A17.各地の状況、2013年2月7日

報告者:近藤純正
2012年秋から2013年1月までの各地の状況についての報告です。 (完成:2013年2月9日)

本ホームページに掲載の内容は著作物であるので、 引用・利用に際しては”近藤純正ホームページ”からの引用であることを 明記のこと。

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更新記録
2013年2月7日:概要の作成
2013年2月8日:細部を修正


	目次
	17.1 新メンバー
	17.2 一般アメダスを掲載するサイト作成者(ボランティア)の募集
	17.3 深浦、宮古、津山、室戸岬における露場風速の観測
	17.4 津山観測所隣接地の植樹問題


17.1 新メンバー

次の方々が「気候観測を応援する会」に新しく参加された(敬称略)。

静岡県
静岡市、吉川契子(気象学会会員)

愛知県
名古屋市、前川勝重(気象予報士)
春日井市、鈴木浩文(気象予報士)
春日井市、多々良英世(気象予報士会東海支部長)

岐阜県
多治見市、大竹正道(気象予報士)
多治見市、吉田信夫(気象予報士)

三重県
菰野町、関谷不二夫(気象予報士、観光ガイド)

17.2 一般アメダスを掲載するサイト作成者(ボランティア)の募集

気候観測所
気候観測所は、周辺環境の変化が少なく長期にわたり観測資料が蓄積されている観測所 である。これらは、主に旧測候所ー正式名は「特別地域気象観測所」ーのうち、 周辺環境が良好なものである。

「気候観測を応援する会」の目的
重要な「気候観測所」の観測環境に注意し、観測環境の悪化を防ぎ長期にわたり均質で 良好な気象データが得られるよう、気象庁の観測体制を積極的に応援することを目的 としている。そのため、気象庁・各地気象台の職員が気づいていない事象・知識に ついても必要な助言を行う。

本サイトに掲載する観測所
「気候観測応援会」の情報には、重要な気候観測所を見学したときの状況を掲載する。 アメダスについては一部の例外を除いて、現時点では原則的に掲載していない。

アメダスの周辺環境を知りたいという要望は多く、巡回している人たちも存在する。 しかし、個々の見回りでは限られたアメダスに限られ、多地点の観測環境を知ること は難しい。

サイト作成のボランティアの募集
こうした現状から、本会でも、アメダスについての見学報告を別サイトとして作成 する準備をしていたが、その担当ボランティアが多忙となり、現在のところ、 サイト作りが中断している。

本会メンバーの皆さんの中で、アメダスの環境を掲載するサイトの管理を担当して くださる方がいらっしゃれば、とても有難い。そのようなサイトが整備されれば アメダス資料を使って調査・研究する多くの人々にとって役立ち、社会貢献となる。

この数年間の状況から、一般アメダスの見学報告は年間に数件~10件程度と推定 される。

17.3 深浦、宮古、津山、室戸岬における露場風速の観測

皆様のご協力により、最近の観測所の環境は、以前に比べて見違えるように良くなって きている。ただし、多くの場合、観測露場内はきれいに手入れされるが、その フェンスの外側には雑草が繁茂し、露場の風通りが悪化しているような例も 見かける。

露場の内・外に雑草が生えるなどして風通りが悪くなると、気温などの観測値に影響 を及ぼすことになる。それゆえ、露場の地上1.5~2mの高さで「露場風速」を長期に わたり観測すれば、気候変動の資料解析の際に、その観測値を活用して正確な気候変化 を知ることが可能となる。

2012年秋から「露場風速」の試験観測を重要な気候観測所で開始した。気象庁でも、 露場風速の観測が環境維持・管理にとって重要であることを理解していただけるよう になり、最近は各地でご協力が得られるようになった。

深浦(青森県日本海側)、宮古(岩手県三陸海岸)、津山(岡山県内陸)における 試験観測が地元の応援会メンバーの協力によって行われ、解析結果は「研究の指針」 の次に示す章に掲載してある。

深浦については、
「K66. 露場風速の解析-深浦御仮屋」
「K68. 露場風速の解析-深浦2」

宮古については、
「K67. 露場風速の解析-宮古」

津山については、
「K71. 露場風速の解析-津山1」

室戸岬は、1月28日から露場風速の観測を開始している。図17.1は風速計設置状況の 写真である。

室戸岬露場風速計
写真17.1 室戸岬観測所に設置した超音波風速計、地上高度=1.63m(2013年1月28日 設置)。

17.4 津山観測所隣接地の植樹問題

すでに、「A07. 津山観測所見学、2011年6月5日」にて、 桑形恒男さんが報告されたように、津山観測所の南西側のフェンスのすぐ外側 に、高さ2mほどの樹木「シキビ」(はなえだ)が成長しつつあり、またその西側に 新たな苗木「コウヤマキ(高野槙)」が植樹されている。

2012年6月27日午後の大阪管区気象台と28日午後の岡山地方気象台での談話会「気候 観測所の周辺環境ー何に注意をはらうべきか」が開催されるのを機会に、28日午前中に 津山観測所を廣幡泰治さん・岡本成二さん・妹尾亮さんの4名で見学した。

見学の後、廣幡さんと共に津山市役所にて宮地昭範市長ほか関係者一同に面会し、 2010年2月に行われた観測所の環境整備(桜の伐採など)にご協力いただいたことに対し お礼を申し上げた。その際、上記の植樹のことも伝え、この問題については公園 緑地課の影山昭夫課長のお世話になることになった。また、観測所の北側の公園で 露場風速の観測をしたいので、公園を利用させていただくお願いをしたところ、 快くご許可をいただいた。

植樹者を探すために、城東地区連合町内会長・本多正志さんのご協力を得て、城東 地区の皆様へ「津山気象観測所の観測環境に関するご相談について」を配布して いただいた。その文書は次の通りである。



城東地区の皆様へ
平成24年7月10日 津山気象観測所の観測環境に関するご相談について 気候観測を応援する会 代表 近藤純正(東北大学名誉教授)  丹後山に設置されています津山観測所の環境整備につきましては、平素より皆様のご 協力を賜り厚くお礼申し上げます。  一昨年(2010年2月)に観測所周辺の桜など21本を伐採させていただき、観測環境 が大きく改善し、地域の防災ばかりでなく、地球温暖化の監視の面でも役割を果たす ことのできる日本の代表的な重要観測所となりました。 その後も津山地区のボランティア数名により観測所周辺の見回りを継続しておりまし たところ、観測所フェンス近くに残っていた樹木(添付写真)と、その近くに新しく 苗木が移植されていることがわかり、将来これらが大きく成長すると観測値に影響を 及ぼすことになります。  つきましては、これら樹木の扱いについてご相談いたしたく、植樹された方、または お心当たりのある方がいらっしゃいましたら、下記までご連絡いただきたくお願い申し 上げます。 なお、9月末までにご連絡のない場合は、観測に支障のない場所に移植させていただ くことになりますのでご了承賜りますようお願いいたします。    連絡先: 津山市役所 公園緑地課 課長 影山昭夫 TEL0868-32-2097 (写真の添付)


添付した写真は写真17.2である。

津山の苗木
写真17.2 津山観測所のフェンス脇に植樹された2本の苗木(2012年6月28日撮影)。

廣幡さんが文書130部を準備して、町内会長を通して配布していただいた結果、 植樹者がすぐ判明した。

2012年7月23日の影山課長からの連絡によれば、植樹のうちの1本「コウヤマキ」は記念樹であり、 当人にとってはとても大事なものなので、枯らしたくないので植栽の専門業者を望んで いる。また、移植先の場所のこと、移植に係る費用の捻出について、調整が必要である とのことである。これらの対応については影山課長にお願いすることにした。

移植に適した季節が近くなり、移植の費用の捻出のことで作業が遅れることを筆者は 心配し、10月19日、「植樹者が費用を負担するのが難しい場合は、私・近藤純正が 負担したい」と申しでて、話を進めることにした。

年が明けて2013年1月14日、その後の状況について影山課長に尋ねたところ、植樹者 によれば「移植する場所がない」とのこと。そこで、筆者は植樹者に会い、事情を 伺うこととし、1月21日午後に廣幡泰治さんと共にお会いした。

植樹者によれば、「コウヤマキ」はひ孫さんの誕生祝いの記念樹として植えたものだ という。ただし、植樹位置(観測所敷地境界線から0.5m以内)は本人の所有する土地 ではないようだ。「シキビ」は近くにある多くの墓に供えるのに使っている とのこと。

移植先の案として、観測所の近く、観測に影響しない場所・市の管理 地でよろしいとの内諾を得たのち、このことを影山課長に伝え、適地を選定していた だくことになった。また移植の専門の造園業者も紹介していただいた。

1月25日公園敷地内、観測所の北方の道路脇に移植場所を選定してくださり、その場所へ 造園業者を案内していただいた。植樹者の了解も得て、近いうちに作業が行われる ことになった。見積書もいただき、作業の依頼も行った。

ところが2月1日、植樹者からの申し出により、皆様に迷惑をかけたので、2本の植栽 「コウヤマキ」と「シキビ」は、3月までに本人が伐採するとのことである。

私は電話により、「市長はじめ、影山課長ほか関係者により、大事な記念樹を移植して いただけることになった。皆さんのご協力・努力を無にしてしまうことになるので、 せめてシキビだけでも移植しませんか。観測所の近くには墓地も多いので伐採する のはもったいない」と説得したのだが、当人はご自分で伐採するという強い希望を お持ちのようなので、その考えを尊重することにした。

気候観測を応援する会の代表・近藤純正としてこの問題に係っていただいた多くの方々 に感謝いたします。

注:気象台の役目
本来は、この問題は担当地方気象台が行うべき仕事である。しかし、まだ多くの気象台 職員はその認識が十分ではないので、今回は「気候観測を応援する会」が行った。

重要な気候観測所を維持・管理するには次の3つが必要であり、③がこの問題に当る。
①露場から周辺地物の仰角を方位5°間隔で測量すること。
②露場内の高度 1.5~2mで風速(露場風速)を長期間にわたり観測すること。
③露場周辺の樹木等が成長して観測の障害にならないか将来の環境を予想し、 早めに対処すること。

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