入力放射量は木質壁20℃(293.2K)からの黒体放射量=419 W m-2
出る放射量=コンクリート温度Ts の黒体放射量=σTs4(未知数)
ステファン・ボルツマン定数:σ=5.67×10-8W m-2K-4
潜熱輸送量=7.8 W m-2(上記にしたがって与える)
交換速度=0.005m/s (上記にしたがって与える)
これらを式(1)(2)に代入して解けば、次の結果を得る。
新しいコンクリート面の温度:Ts=19.33℃(室温や木質壁より0.67℃低い)
したがってσTs4=415.2 W m-2
同上面の顕熱輸送量:H=-4.0 W m-2(コンクリート面で冷やされる)
考察
(1)コンクリート壁は木質壁から差し引き3.8 W m-2の
正味放射量を受け、室内空気から4 W m-2の顕熱をもらい、
あわせて、7.8(=3.8+4.0) W m-2のエネルギーが
蒸発に費やされて1年間かかってコンクリートの水分が乾く。ワットは
毎秒当たりのエネルギーである。
(2)人体(着衣含む)の表面温度(=30℃)とコンクリート表面温度
(=19.33℃)の間で交換される長波放射量を比較すると、
人体から出す黒体放射量=479.2 W m-2
コンクリート面の出す黒体放射量=415.2 W m-2
差引き放射量=64.0 W m-2
だけの放射エネルギーを人体は失うので寒く感じる。
木質壁の表面温度(=20℃)に対しても人体は放射エネルギーを失うが、
コンクリート面に向かって失うよりは3.8 W m-2少ない。
この違いが木質壁はコンクリート壁よりも暖かく感じるわけである。
体感温度として概略1℃程度の違いとみてよいで
しょう。なお、人体は1℃の差を感じます。