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山陰温泉めぐり前編 byONKEN21

■琴引浜露天風呂(京都府京丹後市)

丹後半島の温泉2ヵ所目は京都府京丹後市(旧網野町)の琴引浜にある露天風呂をレポします。

伊根町から丹後半島を北上、先端の経ヶ岬の駐車場から灯台を眺めます。次に網野方面へ西に向きを変え、丹後松島など越前海岸同様の豪快かつ美しい海岸風景に胸打たれます。もう時は夕方。果たして琴引浜の露天風呂は入れるか疑問でしたが、ダメ元で急ぎます。国道178号の鳴き砂・琴引浜の看板に従い右折。

ところで私にとって琴引浜は温泉としてよりも鳴き砂の浜として結構、幼い時分から注目してました。歩くと砂が鳴くなんて、何ともロマンチックで不思議。是非、体験してみたいなと長年憧れていました。そこに無料の露天風呂があると知ったのは、十数年前に読んだ温泉本。

その他、NHK「ふだん着の温泉」や大原利雄氏の「誰も行けない温泉 最後の聖(泉)」にも紹介されましたね。鳴き砂に無料の露天風呂があると知ってから、俄然火がつきましたが、丹後半島はあまりに遠く交通不便、今までずっと実現できませんでした。

大原本の情報をヒントに琴引浜の砂浜に下りて行きます。秋は釣瓶落としでもう真っ暗。砂浜を歩いてみるものの鳴き砂の音はしません。実はこの後行った島根県大田市(旧仁摩町)の鳴き砂「琴ヶ浜」で気付いたのですが、鳴らすためには普通に歩いていてはダメ、“摺り足”で歩くのがコツなんです。

琴引浜では歩き方が悪かったのか、あるいは砂浜の汚染が影響してるのか、鳴らすことはできませんでしたが、島根ではきちんと「キュッ、キュッ」と鳴らすことができましたよ。
(参考)琴引浜鳴き砂文化館仁摩サンドミュージアム(島根県)

鳴き砂の鳴らそうとした後は、いよいよ目的の露天風呂へ。浜辺を200mくらい歩くと、浜辺の丘の下にめざす露天風呂が見つかりました。お湯に手を入れるとややぬるめですが、これなら入れないことはありません。丘の上の木の下の籠に服を脱ぎます。

最初、誰も入っていないのかなと思っていたのですが、露天風呂の端のシートの中に入浴客を一人発見。その方は相当長く入っていたと見え、途中で出ました。さらにその方のお仲間も入れるか声をかけていましたが、遠慮して通り過ぎて行きました。

露天風呂の端にあるシートは雨よけとして、また中が温かいのでもぐられていたそうです。すでにお湯の投入は止まっており、お湯が砂浜へ少しずつ抜かれ始めていたので、タオルでふさぐと良いとのアドバイスをいただき、タオルを石の栓の隙間に差し込んでおきます。

この日は冬型で時雨れていたせいか、目の前の日本海は波が荒れています。ドドーンと豪快な波の打ち付ける音を聞き、そして闇の中、うっすら見える白い浜辺と美しい海岸・白波、沖には漁火がチラチラ。この景色には感激しました。露天風呂には電灯もついていて、暗くなっても十分楽しめます。

お湯は無色透明無味無臭で浴後は肌サラサラの爽快感と温もり感があります。泉質は別源泉になりますが、すぐ近くの鳴き砂温泉がアルカリ性単純温泉48.7℃(507L/分、pH9.48)となっているので、それに近いものが推測されます。もちろん野湯ですから、循環装置や塩素消毒は一切なく、浴槽横海側の穴からお湯が少しずつ排水されています。

お湯は大変ぬるく出るのに寒くて大変、やはり11月が限界で、12月〜3月は閉鎖されているようです。ギリギリセーフ(^_^;) ちなみに露天風呂に投入されるパイプを辿ってみると、露天風呂背後の丘のテッペン駐車場そばに小さなポンプ小屋がありました。多分、タイマーで作動するのでしょうか。

この温泉は昭和52年に地元の水道工事業者が掘削、温泉旅館の経営を計画するも、ここは“丹後ちりめん”の本場でやり手がおらず、頓挫。そのまま放置されたものを、地元の方々が露天風呂を作って開放し、管理しています。それまでには保健所の横槍も入って、熾烈なやりとりもあったとか。

混浴のため混雑時は水着着用となるようですが、地元の方が持ち寄った風呂桶や脱衣籠もありますしマナーを守った入浴をお願いしたいです。露天風呂の利用は無料ですが、海水浴シーズンだけ1000円の駐車料がかかるようです。また海水浴シーズンは海水浴客が多く、かなり入りずらいかも知れません。やはり冬以外のオフシーズンの夕方がオススメでしょうか。利用時間は次の通り。

4〜11月/15:30〜19:00(GW・7〜8月/10:00〜19:00)

(写真)拙blog5湯目にて


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