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九州温泉紀行 by温検12号

第3回 小浜温泉

小浜温泉「厚生年金ハートピア雲仙小浜」(2泊目)

 “山の湯雲仙(硫黄系)”“海の湯小浜(食塩系)”と並び称され、長崎県島原半島西側の小浜温泉は370年余りの歴史をもち、約30ヶ所の泉源から1日15,000tもの温泉が湧くそうです。斎藤茂吉は橘湾の夕日を愛していたほどきれいな温泉地です。海沿いの国道を走ると90〜100℃の温泉を冷ますためか、至る所から蒸気が上がっていました。(まるで別府みたい)

 2泊目は「厚生年金ハートピア雲仙小浜」という公共の宿に泊まりました。4年前の1997年5月に長崎悠々荘をリニューアルした新しくて近代的な宿です。我々短期宿泊者ばかりでなく、長期宿泊者(老人ホーム)も併設されていて、うらやましいですね。

 客室は最上階の6階で付近は民家なので邪魔な建物は何もなく、海まで見えて大変見晴らしが良かったです。食事は2階の豪華なレストランで自動演奏のピアノの音楽の流れる中、懐石風の料理をいただきました。変わったものでは、夕食は「きびなごの刺身」、朝食では島原名物の「ざる豆腐」、厚生年金特注の「胡麻ドレッシング」でいただくサラダなど実においしかったです。

 さて、腹がいっぱいになったら肝心の温泉ですが、施設はサウナ、泡風呂、寝湯、打たせ湯付の豪華な内風呂と露天風呂がとてつもなく大きく、湯量豊富な温泉は違うと思いました。収容人数の少なさからするともったいないようです。この日は平日で定員の半分以下しか宿泊客がなく、ほとんど貸切状態でした。この上なくぜいたくです。露天風呂は貝の台と雲仙をイメージした岩の配置となっており、丘の上には蒸気が上るタンクが見え気分が盛り上がります。夜は雪が降っていました。(ここではめったにないことだそうです。)

 お湯は泉温が高いせいか加水しており、注ぎ口に温泉パイプと冷水パイプが見えたのでわかりました。さすがに社会保険庁の施設で湯の温度は熱すぎず温すぎず丁度よく加水してあるようですね。お湯をなめるとわずかにしょっぱい感じ。源泉100%ならどれくらいのしょっぱさなのかなと思いました。温泉データは以下の通りです。(デジカメで記録)

成分

▼源泉名 弱食塩泉
▼泉質 純食塩泉
▼泉温 源泉95.0℃
▼温泉の成分(mg/kg)
リチウム=4.1 Na=2414.0 K=256.5 アンモニウム=3.8 Mg=160.9 Ca=148.9
ストロンチウム=0.8 バリウム=6.8 アルミニウム=0.5 Mn=0.8 鉄(U、V)=0.8
陽イオン計 2997.9
F=0.5 Cl=4369.0 臭素=14.8 ヨウ素=0.3 硫酸=338.6 炭酸水素=211.5 炭酸=23.9
リン酸-水素=0.3 チオ硫酸=0.5 / 陰イオン計 4959.4
非電解成分 メタケイ酸=204.6 メタホウ酸=42.4 / 溶存物質計 8204.4
溶存ガス成分 遊離硫化水素=0.7
▼調査者・試験者 長崎県衛生公害研究所
▼温泉の分析年月日 平成8年10月22日 (天候:晴れ)
適応症
▼リウマチス性疾患、運動器障害、創傷、慢性湿疹および角化症虚弱児童、女性性器慢性炎症、卵巣機能不全症、子宮発育不全症および月経障害、更年期障害

私の疑問

(1)源泉名に例えば「六角湯?号泉」というようなお湯の名前が入るところに「弱食塩泉」という泉質名が入っているのは違う気がする。
(2)「泉質 純食塩泉」とは純粋な食塩泉という意味か?宿のパンフレットやインターネットを見ると「単純食塩泉」となっており誤植かなと思った。
(3)現地の成分表にはアルミニウムイオン=0.5が2回出てきて二重に書いてしまったことを発見成分表の表示しっかりしてくださいよ。社会保険庁殿

 全体として、最近の新しい厚生年金施設はリゾートホテルのような豪華さ(民間の旅館も顔負け)、食事は全国規模のコンテストで味を競い、フロントの応対も非常に温かく親切であり(降雪に伴う道路状況などわざわざ道路管理者やフェリー会社に電話していただいた。)なかなかやるなと思いました。これで宿泊料は5人10畳で8,235円(税サ込)です。私の場合、料理を千円アップし、福利関係から2,500円の補助が出たので約6,800円で済みました。

島原、雲仙

 翌朝は雲仙温泉方面は積雪で通行止めやむなく、海沿いに島原市へと向かいました。途中、問題の諫早干拓の潮受堤防を見ながら。島原では武家屋敷と島原城を見ました。その後、雲仙普賢岳(溶岩ドームは平成新山と命名)の火砕流で有名になった深江町の大野木場(おおのこば)の旧小学校の校舎を見物、10年前の当時の無残な姿のまま残っていました。それにしても、水無川からみる普賢岳と平成新山はすごい迫力でしたね。

下記URLは厚生年金ハートピア雲仙小浜のものです。
http://www.kjp.or.jp/hp_115/



Re:小浜温泉 byやませみ

>温県12号さん
小浜温泉は本来は火山性の食塩泉(弱食塩泉)なのですが、戦後の一時期製塩のために大量に温泉を汲み上げ、そのため海水が侵入し、強食塩泉になってしまった時期があったそうです。浴感はひどく悪かったらしい。

近年は揚湯量も制限されているため、かつての状況に戻ってきているようですが、海岸に近い源泉ではいまだに回復していないようです。ハートピアは本来のものに近いようですね。ラッキーでした。

<温泉掲示について>
詳しいデータありがとうございます。こういうの書くの結構しんどいんですよね。
で、分析表を原本から掲示用に書き移す際のまちがいは結構多いです。

>(1)源泉名に例えば「六角湯?号泉」というようなお湯の名前が入るところに「弱食塩泉」という泉質名が入っているのは違う気がする。

源泉名が「弱食塩泉」というのは奇妙ですが、ひょっとして前記のような理由でほんとうにその名前なのかも?(冗談です、通常は源泉の地名ないし施設名をつけるのが慣例です)

>(2)「泉質 純食塩泉」とは純粋な食塩泉という意味か?宿のパンフレットやインターネットを見ると「単純食塩泉」となっており誤植かなと思った。

泉質名の純食塩泉は正しいですが、最近は、「ナトリウムー塩化物泉(純食塩泉)」(()内は旧泉質名)と書くように指導されているはずです。旧泉質名による食塩泉の細分では、 以下のようになっています。
強食塩泉:NaClとして15g/kg以上(厳密にはNa=5977,Cl=9214mg/kg)
弱食塩泉:NaClとして5g/kg未満(厳密にはNa=2000,Cl=3084mg/kg)
ハートピアは、Na=2414、Cl=4369ですから、弱食塩泉とするのはまちがい。(細かいことですが)

なお、単純食塩泉という泉質名はありません。単純○○泉というのは、溶存物質が1000mg/kg未満で塩類泉には該当しないものの、療養泉の定義にある7成分を含むものについてだけ付けられる泉質名で、新泉質名では、単純硫黄泉、単純鉄泉、単純二酸化炭素泉、単純放射能泉、単純酸性泉の5つあるだけです。単純銅泉、単純アルミニウム泉は今のところ存在しない。泉温25℃未満の冷鉱泉にも付きます。

>(3)現地の成分表にはアルミニウムイオン=0.5が2回出てきて二重に書いてしまったことを発見成分表の表示しっかりしてくださいよ。社会保険庁殿

感覚重視のはずだった温検12号さんが、こんなに細かく分析表を観察されてくるのは、ちょっと意外でした。私としてはうれしい。

分析値をみると、炭酸(イオン)=23.9が注目です。これでpHが9以上のアルカリ性だと、けっこうヌルヌルするはずです。たぶん。もっとも加水だと全くわからなくなるでしょうが・・・。あと、適応症のところが何だか古めかしいような・・・リウマチス? 慢性湿疹および角化症、てのはアトピー性皮膚炎のことだと思いますけど、医学的にはこれでいいのかな?

続編がたのしみ

P.S.
ハウステンボス、温泉出たんですね。知らんかった。
カジノと一緒にでかい温浴施設がありましたが、あそこにもお配湯しているのかな?



これまでの返事 by温検12号

>やませみさんへ
1.ハウステンボス温泉について
 今のところ「ハウステンボスJR全日空ホテル」(ツイン24,000円〜)と「ホテルローレライ」(ツイン14,000円〜)の2軒だけ温泉を引いているようです。(日航の方は?です。)全日空の方は玄関前を歩いていたら「天然温泉」との立看板がありました。ローレライは昨年オープンしたばかりで「?健康センター」と言う名の日帰り施設を併設し(ローレライ宿泊客は無料)、全日空にない露天風呂があるそうです。みしゅらん読者の方でハウステンボスへ行かれる方、この2軒を狙ってみてください。(ハウステンボスで遊び疲れたら、天然温泉が一番ですよ。私も小浜で疲れが吹っ飛び、筋肉痛もなかったです。)

3.小浜温泉について
>ハートピアは本来のものに近いようですね。ラッキーでした。
 さすが厚生労働省社会保険庁管轄の施設だけはあります。仮にここでニセ者など使ったら厚生労働省の面目丸つぶれですね。(保険者を裏切ることになります。)老人ホームも併設されているので高齢者向けで湯治と事故防止、言う面でもお湯には神経を使っているようです。やはり国の施設は安心感が違うと思います。当然、この老人ホームは我々観光客とは完全に分離され、顔を合わせると言うことはありません。

(2)「純食塩泉」の件ですが、そう言われれば他の温泉の成分表で見た記憶があります。と言うことは宿のほうで単+純食塩泉としてしまったようですね。ハートピアの溶存物質計8204.4mg/kgなので1000mg/kg未満の単純温泉とは大変な違いがあることもわかります。実はハートピアのHP含め公共の宿ガイドブックの類まで皆「単純食塩泉」になっているのですよ。これは大変な発見だ!

>これでpHが9以上のアルカリ性だと、けっこうヌルヌルするはずです。
 加水のせいかヌルヌルは感じませんでした。さらに感心したのは循環は全くしておらず、かけ流しでした。公共の宿でかけ流しは珍しい。湯量豊富なればこそできることですね。実はここの施設は日帰り入浴の人気が高いそうですが、それもうなずけそうです。(湧出量とpH値の掲示はなかったですね。)

(3)昔から成分はビデオカメラで記録してワープロに転記・保存し(泊まった時のみ)、他の温泉との成分の違いを比較するとおもしろいと感じておりました。しかし文系なので成分の特徴とか作用まではわからないですね。されど、ここではやませみさんが分析してくださるので、書き込むのが楽しいですし、多いに参考になります。

>クマオさんへ
 実は現地長崎のテレビのニュースで伝えていたのですが、3月に積雪を記録するのは、昭和60年代以来十数年ぶりと言っておりました。佐世保でも小浜でも宿の人が雪に驚いていました。今年は寒い年だったのですね。おかげで雲仙ややまなみハイウェイへ行けなくなり、黒川温泉なそのものも行けないのではないかと多いに心配しました。まあ、雪の露天風呂もまた風情があってよかったですが。


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