伝統ゲーム


拳遊びの部屋
− じゃんけんばかりが拳じゃない −
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 拳(けん)遊び、それは 手を使って勝敗を争う遊びである。 しかし実際には、手のみならず、体を使うもの、言葉だけのものもあり、人と人が競う遊戯のことを拳と言う場合もある。

歴史

 じゃんけんに代表される拳遊びは、日本では江戸時代の中後期に中国の拳の遊びが長崎に伝えられたとのが始まりと考えられる。このとき伝えられたのは本拳・長崎拳などと呼ばれ、片手で0から5までの数字を出して両人の合計を当てる数拳であった。
 しかしながら、複数の人間が、手を用いて勝敗を決めるものを拳遊びと考えるならば実際はもっと以前から存在している。9世紀の歴史書である「日本文徳天皇実録」や「日本三代実録」や、辞書の「和名類聚抄」には蔵鉤の文字が見える。中国の文献によれば蔵鉤は手を握り、中を当てるような遊戯で、後の様々な拳遊びに繋がるものと考えられるのである。室町時代にはなんこが登場している。

拳の種類

 数を当てる「数拳」と、強弱を持つ何種類かある形のうち一つを同時に示して勝敗を争う「すくみ拳」が代表的なものである。それぞれいくつかの種類がある。

 すくみ拳では例えば3種類の場合、3すくみ拳ということになるが、AがBより強く、BはCより強く、CはAより強いという形になる。日本ではグー、チョキ、パーのじゃんけんが最も一般的だが、このジャンケンでもかけ声は地方によって若干異なる。
 世界的にはさらに種類が増える。
 手先だけでなく体全体を使うものもあり、藤八拳(庄屋拳、狐拳とも呼ばれる。また近年は東八拳とも書かれる。)や虎拳が有名である。また特定の地方のものとして安来拳や球磨拳等がある。
 高知には箸拳という遊びがあるが、これは互いに握った箸の数の合計を当てるもので、九州南部に伝わる「なんこ」に近い。同じ高知の花拳は2人の対戦でもない酒席の遊戯である。

他に分け方としては、「問答の拳」「同時の拳と非同時の拳」「当て物の拳」などの分け方ができる。箸拳や花拳のように、中には全く手や拳(こぶし)を用いないものもあるが、拳が遊びの代表的なものとなったため、手や拳を用いないものも、○○拳と呼称するようになったのだろう。

さまざまな拳遊び(五十音順)

「あ」の部

浅草拳
あめりか拳
粟餅拳
石拳
医者役者芸者
兎拳
ウントコ拳
S拳
お上げのお手を
おいでなさい
大坂拳
大坂きつね拳
大阪じゃんけん
唖拳
尾上拳
お回り拳

「か」の部

開帳拳
数拳
片拳
合戦拳
株拳
狐拳
畸陽拳
清正じゃんけん
球磨拳
軍師拳
拳酒
拳角力・拳相撲
源平拳
こいこい拳

「さ」の部

薩摩拳
答礼拳
三国拳
三十拳
三府拳
三仏拳
地獄拳
七拳
じゃんけん
商売拳
庄屋拳
匕玉拳
すくみ拳
すててこ拳
相撲じゃん拳
せっせっせ
相談拳
相場拳

「た」の部

大将拳
太平拳
台湾拳
ちょっきり拳
チョンキナ拳
チョン脱拳
津軽拳
つくもの拳
鶴亀蓬莱拳
聾拳
弟子拳
十日恵比寿
唐山拳
堂島拳
唐人拳
藤八拳
都市拳
とてつるけん
併せ併せ・伴せ伴せ(拳)
虎拳
取上拳
取持身持槍持
どんどん拳

「な」の部

長崎拳
難拳
軟拳
なんこ

「は」の部

箸拳
麻疹拳
裸拳
初午拳
花拳
深川拳
深川じゃんけん
ブサ、ブーサー
本拳

「ま」の部

幕の内拳
まくら拳
交拳
廻り拳
虫拳
盲人拳

「や」の部

野球拳
安来拳
柳拳
ヨイヨイ拳
横浜拳
吉原拳
四谷拳
世直し拳
呼拳

「ら」の部

連子拳
ロック、ペーパー、シザーズ

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