出席者たちの反応、本格的な調査の開始

 それでは、スコールグループの実験に参加した人たちの感想を若干引用してみよう。

 小さな白い光が部屋中を動き回っている。その光はしばしばすごいスピードを出し、軌跡が残像となって見えるほどだ。ときには宙に浮かんだまま止まり、出席者に触れて軽い電気ショックを与える。この光はどこかから照射されているのではなく、それ自体が光源なのだ。この現象は私には全く説明できない。
―ピエール・エジェ 科学者 フランス

 感じとしては3,4歳くらいの女の子の手みたいな、そんな指先が私のひざとももを触ってきた。...たくさんの光が円や半円を描きながら、すべての自然法則を無視するように一ヶ所に留まっている。クライマックスはこのたくさんの円弧、螺旋が(どれひとつとして同じ形はない)炎のように上っていき、天井に当たると消えてしまった瞬間だった。
―クルツ・ホフマン 哲学・心理学博士 ドイツ

 私はスコールグループをイビザ島の古い別荘に招待した。彼らが自分たちの地下室で何か仕掛けをしていたとしても、それを私の家でやるのは全く不可能だ。また実験の間際に、スピリットチームに何か楽器を鳴らすことによって彼らの存在を証明してくれないか、と頼むことを思いついた。この提案についてスコールグループがトリックを準備するのは時間的に不可能だったはずだ。
 結果は驚嘆すべきものだった。テーブルの上に置いたトランペットはマウスピースを外していたのにも関わらずひとりでに鳴りだし、しばらくするとドラムソロも加わった。しかしその部屋にはドラムスティックも、それに代わるものもなかったのだ。

―ハンス・シェアー 法律家 スイス

 さらに、後述のSPRチームによるスコールレポートという調査報告にまとめあげられたスピリットライトの特徴を少しだけ紹介しよう。


 さて、これだけのことが本当に起きたとしたら、これは大変なことだ。だが、ちょっと待って欲しい。科学者ほどだましやすい人たちもいない、という話を聞く。世間を騙そうと思ったら、科学者と弁護士の前で実演をし、その後にマジシャンたちとその実演がいかに困難だったかを議論すればよい。そして科学者、マジシャン、弁護士の誰も自分を偽者だと言えなかったと主張するのである。やはりこの手の調査に最適なのは、科学常識に精通しながら、トリックを熟知し、弁護士のような思考回路を持つ人間だ。とはいえ、はたしてそんな人間がいるのだろうか。

 その条件を満たすのがSPR(Society for Psychical Research:サイキック調査協会)の調査員かもしれない。彼らはこれまで100年以上の間、世界各地のサイキック現象、つまり人間の心(生者、死者を問わない)が元になって起きるとされる現象に対して緻密な調査をしてきた。この協会は徹底した調査をやりながらも、それを単なる調査結果としてしか残さず、会としての意思表明はしないのがとてもユニークだ。とはいえ会の内部では、会員に大学関係者や何らかの博士号所有者などいわゆる「お堅い」人間が多いせいか、これらのサイキック現象について否定的な見方が強い。協会の活動を通じて霊や超能力の存在を確信したものは、むしろ脱会していく傾向にある。

 1946年から超常現象の調査を続け、長年SPRの公務をこなしてきたモンタギュー・キーン、ロンドン市立大学で電子工学の名誉教授を勤め、SPRの会長も経験したことがあるアーサー・エリソン教授、同じ会長経験者で、世界的に翻訳された心理学関連の本を何冊も書き、ポルトガルで二つの大学を兼任するデヴィッド・フォンタナ教授、以上の三名が核になって、スコールグループの調査が始まった。

 この頃、スコールグループは念写に取り組んでいた。例の「パトリックの夜」の後で、スピリットチームは実験中にカメラを使うことを指示してきた。真っ暗闇の中でサンドラがカメラを持ち、スピリットチームの声に従ってシャッターを切る。当然フラッシュなどは使わない。こうして撮られた写真が下の写真だ。撮られた状況を無視すれば、どこにでもある単なるピンぼけ写真と変わりないが、本当に暗闇で撮ったのだろうか。こうした念写実験に成功し続けたグループは、次に前人未到の実験を始める。それは封を切っていない35mmフィルムへの念写だ。真新しいロールフィルムを買ってきて実験の間中テーブルの上に置いておく。そしてそれを、封を切らないまま現像所に出す。さあ、現像所の受付は困った。「どうして、こんなものを現像するんですか?現像しても何も映ってないに決まってるでしょ。あなたね、これはこう封を切ってカメラに入れて・・・」と言ったかどうかは知らないが、渋る受付をグループは納得させ、現像をしてもらった。それに何かが映っていたのだから大騒ぎだ。こんな騒ぎを毎回繰り返してはいられない、どうしよう、と思っていたグループに幸運が訪れた。現象に興味を持ったポラロイド社の人が、家庭に置ける小型現像機をプレゼントしてくれたのだ。

 こんな時期にSPRの精鋭たちのメスが入ってきたのだ。彼らは当然、封を切っていないフィルムに意味のあるものが映っていたというだけでは、世間を納得させられないことを知っていた。

初期の写真実験によって得られた映像。上段はカメラを使用、下段は使用していないもの。

 


玄関に戻る心霊研究トップページスコールグループ