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北海道青春18きっぷの旅 by ONKEN21  2002年7月



第6章 函館本線山線〜長万部(三日目)

旅はついに後半戦、帰路に入ります。前日までに2人で4回分消化したため、札沼線新川駅にて「赤い青春18きっぷ」に新たな日付を入れます。このピンク色の切符(写真下、上の切符は駅で一般に買えるマルス券)は鉄道マニアが欲しがる軟券(常備券・ナマ券とも)で東日本では北海道のほんの一部の駅でしか売っておらず、希少価値大です。前日、札幌駅東みどりの窓口3番売り場で買いました。値段・効力共に両者に差はありませんが…

★函館本線“山線”(通称)

札幌〜長万部間には二つのコースがあります。一つは千歳線・室蘭本線経由、もう一つは函館本線(通称“山線”)の小樽・倶知安経由。昔の札幌〜函館間の特急は山線経由が多かったのですが、文字通り山岳地帯なので急勾配でカーブが多く、今では普通列車が1日数本しか走っていません。一方、室蘭本線経由は海沿いで勾配がゆるいので特急・急行・夜行快速は皆、室蘭本線経由です。両者を比べた時、やはり心引かれるのは「山線」のローカル線旅情と言うことで、小樽・倶知安経由で帰ることにしました。

新川7:00発に乗り、札幌駅の手前の桑園駅で7:09発函館本線の小樽行の普通列車に乗り換え。札幌〜小樽の石狩湾の車窓はなかなかきれいです。小樽駅(7:50発-8:07発)では洋風の造りの駅舎を観察。小樽から長万部行きは1両編成(単行)のワンマン列車でなかなか混んでいます。8:07発を逃すと、次の長万部行きは12:30までないので 貴重な列車です。途中に温泉もあるんですが、本数が少なすぎて降りることが出来ません(T_T)

でも山線は山岳路線として期待を裏切らない車窓を楽しむことができます。この日は雲が多く蝦夷富士こと羊蹄山やニセコ連山がみられなかったのは残念。峠を越えた倶知安駅では途中13分の待ち時間があり、駅前にある「羊蹄山の日本一おいしい水」を飲むことはできました(^^)V。

倶知安を過ぎると駅が民宿となっている比羅夫駅(ホームにお風呂あり)や、駅前に日帰り温泉「綺羅乃湯」があるニセコ駅、前回(少し歩いた旧館に入浴済)とは見違えて近代的になった昆布川温泉「幽泉閣」などある昆布駅を通ります。二股らじうむ温泉の最寄、二股駅も通りました。列車は川のそばや深い森の中を走りながら、海辺の長万部へ下りて行きます。




第7章 長万部温泉ホテル「大衆浴場」

★長万部温泉にて

長万部駅では次の函館行普通列車まで1時間47分もの乗り継ぎ時間が発生しました。(11:13着-13:00発)ちなみにこの列車を逃すと次の函館行きの普通列車は16:20発となります。石勝線や山線もそうですが、北海道の普通列車の本数の少なさには本当に驚かされます。この1時間47分を有効に活用すべく名物駅弁のかにめしを食べ、長万部温泉に入浴することにしました。

駅弁のホームでの立ち売りはなく、キヨスクでも売っていません。駅を出て突き当たりを左折するとかにめしの販売元「かなや」があります(徒歩2分くらい)。かにめしを1050円で買いました。海辺の方へ少し歩いて、防波堤の上で食べました。この日は天気がよく噴火湾の周りの山を眺めながら、おいしいかにめしを食べサイコーでした。ただ、風が強くあおられて駅弁を落としそうになった時は冷や汗ものでした(^_^;)。実際、かにを少しこぼしてしまったのはもったいなかったです。

次に長万部温泉に入浴します。長万部駅からですと駅を出てすぐに室蘭方面に左折し少し歩き、跨線橋で左折し線路を渡り、右折すると長万部温泉街に出ます。駅から徒歩15分くらいです。道路左手には長万部温泉唯一の露天風呂のある「丸金旅館」、右手には「長万部温泉発祥之地」の石碑と「長万部温泉ホテル(大衆浴場)」があります。石碑の碑文は以下の通りです。

長万部温泉は町の天然ガス試掘により昭和三十年二月十ニ日ガスと共に湧出した当時この地区は寺院ニ、民家一戸のみであった以来温泉街が形成され現在の発展をみた長万部温泉湧出三十年記念を機に将来の隆盛を祈願しここにこの碑を建立する
  昭和六十年七月十九日 長万部温泉利用協同組合

この石碑の後ろに長万部温泉ホテルがあるので入浴します。下駄箱に靴を入れると正面に大衆浴場入り口があります。中へ入ると銭湯にあるような番台があり、ここで銭湯料金(大人370円)を払います。浴室の扉を開けるととたんにアブラ臭が鼻を付きます。群馬で言えば渋川温泉のようなにおいです。残念ながら私にはアブラ臭の細かい違いまでかぎわけられるほど鼻がよくないです(^_^;)。やませみさんはこれをモール臭としているようですが…。手前が熱い源泉を直に投入している浴槽、奥はその浴槽と穴で繋がった少し温い浴槽で熱すぎる場合、ホースの水で薄めることができます。それでも大変熱いです。

湯はやや茶緑色っぽくアブラ臭が強烈です。塩味もあります。温めの浴槽にパスカルの穴と思われる穴があり、掛け流しのようです。他に温泉の打たせ湯があります。露天風呂はなく、窓からの景色も何もないです。最後の上がり湯は手前の源泉ダイレクト投入の浴槽に入ってみました。熱くて肌がピリピリし、数秒で退散です(^_^;)。上がった後は熱くて汗が引かず、扇風機の風でしばらく涼んでいました。でも外へ出ると北海道のさわやかな外気でとてもさっぱり感がしました。脱衣所に温泉分析書がありましたので掲示します。

・許可番号:道薬検温第165号 
・源泉地及び湧出地:長万部温泉(源泉名:長温R2号) 北海道山越郡長万部町字長万部411番地の316
・湧出地における調査及び試験成績
  調査及び試験者:財団法人 北海道薬剤師会公衆衛生検査センター
  調査及び試験年月日:平成3年6月12日
  泉温:49.5℃(気温:22.0℃) 湧出量:600L/分(動力) pH値:8.0
  知覚的試験:淡黄色わずかに濁りあり 強塩味 無臭(採水後24時間同じ)
  密度:1.0059(20℃/4℃) 蒸発残留物:10.41g/kg(180℃)
・泉質:ナトリウム-塩化物泉(高張性弱アルカリ性高温泉)

※おんせん豆知識より
おしゃまんべ温泉は深いぬくもりの高張性弱アルカリ性高温泉(塩化物泉)です
湯上がりのあといつまでもからだがポカポカするのはこのためです
適応症:神経麻痺、骨結核、関節結核、貧血殊に萎黄病、慢性関節リウマチス、神経痛、坐骨神経痛、腺病質、慢性婦人科疾患
飲用適応症:慢性胃カタル、胃酸減少症、胃腸アトニー、弛緩性便秘、貧血症、腺病質

再び長万部駅に戻り13:00発の普通列車に乗ります。これも1両編成(単行)のワンマン列車です。今度は山線から一転、ずっと噴火湾沿いの海岸を眺めながら列車は南下します。天気は快晴で室蘭や日高山脈まで見えるくらいすばらしい景色です。列車には冷房なんていうものはなく、窓を全開にし海風もさわやかです。途中からは雄大な駒ケ岳も見えてきました。4日間でも一番きれいな車窓でした。

今乗っている列車からは森駅で一旦下車します(14:17着-15:08発)。JR北海道の誇るリゾート列車で臨時快速の「マウントレイク大沼号」に乗車するためです。もちろん森駅で下車するからには駅弁としては日本一人気がある、駅弁「いかめし」1折470円を手に入れる目的もあります。この駅弁は森駅のキヨスクでも売っていますが、敢えて駅前の柴田商店で買いました。特急では停車しないので買えません。

30分あまり小休止したあといよいよマウントレイク大沼号に乗車。今年は7/20〜8/25まで函館〜大沼〜森〜鹿部〜大沼〜函館間で2往復しています。3両編成で1号車と3号車が指定席、2号車が自由席です。2号車の自由席に乗車するとテーブル付きボックス席と駒ケ岳を向いた席がありました。全体的にガラス窓が大きく、雄大な車窓が楽しめます。先頭車両は運転士になった気分。いかめしの立ち売りに見送られて森を出たリゾート列車は函館本線砂原周りで15:41流山温泉駅に到着しました。遠くに流山温泉の奇抜な建物が見え、ビックリしながら。




第8章 流山温泉

流山温泉では15:41着-18:42発と3時間も滞在時間ができました。例によって列車の本数が少ないですし、温泉でゆっくりしたくなりました。日帰り施設「流山温泉」とJR「流山温泉駅」は今年4/27にオープンしたばかりの施設です。流山温泉駅はホームがあるだけで、駅前には200系(緑色のライン)の東北新幹線が北海道新幹線の開通を願い、展示されています。駅から公園の散歩道を流山温泉に向かって歩くと3分ほどで着きます。散歩道(パークゴルフ場予定地)の途中から眺める駒ヶ岳は写真のとおりきれいです。

流山温泉はJR北海道が開発・建設した総合レクレーション施設。パークゴルフ場(27ホール)、キャンプ場、スポーツ広場、体験工房はまだ建設中で平成15年春オープン予定となっています。日帰り温泉施設と駅のみ先行オープンしたため、周りには何もありません。日帰り温泉施設はHPやパンフの文言を借りると「駒ケ岳の噴火で出現した「巨石」と「巨木」をふんだんに使った放浪の彫刻家「流政之」の心と形をとどめる異形の温泉です」とある通り芸術風で今まで見たことがないような建物です。特に屋根の上に木の幹がたくさん敷いてあるのにはギョッとしました(@_@)

まず、お城の石垣かピラミッドみたいに石を積み上げた玄関を入ると受付があります。ここでちょっと高い大人800円(障割なし)を払います。その時、駅で売られているような流山温泉の記念入場券(硬券)をくださるのはいかにもJRらしいですね。左手はレストラン「停車場」とお土産物屋があります。右手が温泉浴場となります。男湯の「左よし湯」と女湯の「右よし湯」の2種の浴室があります。手前で靴を脱ぎ、脱衣所に入ります。800円もするので休憩所を期待していたのですが、ないようでそれは残念です。脱衣所は暗くてそれがかえってハイセンスな雰囲気を醸し出しています。脱衣所はすべて鍵付きです。

まず内湯に入ります。内湯は大変広くLの字型になっており巨木の柱が数本立ち天井は木の枝が覆っています。湯は鮮やかな茶褐色で無味無臭、そうですね福島県の休暇村磐梯高原のこがねの湯に似ている温泉ですね。脱衣所側から源泉100%の湯が投入され(投入口は茶褐色に変色)、露天風呂側の窓際の浴槽の淵から排水溝へ掛け流しとなっています。でも浴槽がバカデカイ分、湯の鮮度は落ちるかも知れません。

ここが変わっているのは洗い場の石鹸。ボディーソープやシャンプーはなく、オリーブ油とローレル(月桂樹)油だけで作られた緑色の石鹸です。パンフ曰く「お肌へのいたわりは勿論のこと生分解性に優れた人と自然に優しい石鹸です。洗髪にもご利用になれます。」とありました。早速使ってみましたが、石鹸はベトベトしながらも、なるほど肌や髪はツルツルします。この石鹸は他の温泉では見かけたことがないのですが、他に使用している温泉はあるのでしょうか?

露天風呂に出ます。実は今回の北海道の温泉入浴では唯一の露天風呂だったので期待しておりましたが、なかなかいい露天風呂です。露天風呂の目隠しとして巨石や巨木が積み上げられ、その向こうに雄大で美しい駒ヶ岳が望めます。湯の温度も丁度いいし、他に入浴している人もなくほぼ独占状態、石の上で休みながら2時間近くは入浴していました。今回の旅で心から温泉を満喫できたのはここだけで貴重です。たぶん私の本年の温泉ベスト5景色部門でランクインすると思います。

寒い時期は、群馬の上増田温泉砦乃湯の露天のように輪切りにした丸太を湯面に浮かべるようですが、夏は使用していないです。お湯は露天風呂一番奥の脱衣所の壁付近からたまに投入されます。しかし、湯は常に溢れており不思議ですね。湯面湯が濃く濁っていて確認できなかったのですが、どうこかに注入口が隠れているのかも知れません。吸引口は内湯・露天とも見当たらず、文字通り循環ろ過は一切していないようです。今回は北海道の温泉では一つも循環風 呂はありませんでした。さすが北海道です。

ここで暗い脱衣所の中で苦労してやっと読み取った温泉分析書を掲示します。たぶんネット上では初公開でしょう。

道薬検温第460号
1 申請者:北海道旅客鉄道 株式会社(JR北海道) 北海道札幌市中央区北11条西15丁目1番1号
2 源泉名および湧出地:流山温泉 北海道亀田郡七飯町字東大野294番1(施設所在地も同じ)
3 湧出地における調査および試験成績:
(ハ)泉温:45.6℃(気温6.4℃) (ニ)湧出量:410L/分(動力揚湯)
(ホ)知覚的試験:無色 澄明 無味 ほとんど無臭 (ヘ)pH値:7.6
4 試験室における試験成績
(ハ)知覚的試験:弱黄色 澄明 無味 無臭(採水後8時間)
(ニ)密度:0.9987(20℃/4℃) (へ)蒸発残留物:1.681g/kg(180℃)
Na=376.0 K=17.5 アンモニウム=0.5 Mg=16.5 Ca=133.8 Mn=0.7 一鉄=2.1 陽計=547.1
F=0.6 Cl=86.0 硫酸=852.0 炭酸水素=228.5 炭酸=0.7 陰計=1168.
メタ珪酸=43.3 メタ硼酸=26.9 非解離計=70.2 溶存物質=1.785g/kg
遊離CO2=11.5 成分総計=1.797g/kg
Al=0.02mg 銅=0.005 第二鉄=0.09 総ヒ素=0.006
カドミウム、亜鉛、鉛及び総水銀 検出せず
6 泉質:ナトリウム・カルシウム-硫酸塩泉(含石膏-芒硝泉)(低張性弱アルカリ性高温泉)
平成13年5月2日 財団法人 北海道薬剤師会公衆衛生検査センター
※飲用適応症はなし。飲用可かどうかも不明

温泉を出たら18時ごろ。流山温泉駅前まで歩き、列車を待つ間ベンチにて森駅で買ったいかめしを食べます。1折に2匹のいかが入っていて中にウルチ米とモチ米が詰まっています。なかなか素朴でおいしい駅弁ですね。でも駅弁人気No.1と言うほどのおいしさは感じなかったのですが…もっとおいしい駅弁はたくさんあるかなと個人的には思いました。

流山温泉駅を18:42発最終函館行き列車で出発、途中の大沼と駒ケ岳の夕景がきれいでした。函館で臨時快速海峡14号の最終青森行きに乗り換えます(19:41着-20:18発)。函館駅で「白い恋人」なるチョコレートビスケットをお土産に買い、何とドラえもんの発車メロディーに見送られて函館を後にしました。帰りは4両編成でほとんどの人がカーペットカーへ。座席車は1両に一人いるかいないかの少なさです。これでは廃止やむなしかなと納得しました。

青函トンネルを越え、青森県の蟹田駅で駅員(JR東日本)とお話したのですが、「本当にガラガラだね〜、北海道の空気を運んできたのかな(笑)」とおっしゃていました。青森駅へは22:52着。すぐに23:10発奥羽本線最終弘前行に乗り換え、一駅の新青森駅下車。ホームから跨線橋を渡り終わったら、すぐ左折しそのまま15分位歩くと本日の仮眠場所、新田温泉「あおもり健康ランド」に着きます。詳細は次回にでも。以上、7/22(月)3日目の旅のレポでした。長文失礼しました。


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