境川

河口より遊行寺まで

境川の源流は高尾山と城山湖の間にある草戸山(364m)の大地沢である。上流では鶴見川と相模川に挟まれた狭い流域の ため、支流も少なく、水量は多くない。下流に至ってもすぐ西側を引地川が流れて、雨水を集めることができない。このように目立たない川であるが、意外と長 い川で 全長69kmで神奈川県第2の川である。上流では武蔵と相模の国境を形成しているため、境川の名がつけられたという。

相模大野駅を出た小田急線が町田駅に入る直前に車窓から境川が見えるが排水溝のようにみすぼらしい。とても国境の川とは 思えない。それでも国道16号の下をくぐるときには地面を深くえぐり渓谷状となっている。境川が相模丘陵と多摩丘陵を切り刻んだ渓谷の川という実態を如実 にあらわしている。

一遍上人で有名な遊行寺の前を流れている川は境川である。ここにかかる藤沢橋は広重の東海道シリーズの浮世絵に出てくる 有名な橋である。旧東海道が境川を渡る地点にある。広重に描かれたとおりにいまでもそこにある。小さくてさりげない。それでも大雨が降れば20年に1回位 は洪水で冠水する。

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広重画、東海道五十三次之内藤沢(遊行寺)

境川はさらに藤沢市市街地内を貫流し、江ノ島の付け根で片瀬海岸に注ぐ。

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河口付近 (2000/1/22 撮影)

西岸は鵠沼、東側は片瀬である。川岸にはプレジャーボートが多数舫っている。この川岸には遊歩道がついており散策でき る。春ともなれば桜が鵠沼側の河岸をかざる。

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河岸の桜(2001/4/1撮影)

山本橋の付け根の鵠沼側には聖ヨゼフ・カトリック教会が ある。いまでも外国人宣教師と地元の裕福な信者によって支えられている。教会の近くには山本橋とその上流の西浜橋の間の鵠沼側に山本公園というものがある。公園の中央に「大望の像」という彫像がある。台座に「この地は明治中期ま で片瀬砂漠と呼ばれ砂丘が連なる寂寥たる荒無地であった。しかし気候温暖で遠く江ノ島、鎌倉を望み相模灘を俯瞰する景勝の地であることに着目して、山本家 当主山本龍太郎氏の祖父庄太郎氏並びに父百太郎氏はこの開拓を志し、小松を植え堤を築き、その間、50有余年の歳月を費やし今日の見事な環境を造りあげ た。昭和32年藤沢市はこの土地を都市計画公園に決定、昭和37年公園築造について山本龍太郎氏の承諾得、昭和43年完成、公園完成を記念して山本龍太郎 氏から彫像が寄贈された」とある。


聖ヨゼフ・カトリック教会

水はまだにごりが残っているが、鯉が生息するには十分なようで異常と思われるほど(数千匹?)に増えている。ほとんど体 長1メートル以上で、なかには1.6メートルはあろうか。重さは50キロはあるだろう。

かもめや鵜が多数、川にかかる水道橋などを安息場所と決め込んでいる。

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鵠沼岸

境川の北を流れる鶴見川は町田市内の小山田緑地内の泉を水源としている。多摩丘陵の地下水が地表に出て鶴見川になってい るといえる。境川より短いが、下流では広い流域の雨水を集めて河口は境川より大きい。

引地川の西を流れる相模川は忍野八海と山中湖が源流で境川より長く、当然河口も境川より大きい。

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鵠沼のシングル葺きの家

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セールボート

この川にはカモメや鵜が多い。日曜日などはカモメに餌をやるのを日課にしている人もいる。

境川(遊行寺より上流部瞽女淵まで)

2001/4/1

Rev. November 11, 2018


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