◆ 発掘した化石はどこ行くの? ◆
〜 ピナコサウルスの旅 / 南ゴビ 1998 〜

─ 第2話 ジャケッティングと運搬 ─

化石の周りが十分掘られたら、保護のための石膏で固めます。 これを、「ジャケッティング」といいます。 この処置によって、化石が安全に運搬できるようになります。
まずは水で濡らした薄紙をぴったり張りつけ、 その上に、とろとろに溶いた石膏を布に絡ませて巻き付けてゆきます。 隙き間ができないように、緩まないように固定するのがコツです。
Jacketing, 1998Aug
石膏塗り塗り
Jacketed Fossil, 1998Aug
鏡モチのよう
石膏を塗るところまででこの日の作業は終了。 明日の朝まで放置して、石膏が固まるのを待ちます。 溶かしたての石膏は熱いのですが、固まりながら冷えてゆきます。
石膏が乾いたら、その上に発掘情報を書きます。 いつ、どこで、誰が発見したのかを識別するための大事な情報となります。 表裏、方角、化石の形状なども書き込みました。
さらに下を掘り、エイッとまるごとひっくり返します。 地層面に沿って水平に割れるよう、慎重に、思いきり良く。
うまく分離されました。そして裏側にも同様に石膏を塗り、固めます。 それが乾くと、運搬できる形のできあがり。
Strange People, 1998Aug
ヘンな人たち
Bus Stops in Hard Rain, 1998Aug
豪雨の中、バスがエンスト
ジャケットされた 10 個ほどの化石をバスに積み込み、 キャンプを出発しガッタンゴットンと走ります。 しかし順調に行かないのがモンゴル。 出発直後から激しい雨が降り出し、バスはエンストし閉じ込められたまま 何時間も待つという、ひどい目にあってしまいました。
ツーリストキャンプで1泊の後、ダランザドガド空港から ウランバートルまで飛行機で移動しました。 右は空港出口で化石との別れを惜しむ記念写真。
このあと、この恐竜化石はモンゴル古生物研究センターの倉庫へと 保管され、詳しい研究のためにクリーニングされる日を待ちます。
倉庫には化石のストックが沢山あり、クリーニングは 重要そうなものから行われるので、 これが日の目を見るのはいつの日になることやら…
Ulaanbaatar Airport, 1998Aug
ウランバートル空港で記念写真

↑ 第1話 | 第2話 | 第3話 ↓ゴビの風景 ↓
2000/03/12 T.Minewaki
2006/01/27 last modified T.Minewaki

思い出のアルバムMINEW

(c) Takakuni Minewaki