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榛名山ガラメキ温泉記 by温検12号 

第3章 ガラメキ温泉へ訪れる方へ

(1)科学データ・野湯一般論 やませみさんより

以前、私がガラメキ温泉を紹介したい旨、メールを送ったところ、やませみさんより以下のお返事をいただきました。詳しいデータや野湯巡りの注意点など、貴重なご意見をどうもありがとうございました。

やませみさんからのメール<ガラメキ温泉>

ガラメキ温泉は今はとても有名になったので、関東の野湯ファンならだれでも一度は訪れて
いるのではないでしょうか。道も良くなっているそうですね。WEBで検索しても、レポートがたくさん出てきます。で、ここは復興が検討されたことがあるらしく、温泉科学の講演会に調査報告がありました。

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群馬県榛名山中にあるガラメキ温泉の地表面温度分布
 石井栄一(関東学院大)・伊東芳郎(自然工学研究所) 温泉科学、Vol.43,No.3

現状 (1996.5.28 現地測定)
 石塔と2・3の碑
 径70cm 深さ150cmの陶管が源泉上部に埋設
 泉温28.4℃(気温17.4℃) 自然湧出3.2L/min
 単純温泉 無色透明 NaCl=0.04%(簡易測定) 炭酸ガスの発生あり

赤外線放射温度計による地表面温度 高温部が源泉以外にも数カ所存在する
ガンマ線測定による温泉源の探査 約4mごとにガンマ線のピークが計測される

→地表付近の岩盤が節理状(規則的)に割れており、割れ目から温泉が自噴している。
岩盤の下位に継続的な温泉の流動・貯留があると考えられ、高温泉の存在が予想できる。
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結局開発は断念されたようですが(理由は不明、たぶん周辺にいい温泉がたくさんできたから)、ここはべつに誰の迷惑になるわけでもないでしょうから、オープンになってもかまわないんじゃないでしょうか。林道ツーリングでは、すでに名所の一つになっているようです。なかには「野宿宴会」と称してテント張って焚き火をしているグループもあるようですが、山火事防止やゴミの処理には充分配慮してほしいところです。

群馬県ではほかに、草津上部の常布・香草、万座の源泉地、六合村のガラン谷や、四万温泉上流とかが野湯ファンに人気なようです。これらは野湯探訪のHPにもよく出てきますが、なかにはとても軽装で入られている方もおり、見ているこちらが心配になるようなのもあります。ろくに地形図も読めなかったり、降雨時に沢を遡行する無謀なグループもいるように聞きますが、ぜひやめてほしいと思います。

蔵王直下のかもしか温泉や、乳頭周辺の野湯群にも行ったことがありますが(これはお仕事)、国立公園内にもかかわらず、手製の露天風呂が作られていたりするのは、公園法に鑑みて、ちょっとどうかな? と思いました。(完全に原状に回復しなくてはなりません)

これらの温泉はたぶん猿や鹿のテリトリーに属するので、なにも人間様がわざわざ漬かりに行って野生動物の領分まで浸食することはないんじゃないかと考えますが、いかがなもんでしょう?(一度人の匂いがついてしまうと、猿はともかく他の動物は近寄らなくなります)

長々と書きましたが、私はあまり野湯は好きではないし(周囲が気になって何か落ち着かない)、必ずしも全ての温泉ファンがきちんと地形図や装備を調えて訪問されるわけでもなさそうですから、WEB上ではあえて紹介することはしておりません。質問があれば何か書きますが・・・ 以上



(2)あとがき

 私も基本的には野湯巡りはせず、このガラメキ温泉が野湯としては初めてで、近くて手頃と言うことで、レポートすることができました。ガラメキ温泉は発見より1,900年(施設ができて600年)という歴史ある名湯という点で他の野湯とは異色のようです。戦後、米軍接収なんていうことがなければ、現在も旅館として残っていたに違いありません。それだけ、いいお湯でした。

 私からもガラメキ温泉へ訪れたいと思われた方へ注意点があります。

 〈注意点〉
1.泉温がぬるいので夏向きの湯です。寒い季節は入浴できません。
  もちろん、混浴で脱衣所はありません。2人で入るのが精一杯です。
2.林道入り口より温泉まで歩いて片道1時間以内です。
  看板などは一切ないので迷われないよう下調べが重要です。
  あの美坂哲男さんでさえ、最初は場所を間違えてしまったそうです。
  (バイクは通行できますが、路面が荒れていますので、注意が必要です。)
3.ヒューム管にふたがしてあります。
  入浴後も落ち葉などで湯が汚れるのを防ぐため閉めておいて下さい。
4.やませみさんの注意点と重複しますが、マナーにはご注意下さい。
  来た時よりも美しく!
5.蛍は温泉(ヒューム管)からは見えないとある本で読んだことがあります。

 最後に、第2章(4)「不動明王像持ち去られる」で掲載された不動明王像が早く見つかり、元の場所に戻ることをお祈りしております。

参考文献:「いで湯行脚三千湯」美坂哲男著(山と渓谷社)99年7月1日刊 1,785円、 32〜36ページ「30年来の夢がかなったガラメキ温泉」


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