幸かふくおか 〜「はかたより」〜 準備編 (その2)
それであの〜「はかたより」第二弾準備編その2、という事なんですが、「はかたより」って何(なん)?という質問が一部読者の方からございまして...その説明から..実はこれには深い深い意味が含まれておりまして「博多より」「博多からの便り」というワケなのです。チャンチャン。なあんだそれだけかと思われるのなら「バカたより」と取って頂いても結構。でもそんなあなたには、俺が死んだ後も「墓たより」として送り続けられる、恐怖の手紙であるという事を付け加えておこう。ガハハ。いずれにしても博多へ引っ越してから「本編」が始まるワケで、今はまだ「準備編」引っ越し、転職の「準備編」なのです。
だからこの「はかたより」は基本的には「し組塩川」の個人的な日記のようなものであり「そんなものいらねえ!読みたくねえ!」という人は、破り捨ててしまっても、燃やしてしまっても、食べてしまっても構わないのである。でもそんな事したら「墓たより」として、不幸の手紙として蘇るということをお忘れなく(?)
そんなワケで「し組、僕らの細道&し組の思い出日記編」とは別物であるワケです。ただしこの「準備編」ではまだ俺の住所は東京にあるので、し組のみんな、群馬の皆様との交流もあり、一部「し組の思い出日記編」も交じってしまう事になるけど、その辺はあしからず。やっぱりこの「はかたより」も「し組関係」の人々は決して捨ててしまってはいけないのです。ヨロシク!
2月21日〜23日。美弥子さんの親友「万寿美さん」の結婚式&二次会出席の為、通算6度目の福岡行き。当然の事ながら、就職活動も兼ねた真面目な「準備編」なのだ。
2社面接を受けて、結局2社共こちらから断ってしまったので、また出直しという事になった。やはり「なぜ東京から福岡へ来るのか?」という質問は面接官としては必ずぶつけてくる。特に最初に面接した不動産会社では、最近新興宗教の布教活動のために、東京や大阪からやってくる連中がいるらしく、その辺の事をしつこく聞かれた。意表を突かれた質問攻撃に少々驚いてしまったのだ。
天神「西鉄グランドホテル」での結婚式に出席した美弥子さんと一緒に、同じく天神西口にある「1969」というお店での二次会に出席。俺としては誰も知人のいない飲み会、博多弁ばりばりの中での二次会。どうなる事かと思ったけど、それでもお酒が入れば何とかなるもので「いも焼酎」でいい気持ちになった。
翌日、関家の「ブルーバード」をレンタルして、最高の青空のもと「糸島半島一周ドライブ」も楽しんで、夜9時福岡発の飛行機で東京に戻る。
4月10日。大食の日。腹いっぱい食って..ガンッ!。「退職の日!」。3年半のお勤めごくろうさまでした。19日トークの日(古い!)に誕生日を迎えた俺は、31歳にして無職、無一文。おまけに7月以降の住む家無しと、無い無いづくし。無気力、無感動、無関心の「三無主義」と言われた世代の俺は、違った意味での無い無いづくし状況に置かれてしまったのです。だけどこの「無」という字は、良く見るとなんか変な格好をしているなあ。下の点点点点が妙で、と書いたら「点」という字も変ではないか!うわっ!ヒョコヒョコ歩いているようで、インベーダーゲームのインベーダーが攻めて来るようでもある。試しに続けて書いてみよう。無無無無無無点点点点点、、ダッタッタッダッタッタッ、ピュンピュンピュ〜ン!「よ〜しUFO命中!300点だあ!」..まったく頭の中「点」でばらばら「無」能の人。だけどどんな状況下でも自分だけは「無」くさないようにせねば!と、「無」理矢理「無」にこだわる。なぜなら「無」から「夢」へ?..今、まさに再生の時、余分な物をすべて切り捨て、邪念を振り払い、ぜい肉を削ぎ落とし、不要な髪の毛を剃り落とし、、うわ〜!そ、それはマズイ!とにかく再出発の時!。柴田流に言うと「リセットボタン」を押してしまったのだ。
東京都北区在住31歳無職の男性。今俺が下着ドロボーでもしたらこんな風に書かれてしまう(殺人事件なんて言わないところが俺?)。ひも生活を送り、美弥子さんと都落ち。そんな陰口をたたかれても怒らない。今俺は「無」なのです。
そして俺は今、海の上。5月16日(金)夜、東京発ー北九州行カーフェリー「おーしゃんうえすと」バイクを運ぶワケでもないのに、なぜか「船」なのだ。仕事探しの為の、孤独な34時間の船旅なのだ。二等客室12600円ナリ。
会社を辞めて約一ヶ月。この間何をしていたかというと..
まず菱信住販時代の同期の結婚式二次会に出席。そして家族旅行で山形.赤湯温泉へ。続いて「し組飲み会in赤羽、バーベキューはまた今度ね」編。さらに美弥子さんの付き合いで「横浜ドックショー」。なぜか菱信住販の「バーベキュー大会in秋ヶ瀬公園」に付き合わされて、火の番を。そして突然はじめの母と「味仙」でお好み焼きを食いながら生命保険の契約(美弥子作戦大成功)。ゴールデンウィークは群馬の友達、竹本夫妻と杉下カップルと一緒に、万場町鯉のぼり大会会場脇で「神無川バーベキュー」。高崎で「永田さん宅〜大沢先生宅飲み歩きツアー」(帰りは美弥子さんの運転で島田夫妻、塩川すっかり酔いが覚める)。館林つつじヶ丘公園へ、両親、妹一家と共に、地元植原達と「つつじ見物」。そして菱信住販時代の先輩、松木さん宅にて「鍋パーティー」。とどめは関家三女の日奈子ちゃんを迎えて、再び太田の実家へ&翌日「都内イタリアンレストラン3件&美味香、地獄の食べ歩きツアー」。そして無事2度目の結婚記念日。と、自分でも感心する程のハードスケジュール。でも決して遊んでばかりいたワケではございません。生活の為にアルバイトを。主に植原達の「防災エイジェント」の手伝い。時には穴見の麦香村、佐野店でラーメン店の手伝い。そして失業手当を受ける為、職安の手続きも済ませて...この間約一ヶ月..ああ疲れた。
そして再び海の上からこんにちは。前にも書いたけど、就職活動の為九州へ向かっているのだ。「仕事」、誰もが当たり前のように働いているワケだけど、、生活の大部分を費やしているワケだけど、、「仕事」、一体何なんだ?こいつは?広い太平洋上で、波のように揺れる浴場の湯に浸かりながら、海を眺めながら考える。数日前のTV番組で、ある芸能人が「仕事とは社会に対する言い訳である」と言っていた。ほお〜、なかなか良いことを言うなあ!と思い、その時妻に話した。これは間違いだった。「そうそう良いこと言うねえ。確かに仕事とは社会に対する言い訳であって、家庭に対する言い訳ではないのよ、塩ちゃん!」と、思いもよらぬ答えが返ってきた。う〜む、家庭は社会より手強いという事か。ガクッ! で、自分にとって「仕事」とは一体何なのか?..やはり現実的には「お金」を稼ぐ為のものであり、家族、生活を守る為のものであろう。では「お金」があれば「仕事」はしなくても良いのか?良いのかなあ?「仕事」が「お金」を稼ぐ為の「手段」だけだとしたら、お金を稼ぐという「目的」が達成された時「仕事」は終わるワケだよねえ。その「目的」をどこに置くかという問題か?う〜む..
「ぐだぐだ言ってないでさっさと働け!!」と言われそうなので、まとめるけど、自分にとっては「仕事とは、とりもちである」??ネズミとか捕まえる時に使う、あのネバネバしたヤツあるでしょ?逃れたくても逃れられない。逃れようとすればする程、ネバネバと深みにはまる。だから、どうせ逃れられないのなら、ドップリと「仕事」にはまり「お金」を稼げるだけ稼いで、「仕事師」と言われる程に働けば、自分なりの「目的」がぼんやりとでも見えてくるのではないかと、そのうち「とりもち」のネバネバから抜け出せる「力」が付いてくるのではないかと、そう考えてみるしかないかと思っているのだ(あ〜立派立派!)。
フェリーは途中、徳島港で「坂野中学校修学旅行ギャアギャアキャアキャアワアワア大馬鹿連中御一行様」を乗せ、瀬戸内海を西へ。修学旅行の団体とぶつかったのは運が悪いと思ったけど、良い事もあった。普通四国の南側、太平洋を進む筈のこのフェリー。なんと修学旅行用(?)瀬戸内海コースに航路を変更したのだ。おかげで、建設途中の「明石大橋」そして「瀬戸大橋」をくぐることができたのだ。それだけは感謝。
波の静かな瀬戸内海をゆっくり進むフェリー。右手には映画「二十四の瞳」の舞台にもなった小豆島。その小豆島の向こう側へゆっくりと沈んでいく、真っ赤に燃える大きな太陽を、しっかりとその二つの瞳に焼き付けて、男は静かに煙草の火をもみ消した。(うそうそ!俺最近、禁煙中だもの..)
途中、なんとフェリーが漁網に引っかかりそうになって緊急停船、迂回というハプニングもあったけど、予定通り北九州へ。
5月18日朝5時過ぎ。夜明けの新門司港。頬に当たる海風が気持ちいいネ。いよいよ九州上陸だ!「船上」から「戦場」へ。いざ就職活動開始!
乗り合いタクシーで門司駅へ。そしてお隣小倉駅。小倉といえば北九州を代表する街。まだ寄ったことが無かったので、ちょっと観光。今日は日曜日なので、本格的な就職活動は月曜日からということで..。
早朝のほとんど誰もいない繁華街、魚町アーケードを抜け、小倉城へ。城といえば清水。「お城フリーク」の清水は来たことがあるのだろうか?たぶんあるだろうなあ〜なんて思いながら、のんびり散歩。小倉城のすぐ隣に北九州の市役所があるんだけど、この建物のデカイこと!20階建てくらいだろうか、肝心の小倉城が小さく小さく見えてしまう。建物の壁面がガラス張りになっていて、小倉城がきれいに写るように配慮されているらしいが、それにしてもバランスが.. その後まだほとんど開店していない旦過市場を覗き、町中をぶらぶらしてから、電車で福岡市へ向かう。
結局、今回福岡には9日間居て、ずっと関家にお世話になっていたんだけど、1日づつ書いていたらキリがないので、ざっとまとめてご報告。
まずは肝心の就職活動編..。月曜日にリクルート関西人材センターで紹介された不動産会社の人と、火曜日に面接、木曜日に社長面接、金曜日に内定の電話をもらって決定。チャンチャン!と、リクルートの担当者もビックリする程の、超スピード決着。おかげで他に面接したのは1社だけという効率の良さ。職安も求人情報を見に行っただけ。とりあえず今回最大の目的は達成。
そして部屋探し編..。こちらはちょっと難航。当然の事ながら東京と比べたら家賃は全然安いし(東京の七掛け以下?)駐車場も付いているか、或いは付いていなくても6千円位(博多の中心部から15分程度の駅で)。物件数もそこそこあるのだが、毎日の通勤のことを考えると、駅からの距離等の問題でなかなかこれといった物件が無い。駅から離れると新築の3LDKなんていう物件も予算内であるので、目移りしてしまうのだ。仕事探しより難しい..
3件まわった不動産会社のうち(ちなみに俺が内定を貰った会社は新築マンションの企画、販売、管理という事業内容で、賃貸物件は扱っていないのだ)2件が新人の担当者だった。一人は二十代前半の沖縄県出身の男性。入社4ヶ月の彼は「眉毛が濃いからすぐ沖縄って分かるでしょ?」という気さくな人。物件案内の基本やら、東京の家賃相場などを教えて差し上げる俺。もう一人は二十代半ばの女性。まだ入社1ヶ月目だという。しかも運転免許は1週間前に取ったばかりだという。「オイオイ!」後を見ながらいきなり発進「あっ、危ねえ!」お次は信号無視「うわっ!」、「やっぱり免許取ったばかりだって分かりますよねえ?」と彼女。「い、いや上手いですよ」って冗談のつもりで言ったら「あ、上手いですか〜!」とマジに取られてしまった。ウソでしょ?地理も良く分からず俺が地図を見ながら教えて差し上げる。しまいには細い路地にはまり、運転を変わって差し上げる俺。「初心者マークは付けた方がいいですよ」と最後に優しく一言俺。
ラーメン編..。博多といえば「とんこつラーメン」。屋台、特に長浜ラーメンが有名。元々漁師さんが、ささっと腹ごしらえする為に生まれたというラーメン。調理時間を短くする為にと、麺は細麺になったらしい。そしてスープが白く濁っているのも、豚骨から早くダシが出るようにと、強火で煮込む為である。実は豚骨というのは弱火でじっくり煮込むと、透明なスープになるのだ。要するに、ささっと作ってささっと食べる、海の男の為の即席麺というのがルーツなのだ。ちなみに豚骨スープの元祖というのは、以外や以外実は北海道のアイヌ民族らしい。..と、麺類通、特にラーメン通のこの俺が、ここで語り出したらキリがないので、ここではほんの少し、お店の紹介だけ..。
「一蘭」は、極細麺。麺の堅さ、辛さ等自分で選べる人気チェーン店。人気通りのおいしい店。「キャナルシティー」の地下にもある。美弥子さん一押しの店。「一九」本店は、西鉄大橋駅近く。オーソドックスな正統派とんこつラーメンといったところ。ふつう盛りは400円、量は少なめ。大盛り600円の方がおすすめ。まあ、博多ラーメンならではの「替え玉」という手もあるけどね。そして今回の一押しは「らーめんハウス」。この店は、実はとんこつでは無いらしいのだけど、ちょっと太めの麺に油の浮いた濃くのあるスープ。関父に連れられて、自転車で寄ったのだが、場所がいまいち良く覚えていない。是非もう一度行ってみたい店。
よく知らない人の為に..本場博多のとんこつらーめんは(やっぱりひらがなの方がかんじでるなあ!えっ?ひらがな?かんじ???)東京風の油ぎとぎとのとんこつらーめんと違い、結構あっさりスープが本場なのだ。よくダイエーとかスーパーで売っている、マルタイの「棒ラーメン」が結構いい味を出していて、本場博多らーめんに近いのではないか?と俺は思うのだけど、それを美弥子さんに言うと「あんたは全然分かっとらん!」と言われてしまうので、そこまで。
「らーめん」の話は長くなるので、ひとまずこのへんで終わりにしておくけど、実を言うと、俺が一番好きならーめんというのは「みそらーめん」。札幌みそ!!東京でもいつも「みそらーめん」これが福岡にはほとんど無いようで、それを思うとちょっぴり寂しいというのが本音でもある。
くどいようだけど「らーめん」関連の話を最後にもうひとつ。らーめんといえば、やっぱり「餃子」である。最近、自分で作る(焼く)方にも凝っているのだけど、関東より大阪、大阪より福岡と、西へ行くほど「餃子」の大きさが小さくなるそうだ。東京では平均5センチ台、福岡では平均3センチ台になるという。当然、皮や中身も少し違うと思われる。そのへんのことは「東西食文化の違い、はかたはめんたいこだけじゃなかよ編〜塩ちゃんの突撃満腹レポート〜」にて、ご報告?の予定があるとか無いとか...
映画編..。ビデオもいいけど、たまには大きなスクリーンで大音量で楽しみたいもの。天神西口、ソラリアプラザ7Fに3つの映画館がある。そのうちのひとつ「ソラリアシネマ2」は、再映館。映画ファンのリクエストに応えて再上映してくれて、しかも料金は通常映画館の半額850円という、映画ファンならずとも、時間潰しにもバッチリのきれいな映画館なのだ。ミニシアターの大きい版程度のこじんまりした映画館だけど、お気に入りの場所。あ、ナイショね。
ちなみに今回は、ジョン.トラボルタの「フェノミナン」。ダイアン.キートン&メリル.ストリープの「マイ.ルーム」..あっ、でも俺はほら就職活動と部屋探しの為に忙しく動き回っていたので、観る暇など、、さて、次に行こう..
最後にまとめ..。働く場所が決まったので、とりあえず一安心なんだけど、何を血迷ったかまた不動産の仕事をすることになってしまい、それはそれでまた大変なことになったワケだ。宅建(不動産取引)の勉強をやり直なければならないのは勿論のこと、全く知らない土地で不動産業をやるワケで、まずその土地名を覚えて実際に見て歩いてと、福岡を知ることから始めなければいけないのだ。そして、不動産業では当たり前のことだけど、土曜日曜は出勤、勤務時間は長い。俺の一番苦手とする生活パターンである。仕事にどっぷり浸かるか、さっさと辞めるか(否々..)。結局、物件と人とをとりもつ仕事..えっ!とりもつ!?ほらみろ!やっぱり俺にとっての仕事とは「とりもち」じゃないか!くそっ!..とりむすんでなんぼの世界。しゃあない、諦めるしかないか..トホホ..
実は今回、飲食店チェーンの店長→エリアマネージャー→本部経営スタッフといった道を歩める仕事も考えていて、その方が俺のひとつの目標でもある「脱サラ」→「経営者」に向かっては近道なんじゃないだろうかと考えてもいたんだけど、ま、それはそれで別に考えて、、先のことは分からないし、しゃあないね。
帰りは高速バス「はかた号」で14時間半かけて東京に戻る。
そして遂に残り一ヶ月。泣いても笑っても、勝っても負けても(?)
「さよなら東京」最後の直線、ゴールは目の前。
明日の「日本ダービー」に夢をかけて・・・
「優駿の美」否「有終の美」を飾りたいと願うのだ。
’97.5.31 ひのえ馬年生まれの塩川
「し組」福岡通信