PIEGA COAX 711を上から見るとこんな感じ。

要するに、リスニングポイントをまっすぐに向く直線が一切ないデザイン。
みんな、どうやって正面を向けているのだろう。
これは巻き尺でも、視線調整でも、到底精度が出そうにない。
とりあえず、下のような治具を作って、巻き尺などで、最大限、正確に設置してみました。

設置後、左右の周波数特性をDEQ2496で完全にそろえてから聞いても、なんか定位がおかしい。ELACの時に経験した、左右のスピーカから耳までの距離に数センチの誤差がある時の症状です。
やはり、レーザー計測器で設置しないと無理そうです。
しかし、四角いELAC 310CEとは違って、計測器を正しく押し当てる基準平面もないわけなので、これはなかなか難しい。
いろいろ考えて、下のような計測用の治具を作成しました。

レーザー計測器は両面テープで貼り付けてあります。
しかし、この治具も、直角に誤差は必ずあるので、計測時には、右スピーカでは治具を上向きに、左では治具を下向きに、スピーカ正面にあてます(下図)。
これで治具の直角に多少の誤差があっても、左右で対称ですから、相対誤差は産みません。

狙うのは、椅子の座面上端に貼った白テープ。
これで、若干内向きで、左右の方向と距離がそろえられます。
赤いレーザーでこのように 狙いうち ます。

まずは計測してみると、向いている方向は違うわ(椅子上で10cm以上)、距離は左右で2cm狂っているわ、という結果でした。
巻き尺と、位置目印のガムテープで、一生懸命、あわせたのですがねえ。特に、このCOAXの形では、方向性が難しい。やはり文明の利器にはかないません。
レーザーで計測を繰り返して、設置位置を微調整しながら、ついにたどり着いた結果は以下の通り。

なんと、表示上の左右差は0.3mm。はい、0.3cm じゃないんです。0.3mm。
むろん、治具の支え方で1mmくらいはすぐ変わるので、実際の設置精度は、1-2mm程度でしょう。
方向は、完全に椅子の中央を向いています。レーザーポイントは、2.7m離れて5mmの範囲には収まってますから、角度精度を計算すると、0.1度以下です。
繰り返しても、かなり再現性があるので、信用できると思います。
この精度は巻き尺じゃ絶対にできない。
実は、50kgもあるCOAX 711を ミリ刻み で移動するのにも、工夫があります。
それはスパイクベースです。
このスパイクベースはオーディオ・テクニカ製。その構造が、まことに理に適っていて、気に入っていますが、その裏に、自作で、家具スベールを貼ってあるのです。
詳細はこちらに

これがなければ、ミリ精度では絶対に動かせない。
結果は?
DEQ2496で左右特性をそろえて、聞いてみました。
スピーカ位置の変更で、周波数特性はほとんど変わらないのですが、定位は、明らかに違います。決して、よくある気のせいとか、ほらを吹いているのではないんです。
なんかおかしいんだよなあ、と思っていた問題が、すべて解消して、完全に左右が一致したのが、実感としてわかります。
具体的には、
●定位は確かに中央なんだけど、なんかにじみが偏るなあ、みたいな違和感が消えます。
●頭を多少動かした時の定位の変化が減ります。
かつては、ピンポイント定位なんだから仕方がないのかと思っていました。
この経験からすると、スパイクベースの材質を変えてみる、とかいう場合には、設置位置がどこまで再現できているかを先に保証しないと、なにで音が変わったのかわかりませんよね。足の材質を考え始める前に、レーザー距離計を買う方が先だと思いました。
2018年2月27日
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