Q08 「暖房時に風が当たると寒いのは?」(AC), 2006/5/02
―風速の強弱で体感温度が変わること―
冬の暖房時にエアコンの風を強くすると冷たく感じるのは、どうしてで
しょうか? 夏と冬の上手なエアコンの使い方として、どのように考え
ますか?
― 回 答 ―
エアコンの設定温度が同じであっても、その機種、設置場所、ON にして
からの経過時間、フィルターの目詰まりによって効率が低下している、等々の
諸条件で体感温度は違うと思いますので、ここでは室温がある温度一定に
保たれた定常状態を想定することにしましょう。
まず基本的なことから考えてみましょう。
人体は周囲の温度環境に応じて快適に過ごせるように着衣しています。
快適な状態とは、人体内部で発生する代謝エネルギー(1日の平均として
約100 W のエネルギー)に等しい熱が皮膚から放散される状態であり、
周囲の温度は皮膚温度よりも若干低温でなければなりません。
この状態で気温が低くなり寒く感じるようになれば、暖房を最適温度に設定し
て ON にします。このとき、風速を強にすると寒く感じる。なぜなら、強風
にすると、皮膚からの放散熱が大きくなり代謝エネルギーを上回ってしまう
からです。
冬の暖房温度の設定を例えば20℃にしてあれば、それに応じた着衣(セータを
着ている)で快適となりますが、例えば26℃に設定すると暑くなるので
ワイシャツ姿にならなければならず、電気代が無駄となります。
夏は暑いので戸外ではワイシャツ姿で過ごしていますね。
オフィスの夏の冷房温度を20℃に設定しておくと、入室時は涼しく感じて
よいのですが、長時間座っていると寒くなりセータを着たり、ひざ掛けを
しなければならなくなりますね。
戸外とほぼ同じ着衣で居るならば、冷房の設定温度は26~28℃でよいのでは
ないでしょうか。この設定温度で長時間経過しても暑いと感じるのであれば、
扇風機で微風が流れるようにすれば快適状態はつくれます。一般に扇風機は
エネルギー消費が少ないので、エネルギー節減にもよいのでは
ないでしょうか。
これら冬と夏の場合について、黒球温度と風速の関係を用いて、具体的に
計算してみると、なるほどと思う面白い結果が出そうです。
計算方法は「研究の指針」 > 「K17. 暑熱
環境と黒球温度」の17.5節「黒球温度の計算」に示してあります。