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陸上 高橋尚子(積水化学)記者会見
これによって、従来は4000万円を支払ってJOCスポンサーとなった企業のみに限られていたCM活動、ポスター、カタログ、講演、テレビ出演などのタレント活動も、スポンサードの制限なく高橋の意志で自由に行えることになる。また女子マラソンの有森裕子(リクルートAC)、藤村信子(元ダイハツ)のケースとは違って、「陸上競技が生計を成り立たせる上での収入源の主となる場合にのみ自由な活動を認める」(社員ではないということが前提)と、自由化の前提とされていた規定も、すでに日本陸連が理事会で改正しているために、社員でありながら、自分の望む活動が自由に行えるようになった。 陸連、JOCのルール改正後に適用されたのは高橋が第一号となる。 積水化学・龍村豊取締役、陸上部部長(会見、囲みから抜粋)「会社としても大変うれしく思っている。しかし高橋選手は世間で言われているようなプロ選手ではなく、あくまでも積水の社員で女子陸上部員であり、あえて言うならノンプロという立場になる。自分自身の肖像権を自由に使っていけるということで、今後も小出監督指導のもと、実業団で優勝するとか、マラソンで世界最高を出すとか、陸上で結果を出すことを第一の目標にしてもらいたい。 日本陸連・桜井専務理事「今回、こういう形に前進した理由は、シドニーの後、小出監督から『苦労して金メダルを取って、得るものは(メダル以外)何もなかった、というのではスポーツや陸上をやる人がいなくなるよ』と言われた言葉がきっかけとなった。これまでは、走ることを収入源とするランナーに限ってのシステムだったが、今回は、母体となるものを離れない所属したままの形で行くことができるようになった。しかし、今後もオリンピックキャンペーンそのものには協力していくように指導していく」 小出監督「こうして周りの人たちがいろいろと考えてくれてよかった。高橋には道が開けたなあ、がんばったかいがあったなあと言った。選手が走ることができる期間は非常に短いから、(こうしたシステムができることで)いろんなことができるようになると思う。子供たちに夢を与えて、それを育んでいける選手になるべきだとずっと話してきた。 高橋と一問一答(抜粋) (最初に)JOC、日本陸連のみなさんのお力でまた新しい道を歩むことができるようになってうれしいです。これを前例として、今陸上をされている人たちが上を目指せるようになればいいと思うし、スポーツ振興にも貢献できるようになったと思う。私自身、陸上選手としてマラソンの世界最高を目指す気持ちには変りはありません。 ──テレビ、ラジオにも出られるようになりましたが ──自由な活動の具体的なイメージは ──先輩の有森さんとのケースとは ──これからはもっと忙しくなるでしょう。体調管理などは
「プロではない」
「プロの組織、サッカーや野球に属してプレーしている人はプロと呼べる。しかし、同じ野球でも会社に属しているならノンプロと呼ばれる。勤め先に所属した選手をプロと呼ぶことは正しくない」とし、今回の高橋のケースが、アマチュアの呼称には一応こだわった上で、その成績に応じて評価、報酬を得る「新しい道」であることを強調した。 世界中で、アマチュアは存在しない、と言われる一方で、例えば国際陸上連盟は、IAAF、つまり国際アマチュア陸上競技連盟という看板を掲げている。看板と実情が矛盾して久しいが、高橋のケースに関するならば、「プロ」ではない。 有森や藤村のケースが走ることを収入源とした「プロ」と呼ぶにふさわしい独立したランナーであるのに対して、高橋はいわば、自分が望む活動が制限なくできるようになった、むしろ肖像権の自由な行使という点で、アマチュア選手の道を開く新しいものだ。スポーツ選手の肖像権については、法的整備がかなり遅れているのが現状でもあり、現在では、例えばチラシやポスター、広告に選手の顔を使うことはキャンペーンに協力した企業以外認められていない。
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