Q02 「新雪の日が暖かく感じる?」(T.O.), 2006/3/31
―「身近な気象」の「2.放射冷却と盆地冷却」に
関連―
雪国出身の私は雪がない時より新雪が積もっている時の方が
外を歩いているとやや暖かく感じるのですが,これは何故なのでしょうか.
― 回 答 ―
雪がない時より新雪が積もっている時が
暖かく感じるとのことですね。
南国生まれの私は、このことをあまり意識していませんでした。雪山にスキー
に行くと、日焼けするのは雪山では反射が強いことによりますね。
暖かく感じるのは、これと似た現象だと思います。
積雪時に温かく感じるのはたぶん日中でしょうね? もしそうだとすると、
新雪が積もっている晴天日には、雪面反射が大きく、それによって暖かく
感じるのではないかと考えます。「地表面に近い大気の科学」の表2.2に
よれば、新雪のアルベドは0.8~0.9、古い雪のそれは0.4~0.5、
一般の地面では0.2前後です。降りたての新雪のアルベドは0.9以上もある
ので、身体はおおよそ2倍の日射量を受けることになります。
アルベドが大きいときは、天空へ向かって反射される成分が多く、それが天空で
散乱されて再び地上へ戻ってくる分が増えるので散乱日射量は多くなります。
この効果は日射量の計算式のファクター「j」(「水環境の気象学」の式
(4.74)~(4.76)付近にある”j ”)の中に入っており、また「地表面に近い
大気の科学」の付録 E の日射量計算式中の地表面アルベド(REF)として
入っています。
そうした反射光の成分が人体に入る影響を「黒球」を想定して行う計算が
本ホームページの「研究の指針」の
「13. 打ち水の科学」の13.5節、
及び「17. 暑熱環境と黒球温度」
の17.5節に掲載してあります。その方式によって評価してみると、明らかに
体感上、暖かく感じるはずです。
追記(2006年4月26日):
面白い問題なので、試みに計算してみました。その結果は本ホームページ
の「身近な気象」の「M18. 新雪の日が
暖かく感じる」の章に掲載してあるので参考にしてください。