源庶明 みなもとのもろあきら 延喜三〜天暦九(903-955) 号:広幡中納言

宇多源氏。三品斎世親王の三男。母は橘公廉女。娘の計子村上天皇に入内し、広幡御息所と通称された。
延長二年(924)、従四位下。同三年、侍従。左京大夫・右兵衛督などを経て、承平六年(936)、従四位上。天慶四年(941)、参議。天暦五年(951)、従三位権中納言。勅撰集入集歌は後撰集に四首のみ。

庶明朝臣中納言になり侍りける時、うへのきぬつかはすとて  右大臣

思ひきや君が衣をぬぎかへて濃き紫の色を着むとは

返し

いにしへも契りてけりな打ちはぶき飛びたちぬべし天の羽衣(後撰1112)

【通釈】前世にも宿縁があったのでしょうか。天の羽衣のような上衣を頂いて、嬉しさにうち震え、天にも飛んでしまいそうです。

【補記】「右大臣」は藤原師輔。庶明が従三位権中納言に昇進したとき、祝意をこめて濃紫の衣に歌を添えて贈った。「濃き紫の色」は当時の三位以上の服色。「天の羽衣」は天女がそれを着れば空を飛べるという衣。この歌では師輔から贈られた衣を尊んで言う。

【他出】九条右大臣集、奥義抄、袖中抄


公開日:平成12年09月02日
最終更新日:平成15年03月21日