筆者=杉野 保
掲載=『Free Fan』No.30(2000年9月)
 
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アクセス・ファンドとは何か(続き)

川合にて

5.アクセス・ファンドの一般方針
自然環境や地主(土地の管理者)、他のクライマーやそのエリアのユーザーに与える悪影響は最小限にしようとクライマーへの呼びかけを行なう。
地主との協力体制を一番に掲げ、地主との話し合いを持ち、相互合意に基づいたクライミングを行なううえでの取り決めを策定する。
地元クライマーと地主の協議により、アンカーの設置も含めた規則を定める。それまでは、自主規制(岩と同色のハンガーを使うなど)と啓蒙活動が必要。規則はその土地の歴史的、考古学的意味、環境資源的見地も考慮に入れなければならない。また、原野や、指定エリアでのパワードリル使用に関する規則も尊重する。
ボルトの撤去や移動は、岩資源に与える影響は大きく、クライマー間の同意が得られるまでは行なうべきではない。チッピングやグルーイングに関しては受け入れられない。
クライミングには、イクスパンションボルトやピトンなどの固定アンカーは必要であり、ながらくそれは正当なものとして認められてきた。クライマーはそれらの正しい設置、交換、撤去の方法を学ぶ必要がある。設置に関しては合理的な手法で行ない、岩資源への影響を最小限に抑える。ボルトはその場所の習慣にあわせて岩とカモフラージュされたものを用い(同色のハンガーを使うなど)、目立たないようにする。また、ナチュラルプロテクションが安全に設置できるのであれば、ボルトの設置は控える。
アクセス問題解決の近道は、地方のクライミング組織とアクセス・ファンドが一体となって取り組むことである。地方団体がない場合は、アクセス・ファンドが直ちに組織作りの手助けを行なう。
責任を持ってクライミングを行おう。そして、クライマーだけでなく、地主や土地の管理者、クライマー以外の使用者にも敬意を払おう。閉鎖地区や私有地には侵入せず、何かアクセス問題に関して疑問点があればアクセス・ファンドか地方のクライミング組織に聞いて欲しい。

6.寄付金
 活動内容に賛同し募金を行なう場合は次のように一応寄付金の基準額が決められている。

[個人メンバー]
 ビレイヤー
$ 30
 リーダー
$ 50
 初登者
$ 100
 ガイド
$ 250
 学生/バム
$ 20

 また、企業、小売店、ジム、ガイドなどからは別枠で寄付金を募っており、DIAMOND PARTNERS($20,000以上)として、ブラックダイアモンド、ノースフェイス、REI、Climbing、Rock&Ice などが並び、以下、寄付金$500まで75以上の団体が名を連ねる。

7.最近の成果
[1998年]
 1998年は著しい成長を遂げた年であった。会員は8500人まで増え、アメリカのクライミングをサポートするのに使われた費用は総額50万ドル以上に達した。
 トレイルの建造、ダメージを受けた環境の修復、クライマーの啓蒙活動などに使われた費用は8万5000ドルに及び、これにはキャンプ4問題のヨセミテ国立公園当局を相手取っての訴訟費用、シティ・オブ・ロックスのツインシスターエリアの開放、フエコタンクスの開放運動のための費用なども含まれている。
[1999年]
 会員は、1万人を突破。シェルフロードのカクタス・クリフが初めてクライマーに開放され、コネチカットのレジッド・マウンテンはクライマーが所有し管理することになった。

 

 


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