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ここからは読み切り小説の話をちょこっと書きます。
ページ数もかなりある作品を2つ、収録しました。読んでいただけたなら幸いです。
リプレイにはない部分ですし、興味の無い方は読み飛ばしていただいて結構です。
NPCチェリーのところでも書いたのですが、チェリー自身はアドリブキャラでした。
キャラクターの性格付けとかもかなり慌てて作ったものでした。
ただ、キャラクターとして生み出して、だいぶつらい目に合わせたので、せめて何か書きたいと思いました。
書いたことでこのキャラクターが素晴らしいキャラクターだったな、と、改めて思えるようにはなりました。
ですが、結末がある程度見えているキャラクターだっただけに、どうあがいても、
ハッピーといえるエンドにはできないな、とは思いつつ、書きました。
リプレイ中ではあまり容姿・性格を演じられませんでしたので、イメージを膨らませました。
どういう性格にして、どういうストーリーにしようかと考えました。
性格は設定しても、ストーリー次第では表現されないことが多いので、
ストーリーの中で関わるところだけ、ちゃんと書くことにしました。
では、ストーリーをどうするかです。
今回はエルフが多く出ました。能力のあまりない、チェリーのようなエルフがどうやって生きて来たのか、
どうやって生きていくのか、そしてみんなのプレイの裏でどうすごしていたのか。
そこがわかるようにしたいと思いました。
そのため、チェリーの話を書くのは、他のSSをすべて書いた後、最後にとりかかることにしました。
というのも、各ストーリーの裏に、ほとんどチェリーはいるはずなのです。
そういうのに絡むように配慮しました。
たとえばですが、チェリーが心を病んでるというのに、ルーシアがデートに浮かれるはずなどないのです。
そういう時系列を意識して書きました。
1000年生きるエルフ。
しかし取り立てて能力はない。メイドをひたむきに続けたろうエルフ。
そして、ひたむきに一人の男を愛し続けたであろうエルフです。
ひたむきに男を愛し、ずっと寄り添い続けようとするとなったとき、ある話と和歌をを思い出しました。
はいからさんが通るの番外編の最終話に鷺草物語という話がありました。
すごーく、ざっくりいうと、ヒロインの友人であるお嬢様が、満州で馬賊になってしまった
日本人の片目の男と恋愛をする話です。
荒くれ者の男は幼いころ妾の子供ということで迫害を受けているような生活で、
唯一心を許せたのは、近くに住む遊女屋の女郎一人だけでした。
少年だった男にとってはうっすらと恋焦がれるような存在でしたが、
女郎には想い人がいて見受けしてくれるのを待っている身でした。
来るはずもない相手を待ち続ける女郎はついには労咳にかかり死期を悟ります。
禁じられている逃亡、足抜けをしてでも相手の男に会いに行こうとする女郎。
少年は手助けしようとしますがその過程で片目を失うのです。
結局女郎は死んでしまいます。
少年はその後やさぐれ、軍に入り、シベリアに飛ばされ、ついには馬賊になります。
片目の男はお嬢様に言うのです。
こんな荒くれにはお嬢様は似合わない。とっとと国に帰れ、と。
ですが、お嬢様はその片目の男の話を聞き、少年だった彼が恋焦がれていた女郎の代わりに、
彼のその辛い人生に寄り添い、ずっとそばに居続けることを誓うのです。
今こうして書いてても名作と思います。
そして、その漫画の最後のコマに、ある歌が書いてあり話は終わるのです。
その歌は西行法師の歌でした。
「願わくは 花の下にて 春死なん その如月の 望月の頃」
自然を愛した西行法師が死ぬ10年くらい前に詠んだ歌です。
自分が死ぬのであれば、お釈迦様が死んだ季節、2月の中旬ごろに、お釈迦様と同じように、
桜の木の下で死にたいなぁ。というような歌です。
漫画では春を感じさせる風景の中、死ぬまで一緒だからねとか、
死んだ女郎への想いなどを含めたような、そういう雰囲気を醸し出していたいい歌でした。
私が小学生くらいの頃に読んだものでしたが、かくも美しい漫画があるのかと、
感動したことを覚えています。
さて、ここまで読めばお分かりかと思いますが。
よし、同じことをしてみよう!と思ったわけです。
わりかし安直な人間です。
歌で最後を締めくくろう。歌は色々考えましたが、ああなりました。
1000年の時を超えて墓に供えられた花のようにチェリーの花が咲いているところが浮かびました。
でも、浮かんだのは夜の風景でした。
ならばと思い、そういうストーリーに仕上げてみました。
「咲き行く」は、花が咲き続けているさまですが、「先逝く」とも語感が似ているなと思い、
その言葉にしました。
うっすらとローランドのこともかけてみたりしています。
「千年の果て」か「千年紀の夜」で少し悩みましたが、とりあえず果てにしました。
悲しい結末を迎えた二人が、せめて、幸せになってほしいと思い、幸せだったころの描写と、
夢の中の描写は妄想を膨らませました。
そして妄想しているうちに、チェリーはだいぶかわいいキャラだなと、思うようになりました。
素直で恥ずかしがり屋で、臆病なところがあるエルフ。
まだ幼くて愛を知らず、かける言葉も見つけられないあどけなさ。
そういったところが表現で来ていたら、いいな、と思います。
ローランドは私が思う脳筋を表現しました。終わり。<ぉぃ
ちなみに、ライトネスは私の中では脳筋ではありません…。w
チェリーの周りにいるキャラとして、ライトネスやルーシアは外せないと思いましたので、
そこの補完もしました。
ライトネスの聖女性、ルーシアの優しさなどが見えてきたらいいかなぁと思います。
ライトネスについては、すぐに殴り掛かるイメージがありますが、
結構我慢していたりするところも色々見えたらいいなぁ。
まぁ、そこまで我慢するのはルーシアに対してくらいかもしれませんが。
あと、リプレイに出てくるシーンが多いですが、そこと比べてみてもらうのもありかもしれません。
ローランドがコールゴッドを行うシーンは、実はリプレイのシーンの文字を一言一句たがわず、
そのまま使っていたりします。
それだけ、みなさんのプレイとリプレイが、ちゃんとできていた、ということだと思っております。
TRPG最高!
悲しい恋の物語ではありますが、私の中では、最期は幸せであってほしいという思いで書きました。
ぜひ見ていただければと思います。
カミラとアスカルとのやり取りを丁寧に書いてみました。
楽しく明るく終わるダンスの話や、家族となるための成長劇や、男女の愛情を書いた話や、
辛く切ない悲劇とともに、ほんわかとした話を書いて終わりにしたいな、と思い、筆を執りました。
プレイ中を含めて、足掛け1年ちょい、このTRPGキャンペーンに関わっている間に、
世間では私の好きな作品がアニバーサーリーを迎えていました。
一つ目は、ロードス島戦記。30周年。
二つ目は、エヴァンゲリオン。25周年。
最後には、ICO。20周年でした。
(※執筆時点)
シナリオ9で私の大好きな作品ワンダと巨像は再現しました。空は飛ばれたけどな!w
実は、最初はICOを再現しようかと思っていたのです。
巨大な城の中、捕らわれた姫君を、ギミック満載のトラップや襲い掛かってくる敵の中から救い出し、
手を繋ぎ逃げていく。
ですが、いろいろ考えたときに、このギミックは、あんまりTRPG向きではないように思ってしまいました。
ICOをICOたらしめているもの。
それは、儚げな姫君を「手を繋いで」連れて歩いて逃げる。ここです。
手を繋いで逃げなければ、それはただの姫君救出です。正直、どうでもいいです。<ぉぃ
この手を繋ぐ、をものすごく考えました。
ですが、これはあくまで、一人用コンピューターゲームにおいての最高・最適な表現手法であり、
TRPGには向かないと判断しました。
ルーシア以上の血の涙を流し、断念しました。
で、代案として、ワンダと巨像を表現してみようとしたのが、シナリオ9でした。
ただ、私の中では、その妄想が暴走しています。
邪神復活シナリオの捕らわれの姫として、当然メインシナリオなので考えまくったわけです。
ICOではヨルダという儚げな女の子です。15,6歳です。一方少年のイコは11,2歳です。
この少年が見上げながら、お姉さんであるヨルダを頑張って手を引いて助ける。
これが萌えなのです。はぁ…大好き。
これをどうにかして実現したい!
はい。お分かりですね。それが「繋いだ手」です。まんまやんけ。
ICOのコピーも有名になりました。
「この人の手を離さない。僕の魂ごと離してしまう気がするから」
実際に、ゲーム中は、ヒロインであるヨルダが敵に捕らえられ、穴に引きずり込まれると、
世界が石化したようになり、終わります。
ヒロインが捕らわれても必死に棒で敵に殴りかかってなんとかして助け出す少年…。
ほんと可愛い。大好き…死ぬ。。
というわけで、その作品のイメージを壊さない程度に、話を作りました。
ヨルダは儚く清らかで、悲しく清楚なイメージのキャラでした。
だけども今回のヒロインのカミラはサキュバスの女王。アガペーを司る聖なるサキュバスです。
カミラはもう少し元気な、いたずら好きなイメージに変え、ちょっと背伸びしたい少女、
でも体は大人という風にしました。
サキュバスのいいところと、可憐だったり清楚だったりを一緒に持ってる女の子にしました。
ちょっと言い訳をすぐにしたがるようなところがあったり、
何気に突っ込み気質というかアスカルに対してちょくちょく突っ込みを入れる感じにしました。
お姫様というよりは、かわいい年上のお姉ちゃんにした感じです。
絶世の美少女が自分の魅力に無自覚にいたずらしてくる。ご褒美だなと思いました。
自覚的にいたずらし始める。もはやうらやましくて殺意を覚えるレベルです。
アスカルは聡明だけどちょっと生意気な、ませた子供にしました。終わり。<ぉぃぉぃ
ほんわかした話にしたかったので、可愛い子供たちにしようと思ったのです。
なので、二人ともちょっと背伸びしたい感じの、可愛い感じに仕上がったのではないかなと思っています。
こちらの作品では、セラフィ、ライトネスについて、ちょっと深堀をしました。
やっぱり書いていて思いましたが、ライトネスはいい子でした。
私の中ではぐんぐん動いてくれる子です。
もともと設定してあった後妻との仲の悪さとか、それで家に寄り付かないのだとか、
だからアスカルを甘やかせてしまうブラコン気質なのだとか、
それがルーシアに派生したのだとか、
なのでシャーロットのシスコンが実は嬉しかったりするのだとか、
そういう面が見れるようにしました。
意外と好きな人にはべたべたしたい子なんです、本当は。
セラフィはルーシアショートストーリーでも語った部分をもうちょっと書きました。
あとシャーロットほどではないですが、結構策士なところがあるのも見てもらえたかなと思います。
怒ると怖いですよ?
新キャラというか、ウェルスガルドとコッツィについても触れます。
ウェルスガルドは元々「子に甘い父」として設定していました。
なので、ライトネスがブラスを自治区として治める手助けをしてくれることになるわけです。
カミラが結婚する、となったときに、私のなかで、人間として過ごすのかな?と
最初は思っていたのですが、それだと幸せなのかなと、考えてしまいました。
ブラスではサキュバスとして問題なく生きられます。
ですがリスモアではそういうわけにはいきません。
アスカルと結ばれるなら、リスモアで暮らすことにどうしてもなります。
人間として姿を隠して生きていく。
これでは異種族共生をテーマにした本作のイメージを全否定です。
やりたくありませんでした。
色々考えると、結局、父親が認めない限り、カミラの幸せはあり得ないなと思ったのです。
私が父親ならどうするか、と考えたら、ああなりました。
要するに、私は子供に甘い父親だ、ということです…。w
カミラは、最終的に、ライトネス親子の確執まで癒してしまいます。ほんとええ子やな。
この流れができたことにより作品はより一層優しい世界になったんじゃないのかなぁと思っています。
舞踏会のシーンは、カミラの嬉しさを表現できるようがんばりました。
もはや父親目線で書いてますから、涙腺枯れ果てました。
コッツィは実は別のキャンペーンシナリオで作られたNPCでした。
イメージはショートカットの色黒のスポーツ少女みたいなものを想像していただければと思います。
ちょっと大人のルイーダの店みたいなところで働いているお店の女の子でした。
付いたあだ名はスーパービッチ。
口癖は「一回だけならノーカン」「お試しプランもあるよ?」「バレなきゃ無実」です。
推して知るべしです。
通り名は「告げ口のコッツィ」「さぼり魔のコッツィ」でした。
言いやすくて好きでした。
最初は冗談で出したキャラでしたが、人気が出たので、シナリオにちょっとずつ絡んでいきました。
具体的には、パーティに情報をくれたり、情報収集を手伝ってくれるサブキャラとなっていきました。
得意のビッチ攻撃で、男からならなんでも情報を仕入れてきてしまいます。
ここらへん、アンスリュームにちょっと似ているかもしれません。
違いとしては、身持ちがめちゃくちゃ固いのがアンスリュームで、ゆるゆるなのがコッツィです。
コッツィは友愛:フィリアを司るサキュバスでした。常に友と共にある。
一緒にいてくれるタイプのサキュバスです。友は大人の関係も含んじゃっていました。
今回、何故登場したかというと、こちらも後悔の残るキャラクターだったからです。
その時のキャンペーンはパワープレイの二元論のオリジナル世界で勇者と魔王に勢力が分かれて争ってる話でした。
コッツィは最初パーティが所属する勇者側にいますが、生まれた村が魔王側についてしまうことで、
勇者側を裏切らなくてはならなくなります。
最終話でパーティの窮地に際し、本来はパーティを殺さなくてはならない立場ですが、見逃してくれます。
そのため、パーティがシナリオとして魔王側を滅ぼす際、滅びゆく村と一緒に巻き添えになって死ぬ運命となります。
彼女は昔からの友達がいる生まれ故郷を捨てることが出来なかったのです。
キャンペーン自体は成功したと思っていたのですが、終わった後、数名からクレームを受けました。
さらには一人のプレイヤーからは嫌われることになりました。コッツィの扱いが酷過ぎると。
感動的に仕上げたつもりでしたが、プレイヤーが面白いと思わなければ、結局それは失敗でした。
それだけコッツィはいい子だったと思います。むしろ、そこまで愛してもらえたのだなと思いました。
そういう点では今回のチェリーに若干通じるものはあるかもしれません…。
カミラに対し姉のように接することができるキャラを考えたときに、3人イメージが湧きました。
セラフィ、ライトネス、コッツィです。
セラフィは若い育ての親。教育役と思いました。割とセラフィは立場を重んじる気がしました。
ライトネスは義理の姉ですが、親身になってくれる本物の姉になる予感がしました。
コッツィは友のような、時にはちゃんと叱ってくれるような、そんな存在になると思い、おつきのメイドにしました。
今度は悲しい結末にはならなくて、良かったな、と思っています。
なお、コッツィの体の傷はカミラが最終的には直しますが、その時にコッツィは
「傷を少し残してくれた方が、男が凄く優しくしてくれるからいいのに」とか、
カミラをマジ切れさせるようなことをいう、までは考えましたが、小説には採用しませんでした・・・。
いつか、サキュバスがプレイヤーになれるゲームがあるなら、やってみたいプレイヤーキャラです。
お話自体は、ICOの手を繋ぐところから着想を得て、
もうすこし、面白おかしく読んでもらいたいなと思いました。
アガペーというのは結構表現が分かりづらいというか、無償の愛を話として実感してもらうのは
何気に大変なので、シナリオのつくりは結構がんばりました…。w
全容が見えなかった邪神復活のシナリオの陰に、こういうほんわかとした話があったのだと、
そう思って読んでいただければと思います。
さて、だいぶページを使ってしまいました。
GM特別付録はこれにておしまいです。何かの参考になれば幸いです。では!
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