みしゅらん掲示板 特集クチコミ情報

みちのくの湯治宿めぐり byONKEN21


第3章 羽根沢温泉


花巻台温泉での朝、今夜の予約の電話を入れます。翌日には帰りたいとの希望があって、山形県新庄周辺の温泉を探します。肘折、黄金、瀬見は満室。羽根沢温泉「加登屋旅館」へ。「3階なら空いてます、1泊2食税込8650円」とのご回答で予約。

羽根沢温泉は昨年GWに共同浴場に入浴しており、お湯も絶品、温泉街の街並みも悪くはなかったので、そこに泊まれるとは願ってもないことです。バブルの影響か規模の大きいホテルのため、繁盛期でも案外収容力があるのでしょうね。繁盛期割増なし通年同一料金もうれしい。




(1)宮沢賢治記念館と稲庭うどん

5/3(3日目)の日程です。

台温泉9:35(672km)→宮沢賢治記念館10:25〜11:30(693km)→花巻空港IC→<釜石・東北・秋田・湯沢横手道>→十文字IC12:37→稲庭(七代佐藤養助)13:00〜15:00→<R13県道>→雄勝15:30(814km)→羽根沢温泉加登屋旅館16:50(866km)

台温泉出発後、花巻と言えば“雨ニモマケズ…”で有名な宮沢賢治ということで、「宮沢賢治記念館」に立寄ります。賢治の生涯には魅せられるものがありますね。

昼食はおととし秋に食べそこなった本場稲庭うどんを食べようということで、高速で秋田県に入ります。宮城・岩手県は寒かったですが、山を越え秋田・山形県に入ったら暑かったです。十文字ICから稲川町の稲庭地区の「七代佐藤養助本店」で1時間も並んでついに稲庭うどんをいただくことができました。本店名物「二味(にみ)」735円を注文。ざるに盛られ た麺はつやがあって光るほどで、しょうゆとごま味噌の二種のタレでおいしかったです。さすが本場!

稲庭からR13に出て、雄勝峠を越え、山形県へ。さらに奥羽本線沿いの県道を入り、羽根沢温泉へ向かいます。昨年と同じコースです。



(2)羽根沢温泉「加登屋旅館」

羽根沢温泉に着くと昨年と何も変わらない5軒のホテルのある温泉街と集会場・共同浴場・駐車場がありました。夜、温泉街や沢沿いを散策しましたが、ホテルも描き入れ時で賑やか、沢や田畑では蛙の大合唱が聞こえていいですね。

共同駐車場に止め、すぐ目の前の加登屋旅館に入ります。中は広く大変歩き、エレベーターがないのは不便。新館・本館と山側の池越しへ渡り廊下でつながる「別館 静観荘」は関係者以外立入り禁止で従業員が出入り、現在は営業していないみたいです。でも渡り廊下沿いの部屋など湯治向の客室もあるようです。

私が泊まった部屋は新館3階の二部屋続きの大変広いもので、やはり収容力の大きさを実感。トイレは共同で、内装は全体的に古ぼけた感じはしました。まわりの山々が望め、景色はいいです。共同トイレ・浴場脱衣場のみ改装されています。

驚いたのは各客室や大広間に温泉と一緒に出る天然ガスを引いた暖房用コンロがあること。入室時に赤々と燃えていたので、案内の方に聞いてしまいました。暑かったのですぐ消しましたが…。朝食の大広間でも燃えていました。

食事は隣の客室に用意していただけました。ただ、夕方見たら、すでに天ぷらなどが用意してあったので、全般的に冷たい料理が多かったのは残念です。昔の団体向け仕様。山菜や漬物は量も多く、おいしかったです。

さて肝心の温泉です。浴場は1階フロントそばにあります。脱衣所は改装できれいですが、浴場は古くて汚い感じもしますね。外は池があるのですが、観葉植物の置いてある二重窓のためよく見えません。露天風呂はなく、昔は混浴だったのか、男女の境に壁で仕切られています。天井と浴槽は繋がっています。浴槽は窓に沿って長細く、数十人はいけそうな大きさです。

湯使いは手前脱衣場側は吸込・注入各1の循環で淀んだ感じ。奥は飲泉コップ付の投入があって、そのまま溢れています。ほぼ掛け流しで一部循環といった感じです。湯はやや白くささ濁りがあり、タイルのせいかやや緑色っぽい感じがします。臭いは新潟・松之山温泉に似た香ばしいアブラ臭、で投入口ではわずかに硫黄臭があります。塩味あり。

ここの特筆すべきは全国でも有数と思われる肌のヌルヌル感。入った瞬間にヌルっとし、夜2回朝1回の計3回入ってもヌルっとしました。さらに強烈なホテリ感。誰もいないのをいいことに掛け流しの湯が流れる洗い場でトドになって(トドって)しまったほどです(^_^;)。加登屋は湯元ですし、投入口付近に限れば、ある方が指摘されるほど悪くはありませんし、共同浴場にもそれほど引けは取らないと感じました。

羽根沢は何度入ってもすばらしいです。この湯を宿泊で満喫できて最高でした。うなぎ湯好きの方には強くおすすめします。

 

加登屋旅館では浴場入口横に平成15年の最新の「温泉利用の注意(浴用)」と脱衣所に昭和27年の古い「温泉分析書」がありました。昨年のGWに羽根沢共同浴場でメモした「温泉利用の注意(浴用)」は昭和63年ですから、合わせて3種類になります。

平成15年(加登屋)←昭和63年(共同浴場)←昭和27年(加登屋)の順にデータを掲示します。

温泉利用の注意(浴用)
温泉地名(泉名):羽根沢温泉 利用施設名:加登屋旅館
採水位置:山形県最上郡鮭川村大字中渡1321(加登屋住所:中渡1312/共同浴場も同採水位置)
泉質:ナトリウム・炭酸水素塩-塩化物温泉(旧泉質名:含食塩重曹泉)
含有成分
源泉の温度:47.2←47.2←47.4℃(分析時の温度)/供給場所での温度:43.0℃(H15)
蒸発残留物(固形物総量):2957←2930←2924mg/kg、pH=8.4←8.4←8.1 Li=0.2←0.1←0 Na=1204←1170←1241 K=3.9←3.6←24.17 Mg=0.7←0.7←7.543 Ca=5.3←3.8←18.29 鉄2=0←0←0.8436 Al=0←0←0.5638  陽計 =1214←1178←1292
F=2.9←2.8←0 Cl=915.5←868.6←897.5 Br=2.4←3.9←0 I=0.6←0.7←0 硫化水素=1.9←1.9←0 硫酸=4.9←5.3←6.749 リン酸水素=0←0.1←0 炭酸水素(ヒドロ炭酸)=1636←1630←1560 炭酸=31.1←30.7←152.4 水酸 =0←0←1.8 陰計=2595←2544←2618
メタケイ酸=26.5←33.8←46.74 メタホウ酸=12.4←9.9←0 非解離計=38.9←43.7←46.74
溶存物質計=3848←3766←3957
遊離CO2=10.9←10.9←0 成分総計=3859←3777←3957
(微量成分)鉄2=0.02←0.02←0 亜鉛=0.06←0←0 リン酸=0.08←0←0
分析年月日:昭和63年10月17日←平成15年12月14日←昭和27年8月10日
分析機関:山形県衛生研究所
使用源泉名:羽根沢源泉
適応症:きりきず、やけど、慢性皮膚病、虚弱児童、慢性婦人病、神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後回復期、疲労回復、健康増進

昭和27年「温泉分析書」だけのデータ

所在地:鮭川村大字中渡字羽根沢
地質:第三紀水生成岩層
採取日時:昭和27年5月23日12時05分 天候:晴 気温:23.0度 気圧986.3ミリバール
源泉状況:掘さく自噴
性状:無色清澄にしてれん味を有し弱アルカリ性反応を呈す
密度:1.0025(15度)
医治効能
飲用(一般効能):慢性胃腸カタル、胃酸過多症、糖尿病、痛風又は尿酸素質、肥胖症、胃臓結石又は膀胱結石、膀胱カタル、熱射病
浴用(特効):創傷、火傷
浴用(一般効能):体位向上、健康増進、疲労回復、諸病回復期、ヒステリー又は神経衰弱症、慢性皮ふ疾患、慢性婦人科疾患、慢性関節及び筋肉リウマチ、胃腸病、貧血症、神経痛
衛試第622号 山形県衛生試験所

※玄関にある★やまがた算数たんけん「温泉めぐりドライブラリー」羽根沢温泉加登屋旅館によると“47.8度・毎分21.6L”との記載あり。

※加登屋旅館パンフより

温泉の由来
当温泉は大正八年石油試掘のとき深度648mの地下から多量の天然ガスをともなって湧出した温泉です。(県内唯一の間欠泉)泉質は含食塩・重曹泉(緩和性高温泉)で無色清澄で弱アルカリ性を呈し消化器病、神経痛、婦人病、リウマチ、火傷などに効くほか、肌もなめらかになります。飲用も特効があります。

※箸袋より

羽根沢節
ハアー
 羽根沢街道に白菊植えて キタサ
  何を聞く聞く ナアー 便り聞く
          キタコリャコリャ
ハアー
 新庄ついでに羽根沢にお出でキタサ
  此の世の苦労のナアー
    捨てどころ キタコリャコリャ
ハアー
 山の羽根沢みやげもかるく キタサ
  聞かしてやるぞえナアー
    羽根沢節 キタコリャコリャ

加登屋旅館(●鉄筋モルタル3階建 ●客室/和室29室 ●宿泊人員/117名)
一泊二食8650円(通年) 素泊4725円(朝食付5775円) 日帰り入浴300円(9〜16時)
TEL(0233)55-2525 FAX2526

参考:郡司さん熊谷さんの各レポ

↓私のアルバム@花巻・稲庭・加登屋編
http://www.imagestation.jp/ja/pc/viewimagelist.jsp?album_id=dfdf8e563423&page=5

↓鮭川村HP
http://vega.ne.jp/%7Esakegawa/onsen/onsen.html




( 5月21日かっきー@山形・新庄さんからコメント)

ONKEN21さん、羽根沢温泉にようこそ!詳細なレポートに感謝いたしますとともに、こんな草深いところにまでよくおいで下さいました。まるで、元禄時代に松尾芭蕉がみちのくを訪れたような心地がいたします。以前、クマオさんもみえました。このかっきーに一声かけていただければおいしい蕎麦をごちそうしましたのに。

ところで、羽根沢温泉の共同浴場は私のメインの温泉です。自宅から15分毎週のように通っております。なお、ここの温泉旅館はONKEN21さんの控えめなコメントのとおり、うらぶれています。経営陣に覇気がないのです。お湯がこんなに特徴があるのに、それがわからないんですね。あと、この村全体をみんなで盛り上げて行こうという気迫が希薄です。村会議員もいるんですが今一です。でも私はいつまでも共同浴場にかよいます。では。

http://www.ic-net.or.jp/home/kakiz/


( 5月21日ONKEN21からレス)

>かっきーさん
 かっきさん、書き込みありがとうございます。昨年のGWに羽根沢共同浴場へ訪れた時もかっきーさんのHPを拝見し、参考文献としてリンクしました。昨年はあの石抱にも、雪の中行ってしまいました(^_^;)。

>このかっきーに一声かけていただければおいしい蕎麦をごちそうしましたのに。
蕎麦と言えば、加登屋の夕食でも出てましたね。腹いっぱいでよくわからなかったけど、山形のそばですからやはりおいしかったですよ〜。隠れた名店の蕎麦ならもっとおいしいんでしょうね〜。

>経営陣に覇気がないのです。
 いえいえ、朝、出発した時は気さくな若い女将さんがきちんとお出迎えして下さって、いろいろ声をかけていただきました。実に家庭的な宿ですね。あとGWなのに割増料金なしというのは非常にありがたかったです。関東では繁盛期になると2倍以上ふっかけられる宿がざらにありますからね。

>お湯がこんなに特徴があるのに、それがわからないんですね。
 やはりあそこのヌルヌルはタダものではないです。肌にオイルを塗ったような感じでした。東北はもちろん、全国にもアピールできるお湯だと思います。昨年は大阪ナンバーの方が見えていましたし、今年のGWの宿の歓迎看板を見ていたら、半分は関東、半分は地元という感じでした。
お湯の良さはクチコミで伝わっているんですね。頑張ってほしいです。

 そう言えば、羽根沢節って今でも唄われているんでしょうか?どういう節回しなのか、1度、聞いてみたかったですね。ホテルのロビーや共同駐車場などでテープ(生演奏がベター)で流してみるとおもしろそうです。



 


もどる目次すすむ