M43.原子力エネルギーと熱汚染(対談)

著者:近藤純正
化石エネルギーの使用(温室効果ガスの排出)を制限して地球温暖化を防ぎ、 その代替エネルギーとして原子力や太陽光発電に依存するとしても、 地球の温度は上昇することになる。これは現在の大都市で問題化している 熱汚染が地球規模に拡大することである。
人工熱の総排出量が現在の10倍に増加すると影響が見えはじめ、50倍以上に なると深刻化するだろう。これは第2種の地球温暖化問題と名づけた。 したがって、人類は無制限にエネルギーを使うことは許されない。 (完成:2008年10月20日)

本ホームページに掲載の内容は著作物であるので、 引用・利用に際しては”近藤純正ホームページ”からの引用であることを 明記のこと

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2008年10月13日:粗筋の作成
2008年10月15日:大筋の90%完成



   目次
	はじめに
	43.1 エネルギーと地球環境
	43.2 太陽の恩恵
	43.3 巧妙に創られた地球の気候
	43.4 エネルギー使用量と地球の温度
	43.5 アルベド(反射能)の影響
	まとめ
	参考書


はじめに
2008年10月11日のこと、横浜の I 氏(68歳)から電話があり、I 氏は気象学 などは素人だが環境関係の問題点を書いていて、確認したいことがあるという。 つまり、エネルギー源を化石燃料から原子力発電に切り替えても地球環境に 影響があるのでは? と質問してきた。

この問題は、どこを探しても出ておらず、現役の気象研究者に聞いても 知らず、インターネットを検索していたら「近藤純正ホームページ」 があり、筆者に尋ねればわかるのではないかと、電話してきたわけである。

筆者はこれまで毎年、大学や市民向け講座で温暖化問題や太陽エネルギーの恩恵 について、原子力発電と比較した授業を行っている。たとえば「夢氷山」の p.115-p.122(あなたは年収六億円);「大気科学講座Ⅰ」のp.111、問5.1 (原子力発電による冷却池の水温上昇);「身近な気象の科学」のp.166、 図17.2(太陽―植物―人体―大気へのエネルギーの流れ) などを利用して いる。

その経験から I 氏に回答することができた。現在のエネルギー消費量では、 地球規模での環境影響は微々たるものだが、都市域ではすでに都市気候として 影響が現れていることを話した。

将来エネルギー消費量が増加すると、地球規模の熱汚染が問題になるので、 この章では、具体的な数値を求め、電話による対談に加筆した内容とした。

43.1 エネルギーと地球環境

質問: 地球上では風が吹くなど大気現象その他さまざまな現象が生じて おり、また動植物が生存しているのですが、そのもとは太陽エネルギーによる ものですね?


回答 はい、その通りです。


質問: 現在の社会ではエネルギー源として主に化石燃料が使われています。 石油や石炭など化石燃料も昔の太陽エネルギーが蓄えられたものですね。 それを原子力エネルギー(原子力発電)に転換しても地球の環境破壊に つながることになりませんか?

原子力発電では放射性廃棄物の処分問題があり、これとは別に地球環境への 影響も出るのでしょうか? 原子力発電は、地球温暖化の原因となる二酸化 炭素を発電時に排出しないという利点をあげる人々がいるのですが・・・・・・・。


回答 太陽からくる放射エネルギーの大きさに比べれば、現在の原子力 の発電量は微々たるもので、それが地球環境に与える影響はほとんど無い と考えてよいでしょう。しかし将来、エネルギー使用量が増えてくると、 影響が現れてきます。

なぜなら、地球上で使用されるエネルギーは最終的に熱となり、 地球の温度が上昇し宇宙に向かって長波放射(目に見えない波長の長い放射: 熱放射)となって出て行かなければならないからです。

人工エネルギーが小さいうちは、地球から宇宙に向かって放出される 長波放射は地球が取り込む太陽エネルギー(地球の面積当たり平均で 約240 W/m)と釣り合うようになっている のですが、これに人工熱が加わると、地球はそのぶん だけ多量の長波放射を宇宙に出さねば釣り合いがとれません。 そのために、地球の温度は高くなります。

つまり二酸化炭素など温室効果ガスの増加による地球温暖化とは別の新しい 地球温暖化が生じるのです。従来いわれている地球温暖化と区別するために、 これを第二腫の地球温暖化問題と名づけることに しましょう。

世界では国によっては総発電量のうち、原子力発電による割合がもっとも 大きい国もあるので、大都市の局所的にはエネルギー使用による都市昇温が すでに現れている所もあると考えてよいでしょう。

都市化による昇温(熱汚染)は、緑地面積の減少、道路の舗装化、人工排熱 などの影響が重なったもので、そのうち、人工排熱の占める割合は、今の ところ小さいが、無視できない大きさであるからです。

これは地球規模では局所的な影響です。

現在の世界のエネルギー消費のうち、原子力発電によるエネルギーは数%程度と 言われており、これは地球平均では影響は微々たるものと考えて よいでしょう。


質問: 原子力発電との関係を理解するために、太陽エネルギーの大きさ について、具体的に説明していただけますか?


回答 はい、次節で説明しましょう。

43.2 太陽の恩恵
大学の授業や市民講座で用いている図表で説明しましょう。

表1 熱エネルギーの目安
熱エネルギーの目安

太陽定数=1,360 W/m(大気上端、太陽光に垂直な面)
地球に入射する太陽エネルギー=340 W/m(地球平均)
正味入射する太陽エネルギー=238 W/m(30%反射、地球平均)
年平均日射量=130~160 W/m(日本の地上)
大気放射量(下向き長波放射量)=280~370 W/m(日本の地上)

人工熱(東京都心部)=100 W/m の桁(場所によっては数100 W/m
人工熱(住宅地)=10 W/m の桁

覚えていたい数値:晴天の正午前後の日射量=約1 KW/m

表2 太陽の恩恵
太陽の恩恵
熱 → 生物生存の温度、水の循環
食糧生産、燃料生産
二酸化炭素 → 酸素に変換
照明
風・雨・自然景観

表3 太陽エネルギー
太陽エネルギー

太陽エネルギー
平均 1日1mあたり・・・・・3.5 KW時
日本 年間1人あたり・・・・・・2000万円 の恩恵
ただし、1KW時=862 Kcal : 5円とする(灯油1リットルが50円の場合)
標準家庭(4人)の1人あたり1日分の電力使用量・・・・2.3 KW時
標準家庭電力料金は1KW時が20~25円で5円より高額
日本の1人あたり面積=55m×55m=3025m

世界中に注がれている太陽エネルギーは地球を回りまわって世界人類に利用 されており、これを金額に換算すれば、1人当たり、
あなたは年収=6億円・・・・・・・・「夢氷山」p.115-p.119

日本の陸面に注ぐ太陽エネルギーを原子力エネルギーでまかなうとすれば、 100万KW 原子力発電所を何基建設すればよいか?

(答)100万kW の原子力発電所5万5千基の発電量に相当する。実際は、 整備などの休止があり稼動率も設備利用率も100%でないので、10万基ほど を設置することになる。

43.3 巧妙に創られた地球の気候
地球の気候は、神が創ったと思えるような巧妙さがあります。この節の最後 では、その巧妙さをお話しましょう。また次節で考える予定の、人工熱が 増えたとき地球の温度は何度になるかは、温室効果の計算に似たところが あるので、その準備として温室効果も学んでおきましょう。

温室効果:
まず最初に、地球に空気がなく、地表面が月面のような状態だったら、地球の 平均温度(正しくは放射に対して有効な平均的な温度:有効温度と呼ぶ)は いくらになるか計算してみましょう。私が大学1~2年生(文系では3~4年 生も含む)向けの教科書としている「身近な気象の科学ー熱エネルギーの流れ」 (東京大学出版会)の第1章「温室効果」の計算式を参考にします。 その計算式は、地球に入る太陽エネルギーの正味量(反射量を差し 引いたエネルギー)が地球から宇宙に向かって放出される目に見えない 長波放射量 [波長がおおよそ0.3~100μm(ミクロン)] と釣り合う関係を 表します。

表4 地球の温度
地球の温度

地球のアルベド(反射能)=0.07(月の反射能に等しい場合)
地球の表面温度=0.1℃

現在の地球(アルベド=0.3:大気や雲、森林や砂漠、氷雪域がある)
地球の平均温度=-18.7℃・・・・・大気と地表面の平均温度

現実には、上空では-50℃程度、地上付近は15℃程度であり、平均温度は -18.7℃で一致している。

地上付近の温度が-18.7℃より高温なのは、温室効果によるためです。温室 効果とは、大気中に少量ながら水蒸気や二酸化炭素などの温室効果気体 があり、長波放射を吸収・射出し、これが温室のビニールやガラスに似た 働きをするからです。

温室効果気体がゼロならば、地球の平均温度は-18.7℃となるのですが、 温室効果によって地上付近は高温に保たれているわけです。温室効果気体 は地球の現在の気候にとってなくてはならない成分です。

近年騒がれている”地球温暖化”は化石燃料の大量消費によって大気中の 二酸化炭素が急激に増えて、100年程度の短期間に地球の温度が数℃も上昇 すると予想されることから生じた問題です。

温室効果気体が少ないときと、多いときの地球の平均温度が何度に なるかについて、次の2つの図で説明しましょう。

図43.1は温室効果気体が少ない場合、図43.2は温室効果気体が多い場合の 大気温度と地表面温度の関係を示しています。ただし、ここでは地球の 温度の成り立ちの基本を理解するために、単純化して大気は1層にして あり、対流による熱や水蒸気の輸送は無視してあります。

温室効果、黒体度0.5の場合
図43.1 大気の黒体度が0.5の場合の大気と地表面の熱収支、温度以外の数値の 単位はW/m2(「身近な気象」の 「1.地球温暖化と都市気候」の図1.2に同じ)。

温室効果、黒体度0.9の場合
図43.2 大気の黒体度が0.9の場合の大気と地表面の熱収支、温度以外の数値の 単位はW/m2(「身近な気象」の 「1.地球温暖化と都市気候」の図1.3に同じ)。

地球表面温度は温室効果気体が少ないとき0.3℃、多いとき22.3℃と高温に なることがわかります。

エネルギーの流れ:
次に、地球は巧妙に創られていて現在の気候が成り立っていることを 説明しましょう。図43.3は地球を巡るエネルギーの流れを表しています。 この図は主要項のみ描いたもので、第2次的なものは省略してあります。

大気中に水蒸気や二酸化炭素などが存在することで温室効果が生じ、地表面 付近の温度は地球・大気系の平均温度(有効温度=-18.7℃)よりはるかに 高温になっています。この高温状態は地表面の水を盛んに蒸発させ、蒸発の 潜熱を地表面から奪い地表面温度を下げるように作用します。

主要エネルギーの流れ
図43.3 地球・大気系における主要エネルギーの流れ。 「身近な気象の科学」の図2.7より転載

そして蒸発した水蒸気は上空で雲を発生し、潜熱を放出して大気を暖めます。 大気と雲からは長波放射を地表面と宇宙の両方向へ放出することで 放射冷却を生じているのですが、雲発生時の潜熱の放出で加熱され、釣り合 いがとれているのです。

いっぽう、雲の発生は太陽エネルギーをはね返し、地球の温度があまり 上がらないようにします。水(水蒸気、液体、固体)自身が、ひとりで地球の 気候を微妙にコントロールしているように思えるのです。

地球の温度範囲では、水は固相、液相、気相と姿を変えます。海洋の アルベドは小さく太陽エネルギーの大部分を吸収し、極域や高山の氷雪 はアルベドが大きく太陽エネルギーの大部分を反射します。

私たちに恩恵を与えている太陽からの莫大なエネルギーのこと、地球の気候の 成り立ちについて概観してみました。

43.4 エネルギー使用量と地球の温度
人々のエネルギー使用量の増加について図43.4によって説明しましょう。
作物が太陽エネルギーのほんの一部(1%程度)を利用してブドウ糖を 合成し、ヒトが食糧として摂取し、活動のエネルギーとしています。

太陽・作物・人体・大気間のエネルギーの流れ
図43.4 太陽・作物・人体・大気間のエネルギーの流れ。 「身近な気象の科学」の図17.2より転載

このエネルギー(1人あたり昼夜平均100 W 程度)は最終的には人体表面 から熱となって放出されます。1 W (ワット)(=1J/s)は1秒当たりの エネルギーであり、1日単位に換算すると約2,000キロカロリー/日 です。

人間が機械なしの原始的な生活をしていれば、平均的に約100 W のエネルギー しか使用しませんが、乗馬すれば約7倍のエネルギーを利用することになり ます。 最近の大型乗用車を100馬力とすれば、74,600 W、つまり約700倍のエネルギー 消費になります。

このほか、人々は家庭用電化製品を含め多量のエネルギーを消費する方向に 進んでいます。

最初に説明したように、現在のエネルギー消費量では、熱的な影響は地球 規模では現れませんが、大都市の局所的には都市昇温(熱汚染)として 現れています。

都市化による熱汚染量は、人工的な排熱によるだけでなく、地表面の改変 (緑地面積の減少、道路の舗装化など)の影響が重なったものです。 人工的な排熱量は、やがて無視できない大きさになるでしょう。

図43.3 は日本における都道府県庁所在都市平均の熱汚染量(二酸化炭素の増加 によるバックグラウンド温暖化量を含まない)の経年変化です。

県庁所在都市の都市温暖化
図43.3 都道府県庁所在都市(34都市)平均の都市温暖化量の経年変化、 ただし、1950年頃以後の移転による気温の不連続が大きい都市と、 観測所創設が遅れた都市は除く( 「K41.都市の温暖化量、全国91都市」の図41.8、「身近な気象」の 「M41.日本のバックグラウンド温暖化量と都市昇温」 の図41.10、「M42.正しく知ろう地球温暖化」 の図42.24に同じ)。

経済の高度成長期の1960~1980年に熱汚染量が急激に増加しており、2000年 時点では1℃に達しています。

二酸化炭素など温室効果気体の増加によるのではない、 第二種の地球温暖化問題が生じるのは、エネルギー消費量がいくらの 場合か検討してみましょう。

太陽光発電の場合は、例えば砂漠に発電機を設置することになり、 受光面が太陽エネルギーを吸収するために反射率の小さい、黒っぽい色の 材料となります。これは結局、地球として太陽エネルギーを余分に取り込む ことになり、地球の温度を上昇させます。つまり、最終的には原子力発電でも 太陽光発電でも、地球の温度を上昇させることになります。ここでは、その 温度上昇について原理的な方式によって概算することにしょう。

表5 エネルギーの比較
エネルギーの比較

太陽定数=1,360 W/m(大気上端、太陽光に垂直な面)
地球に入射する太陽エネルギー=340 W/m(地球平均)
正味入射する太陽エネルギー=238 W/m(30%反射、地球平均)
年平均日射量=130~160 W/m(日本の地上)
大気放射量(下向き長波放射量)=280~370 W/m(日本の地上)

世界の概略値:
原子力発電所=500基
原子力発電量=100万KW×500=1GW×500=5×1011W
全エネルギ消費量=1013W(うち原子力は5%)

全エネルギーが原子力(温排水などあり、発電効率=30%)として、
電力+ロスエネルギー=3×1013W・・・・最終的に熱となる

地球の表面積=5.1×1014
地球の単位面積当たりの熱放出量=(3×1013W)÷(5.1×1014)
 =0.06 W/m

エネルギー消費量が現在の50倍になれば、全球的な影響が発生する。
ただし、その時代には地表面が改変され地球としてのアルベド(反射能)が 1%以上も変化していれば、影響はそれ以上に大きくなる。詳細は次節に示す。

世界で消費されている人工熱が現在の量の50倍(仮に3 W/m) になったとき、地球の温度がいくら上昇するか見積もってみると、 約1℃も上昇します。

(注)人工熱の地球温度に及ぼす影響:
世界で消費されている人工エネルギーが現在の50倍になったとき、 地球の温度(地球の平均温度、地上の気温、地表面温度など)は何度上昇 するか? 詳しい説明は章末に掲げた参考書「身近な気象の科学」のp.8、「大気境界 層の科学」のp.6~p.10を参照のこと。 なお、その要点は次の「人工熱と地球の温度」を参照のこと。

クリックして次の 「人工熱と地球の温度」を参照し、プラウザの「戻る」を 押してもどってください。
人工熱と地球の温度

はじめの表1で、「人工熱(住宅地)=10 W/mの桁」と 掲げました。世界の陸面・海面を含めた面積平均でこれと同じ熱エネルギー が余分に放出された場合は世界平均の気温は約3℃上昇することになります。

しかし、住宅地ではこの程度の熱放出が加算されても3℃も上昇しません。 それは地球規模に比べて住宅地の面積は狭く、風によって住宅地の熱が拡散 され気温上昇が薄められるからです。

43.5 アルベド(反射能)の影響
人類のエネルギー消費が多くなるころ、晴天の多い世界の砂漠地帯には 大規模な太陽光発電所も建設されているでしょう。もともと白い砂漠が 黒い受光版で覆われるので、その地帯のアルベドが小さくなり、地球としての アルベドも変わり気候への影響は非常に大きくなります。

そのような時代には、大規模太陽光発電所の存在が地域の気象を変え、風の 循環も、世界の雲分布も変わるので、地球のアルベドも変化することに なります。しかし、地球のアルベドがいくら変わるか定量的な予測はきわめて 難しい問題です。気候の将来予測が不正確なのは、このことによるのです。

世界の地表面は人為的に改変されており、その結果として地球の アルベドは変わります。

ここでは地球のアルベドが30%から29%に小さくなった場合を想定して計算 してみると、地球の平均的な温度は約1℃上昇します。アルベドの気候影響 は非常に大きいと言えます。

(注)アルベドの気温への影響:
地球のアルベド(現在の値=30%、つまり0.3)が29%になれば、 地球の平均温度は1℃程度上昇する。 詳しい説明は章末に掲げた参考書「身近な気象の科学」のp.8を参照のこと。 なお、その要点は次の「アルベドと地球の温度」を参照のこと。

クリックして次の 「アルベドと地球の温度」を参照し、プラウザの「戻る」を 押してもどってください。
アルベドと地球の温度



まとめ
(1)地球の温度は温室効果気体の量が増えると地球の平均温度は上昇 する。これが地球温暖化問題である。日本の過去127年間(1881~2007年) の平均的な気温上昇は100年間あたり0.67℃の上昇である (「身近な気象」の「M42.正しく知ろう地球温暖化 (講演)」の図42.12と図42.14を参照)。

(2)人工熱の排出量が世界平均で面積当たり3 W/mになれば (世界合計で発電ロスも含めた人工熱=1.5×1015W=1.5× 10GW :現在の50倍になれば)、地球の平均気温は1℃ほど 上昇(熱汚染)する。これを第二種の地球温暖化問題と名づけた。

(3)地球アルベドが1%変われば、地球の平均気温は1℃ほど変わる。 しかし、地球アルベドは地表面の改変、雲の量・形、大気・海洋の汚染など によって変化する。雲の状態についての予測がきわめて難しいので、アルベド の予測はほとんどできない。

気温の1℃の変化は地球平均であり、地域によってはこれより大きなところも 出てくる。日本における過去の例では、例えば夏の平均気温が1℃低ければ 大凶作が発生している。このことから、1℃の変化は気候異常のはじまりと 考えてよい(詳細はたとえば、「身近な気象」の 「3.気候変動と人々の暮らしー歴史資料に学ぶー」の図3.4を参照)。

参考書

竹内清秀・近藤純正、1981:大気科学講座(Ⅰ)地表面に近い大気、 東京大学出版会、226pp.

近藤純正、1982:大気境界層の科学.東京堂出版、219pp.

近藤純正、1987:身近な気象の科学.東京大学出版会、189pp.

近藤純正、1987:夢氷山ー氷山を日本に運ぶプロジェクトー.東北大学 生活共同組合、146pp.

近藤純正(編著)、1994:水環境の気象学.朝倉書店、350pp.



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