の渓谷がやや広まるところ、川底より湧くといわれる山あいの温泉地。中規模旅館をメインに十数軒の湯宿がありますが、全体に落ち着いた静かな雰囲気。清水屋は玄関がトラックの往来が多い国道沿いにありイメージ的にやや損をしています。古びたコンクリ造の建物、静まり返った館内に活気は感じられず、何となく時流に乗り遅れてしまったイメージがあります。

浴場は、男女別の内湯と混浴(脱衣所のみ別)の露天がありハダカ移動不可。中央に観音様が鎮座まします露天は広くて多彩な構成。湯温が高い順に、舟形浴槽(タイル貼1.2人)、四角浴槽(石枠タイル貼3.4人)、扇型浴槽(タイル貼4.5人)、大浴槽(石造10人)。他に湯のはられていない石造り4.5人の浴槽と火の入ってないサウナ。あちこちに石膏らしい白い析出。

カラフルな変形タイル貼り浴槽には、職人芸が感じられます。浴槽脇には水車と桜の大木。まだ蕾は固かったですが、開花したら絢爛たる花見風呂になりそう。木の塀に囲まれ展望はないですが、塀のすぐ外には会津鉄道の線路が走っています。

すべての浴槽に槽内排湯はなく源泉を惜しげもなくかけ流し。槽内注入の浴槽が多いのも好感がもてます。投入量と浴槽の大きさで湯温を加減しているようです。カランなし(内湯に3あり、シャワー・シャンプーもあり)。平日13時で独占でした。

鮮度感抜群のお湯は、澄み切った無色透明で、弱い石膏味石膏臭。とくに熱めの舟形浴槽はきりりとくる清冽な浴感があって最高。キシキシとツルすべが入りまじる浴感は、山梨の桃の木や芦安に通じるものがあります。浴感自体は弱いですが、とてもあたたまり浴後は肌がすべすべになります。

内湯ものぞいてみましたが、石枠タイル貼5.6人の五角形の浴槽に石の湯口からしずかに投入で同量をオーバーフローのかけ流し。思わず入りたくなりましたが時間がなく断念。

受付の女将?によると、国道の反対側に湧く自家源泉をかけ流ししており、建物は古いがお湯には自信があるとのことでした。帰りに国道の反対側をみると崖の上の貯湯槽?からパイプが引かれ、側溝の木樽に熱めのお湯がザンザン注ぎこまれ湯気もうもう。これがかの自家源泉かと...。

国道からの見た目はハズレ旅館ですが、こんな素晴らしいお湯と浴場が潜んでいるとは...。
湯巡りの醍醐味はこんなところにもありますね。

館内廊下掲示の時代ものの分析表(舟湯)によると、
重曹泉、63℃、pH=8.1、総計=1016mg/kg、クロールナトリウム=114.7mg/kg、重炭酸ナトリウム=761.7、メタけい酸=71.94 <S25.10.3>


「清水屋」の外観


「清水屋」の露天

「清水屋」露天の船形浴槽

「清水屋」の内湯男湯

「清水屋」の国道横に溢れる源泉




■芦ノ牧温泉「ドライブ温泉大浴場」

(福島県会津若松市、7:30〜19:30、350円、0242-92-3032)
http://www.aizu-ashinomaki.jp/

湯野上からR121(R118)会津西街道をしばらく北上すると芦ノ牧温泉です。大型豪華旅館が建ち並ぶ一大温泉地ですが、ドライブインが併設する浴場がかけ流しとの情報があり寄ってみました。

芦ノ牧トンネルを抜け阿賀川(大川)にかかるレインボーブリッジ(芦ノ牧橋)を渡るとすぐ左手にドライブインが見えてきます。ややさびれ気味のドライブイン&土産物屋が併設する日帰り(というか立ち寄り)温泉施設。
WCと玄関前には温泉が流されており豊富な湯量を窺わせます。「(温泉で)洗車は禁止」の看板が笑えます (^^;

男女別の浴室は、内湯2+露天1(女湯は内湯2のみ)。内湯は、タイル貼3.4人の高温槽と4.5人の適温槽があり、見事な石膏の析出が出た金属パイプからおのおの8L/min、2L/min程度を投入。高温槽から適温槽へ流し込み、適温槽からのオーバーフロー。槽内排湯は見あたらずたぶん源泉かけ流し。

露天は、派手な青色のタイル貼5.6人でぬるめ。金属パイプ3本(熱湯1、ぬる湯2)から少量の投入で、槽内排湯はなくオーバーフローのかけ流しですがややなまり気味かな。カラン5、シャワーあり、シャンプーなし、ドライヤー有料。平日14時で独占〜2人でした。

無色透明(露天には茶色の浮遊物)のお湯は、ゴムの味とドクダミ臭とゴムの臭いがまじったような個性的な味臭で、何故か奥秩父の中津川温泉を思い出しました。ここもキシキシとツルすべが入りまじる独特の浴感で、かなり温まります。

なかなか個性的なお湯です。B級度は高いですが、料金も手頃だしR118走行時には立ち寄る価値は十分にあるかと...。

含食塩石膏泉 63℃、pH=7.6、75.0L/min、総計=1763mg/kg、Na^+=198.9mg/kg、Ca^2+=266.8、クロールイオン(Cl^-)=176.4、SO_4^2-=837.1、ヒドロ炭酸イオン(HCO_3^-)=57.59、陽イオン計=507.8、陰イオン計=1078、メタけい酸=169.9 <S38.1.12分析>


「ドライブ温泉大浴場」の外観.

「ドライブ温泉大浴場」の内湯

「ドライブ温泉大浴場」の露天


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