総合知学会

石油有機成因説 vs. 石油無機起源説

2017年8月31日

 

総合知学会 Vol 2016/1に投稿した「世界の一次エネルギー動向」の背景は石油無機起源説を前提としているが、明示的な言及を避けた。

明言を避けたのは、明示すると石油無機起源説によって不利益となる既得権益層に故意に無視されるか、逆宣伝されることを危惧したからである。業界、学会、 行政は自分に都合の良い石油有機成因説一辺倒である。先進国は発展途上国との資源取り合いで争わないように、石油価格を高く維持するには、有機成因説が好 都合だった。排出二酸化炭素による温暖化防止のためと称してその消費を制限し、できるだけ資源枯渇を防止しようとしたのである。原発をもっている日本政府 は福島事故で停止中の原発を再稼働して投下資金を回収する思惑があるから排出量を制限するパリ協定に悪乗りする道を選んだ。

政府系研究機関のJOMEGはシェールガス・オイル革命による石油価格下落は、従来の貯留岩からだけでなく、根源岩からも採集できるようになったから可採 資源量が一桁上がったためとしている。石油企業にとっても無機起源説を認めると石油価格が下がるし、シェールガス開発資金も不足するため認めたくない。電 力にとっても安い天然ガスが無尽蔵にあれば石炭火力を天然ガス火力に転換するだけで、二酸化炭素の排出量を減らすことが可能となり、温暖化を理由にした原 発再稼働が困難になってしまう。

そこで表向きは葉緑素に由来するポルフィリンや、コレステロールに由来するステラン、あるいは、酵素の関与しない化学反応では生成が困難な光学活性をもつ有機化合物などバイオマーカーがあること、石油の炭素12比率が高いという尤もらしい理由で無機起源説を排除している。

無機起源説は1870年代、元素の周期律表で知られるロシアの化学者メンデレーエフが唱えたのが始まりで、旧東側諸国では従来から定説とされていた学説で ある。ただし、旧西側諸国では、定説とされてきた石油「有機」由来説に真っ向から反対するものであったため長く顧みられることがなかった。その後トーマ ス・ゴールドが取り上げたことで、西側諸国でも脚光を浴びることとなった。 天文物理学者であるゴールドの説く石油無機起源説は、「惑星が誕生する際には必ず大量の炭化水素が含まれる」「炭化水素は地球の内核で放射線の作用により 発生する」「この炭化水素が惑星内部の高圧・高熱を受けて変質することで石油が生まれる」「炭化水素は岩石よりも軽いので地上を目指して浮上してくる」と いうものである。

無機起源説の根拠としては「石油の分布が生物の分布と明らかに異なる」、「化石燃料では考えられないほどの超深度から原油がみつかる」、「石油の組成が多 くの地域でおおむね同一である」、「ヘリウム、ウラン、水銀、ガリウム、ゲルマニウムなど、生物起源では説明できない成分が含まれている」などが挙げられ る。 また、有機成因説が根拠としている、石油中に含まれる炭化水素の炭素同位体比を調べた結果、炭素数の少ない炭化水素ほど、質量の軽い炭素同位体を含む割合 が多くなるという傾向は、地下から炭化水素が上昇する過程で、分子の熱運動により重い同位体が分離され、炭素12比率があがることも説明可能となる。

2017年のヒューストンの大洪水も日本の線状降水帯も海水温が上昇したことが原因だろう。ただ過去の記録をみれば10万年サイクルで温暖化がくりかえさ れている。前回の氷期が終ったのは人類の出アフリカの時代だ。最近の氷期が終わったのは、1万年ほど前である。現在は典型的な間氷期が1万2000年ほど 続いていると考えられている。その後は間氷期といわれる。だから氷期、間氷期のサイクルは自然現象で人類は適応するしかない。頻発する洪水はノアの方舟 のような工夫でやり過ごすしかない。家をコンクリート製の方舟の上にたたてておいて鎖で杭につないでおく。いくら二酸化炭素排出抑制したところで、膨大な コストがかかる割に、気候変動は止まらない。結局、低地などに住むのは、自己責任として放任するのではなく、政策として移住させ、以後は犯罪というこ とにすればよい。

とはいえ人類の強みは技術革新能力である。だからいくら炭素系燃料の量が膨大だとはいえ再生可能ネルギーは必ず炭素系燃料にとってかわるというのが私の予 感だ。いくら炭素資源量が膨大でも、それを採掘するには深く掘り進めねばならず、次第に金がかかるようになる。それよりバッテリーのほうが安いということ に必ずなる。

石炭から水素を抜いてカスの二酸化炭素を地中に注入したところで温暖化は自然現象のため、継続する。といずれ人類は気がつくにちがいない。石炭よりとりあえ ず石油無機起源説でふんだんにあると予言されるメタンガス(メタンハイドレート含む)を温暖化対策として政治的に利用してごまかすのが日本を除く、今の世 界の動きだと思う。トランプやドイツはこれ。水素は二酸化炭素の捨て場がない日本などには全く不適なアダ花だと思う。

筆者が40代で試運転指揮をした長岡のグリーンタフガス田は井戸の深さが4,000mで、かつその下には生物の死骸がたまる地層はなく、たんなる岩盤であったから米国流の石油有機成因説では説明がつかなかった。日本周辺にあるメタンハイドレートも石油無機起源説のほうが説明がつく。

September 2, 2017


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