編集後記#44
たこいきおし


■前号からちょうど丸3年のご無沙汰でした。糸納豆EXPRESS44号をお届けします。
 大学1年での創刊以来細々続いて29巻。とはいえ、丸2年の休みは何回かありましたが、丸3年のブランクは29年の歴史の中でも初めてかも。

■まずは東日本大震災で被災された方々へのお見舞いと、東日本の復興を祈念したいと思います。
 仙台市泉区のたこいの実家はあちこち歪んで亀裂が入ったりしたもののなんとか健在、幸い両親にも怪我はありませんでしたが、当日は焼津で長時間の横揺れを感じた後、震源が宮城県沖と聞いた瞬間は、現地の揺れの大きさはいかばかりか、と、かなり血の気が引きました(当日のうちに両親と一度は電話が通じたので多少は安心しましたが)。
 震災から数日は、ネットやTVを観て「ほんとうに日本沈没が起こってしまったんだなあ」と実感。友人知人の安否確認ではインターネットのありがたみを改めて実感。  ファンダム関係では、石巻在住だった嬉野泉こと菅原豊次先生が亡くなられたとのこと。仙台SFクラブに出入りするようになった高校時代からのおつきあいでした。この場であらためてご冥福をお祈りします。

■3年ぶりの近況としては、今年の3月付で博士(農学)の学位をなんとか取得できました(東北大学が被災したため、学位記授与式が中止になってしまったのはちょっと残念でしたが)。因みに研究テーマは「ホップの品種特有香に寄与する香気成分とその相互作用」。地ビールでよく使われるフルーティ感の強いホップの香りの原因物質を探索して、香りが発酵で変化したり、複数の香気成分の組み合わせでビールのホップ香が形成されたりするメカニズムについていろいろとアレした研究です。
 ちょうど糸納豆が出ていなかった期間が研究活動、論文投稿、学位審査などに当たっていますので、まあ、この3年間は「ドクター休み」ということにしておいてください。

■因みに、今回の表紙は、今年海外出張で行ってきたフロリダ半島西岸のサニベル島の風景。明け方、ホテルの窓から沈んでいく満月を構図に入れてみました。因みに出張の用事はビール学会ですので、会場では明るいうちから数えきれないほどのアメリカのクラフトビールが飲み放題。口頭発表中に当たり前のようにBNF的な学会有名人の誕生日がお祝いされたりするカオスぶりはやっぱりコンベンションっぽいなあ、とか、またしても思いました。

■ともあれ、今回の掲載原稿へのコメントなど。

□お楽しみはこれからだッ!! #60
 すごく久しぶりの「お楽しみ〜」でした。書き始めるまでちょうど60回だということはすっかり忘れていたのはご愛嬌。ブランクが長かったので手こずるかと思ったんですが、今回は思いのほか文章がするする出てきました。

□Technical Note 2009
□編集後記2009
 事情は編集後記2009に書いた通りですが、2009年5月時点での近況エッセイとして若干の手直し入りで収録。自分でも書いた内容を忘れていたので、けっこう新鮮な気持ちで読めてしまいました(笑)。

■因みに今回のBGMは8月に観劇したばかりのキャラメルボックスの新作時代劇『降りそそぐ百万粒の雨さえも』のサウンドトラックということにしておきます。久しぶりに劇伴すべてがZABADAKという演目でしたが、初期の曲から新作までバランスよく収録されていて、ZABADAKのアルバムとして聴きごたえのある作品に仕上がっていました。『降りそそぐ〜』はキャラメルボックスの時代劇としても久々の快作でした。キャラベルボックスは3月には震災で数日休演したものの、『夏への扉』を熱演。驚くほど福島正実版に忠実で、こちらも観ごたえありました(版権の問題があるのでソフト化はされないようですが…)。

■さて、これからもしばらくページ数的には肩の力を抜きまくったままになるかと思いますが(笑)、次号はたぶん来年のSFセミナーになると思います。まあ、「お楽しみはこれからだッ!!」もリハビリできたということで、次号では、醸造化学者としてはそれなりに検証もしてみたい『もやしもん』ネタあたりをなんとか書きたいかなあ。  ともあれ、来年のSFセミナーでまたお会いしましょう。

(編集のBGM ZABADAK『降りそそぐ百万粒の雨さえも』)


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