SPRメンバーの指示による厳密な実験

 SPRのモンタギュー・キーンは念写実験について、次の四つのステップによる手順を提案してきた。

  1. フィルムは調査側が提供する
  2. フィルムは調査側が用意したセキュリティーボックスに入れられる
  3. そのボックスは実験の間、調査側が管理する
  4. 現像も調査側によって行なわれる

調査用に作られたボックスのひとつ


 彼によれば、この手順で何かが映ればグループが不正をしている疑惑は消えるという。何しろ、グループの誰かがフィルムに触ることができる機会はどこにもないのだから。
 1996年1月13日、この手順による初めての念写実験が行なわれた。7人いたグループのうち、ミミは比較的始めのうちにグループを去り、ケンとバーネッテもこの少し前に事情があって実験に参加できなくなった。残りの四人:ロビン&サンドラ・フォイ、アラン&ダイアナ・ベネットが、SPRの検証の元に、これから2年間に渡って人類の歴史上、最も驚愕すべき実験結果を紡ぎあげていくことになる。その出発となるこの日に写し出されたのが図のフィルムだ。それほどたいした絵柄ではないが、グループにとっては記念碑的なフィルムだった。


 実験結果はすぐに進歩し、それから一年間かけて各種のフィルムが得られた。このタイプの実験の最後を飾ったフィルムは、何と約1.3mの長さがひとこまとして写し出されている(下のもの)。たとえ上記の手順の隙間をついてフィルムをすり替えることができたとしても、だいたいこのようなフィルム自体を撮影することが可能なのか。一度に360度の風景を撮るステレオカメラがあるが、円周が1.3mに及ぶその大型版を作るのは大変だ。しかしいろいろと調べてみると、こういったフィルムを作るのは全く不可能なことではないらしい。コンピュータ全盛の時代にもはや廃れつつある、フィルム修正の専門家がその鍛え上げられたワザを発揮すれば、どんな変わったフィルムでも作れるという。しかしこれらのフィルムは、封を切っていない35mmフィルムに写し出されている。ということは、スコールグループは暗室作業でこのようなフィルムを偽造し、それを再びパッケージに入れ、包装し直した? なんとも器用なグループではないか。

 また、我々の心からすり替えの疑惑を更に拭い去る出来事も起きている。1996年11月にドイツからスコールグループを訪れたウォルター・シュニットゲルは、あらかじめ自分でフィルムを買い求めてきた。そのフィルムを他の研究者が作った頑丈な箱に入れ、南京錠をかけてその鍵を車の中に入れる。そして車の鍵と箱は、彼自身がずっと持ち続けている。この状況でスコールグループの実験が始まった。地下室での実験が終わって彼は箱からフィルムを取り出し、上の階にある自動現像機をよく調べた後で、自分自身の手でフィルムの現像を始めた。そして写っていたのが1のフィルムなのである。

 これを読んで、他の研究者が作ったという箱が怪しいと思う人もいるだろう。しかしシュニットゲルは同年の7月にスコールグループを訪れた際、フィルムを直接手に握りしめたままで実験に望んでいる。そのときに映し出されたのは2のフィルムだ。最後の方に漢字の「幹」らしき文字が見えるが、この詩の三つ目の単語、「stamm」の意味は正に「幹」だ。SPRの三人がまとめあげたスコールレポートによれば、この詩は1840年頃の様式で書かれており、とても芸術的価値が高いそうだ。

 これはいったいどういうことなのだろう。本当に超常現象が起きていたのか。いや、まだ疑えるものがある。自動現像機だ。これを分解して調べない限り、まだトリックの余地はある。しかし、後で詳しく述べるが、その可能性すらも否定されてしまうのだ。
ドイツ語の詩 (画像をクリックするともっと大きいサイズで見れます)

1.

2.



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